欲張り
最近、感想をたくさん頂いてとっても嬉しいです!
貴也のことを気に入ってくださる方が多く、ついついたくさん登場させてしまいます笑
これからも、よろしくお願いします!
「紗理奈」
「はいっ!」
夏休み初日。暑い日はお店でも冷たい商品を売っていて、特に人気なのがジェラート。
今日はお客さんが多くて、ジェラートは売り切れになってしまった。売り切れの看板を外に出した時、お父さんが厨房から出てきて私を呼んだ。
「前出してくれたケーキ、正式に店に出すことにしたんだ」
「っ……本当!?」
何度も作り直して、改善点を聞いて、工夫して、試食して……それを繰り返した。楽しかったけど、全部そうじゃなかった。途中で辛くなったりもしたけど……
「ありがとうございますっ!」
ついに、私のケーキが並ぶのね!
もう上がっていいとお父さんに言われ、制服から私服に着替える。
「樹くんに報告しようかしらっ……」
スマホでメールを送ろうと思ったけど……いきなり連絡しても大丈夫よね?
「ん~……あっ、打ち間違えちゃったわ! あれ、何だか変な画面にっ……」
慣れていなくて、たった一言を打つのに時間が掛かってしまった。
「やっと送れたわ……」
既読は付かないけど……
「紗理奈!」
「ひゃっ!?」
1階から、お父さんがまた私の名前を呼んだみたい。
何かしら。ケーキのことで何か……
「って、貴也くん?」
考えながら階段を降りると、そこには私服の貴也くんが居た。
「どうして?」
「甘い物食べたい気分だったから、ケーキ買いに来ようと思って……」
「紗理奈の友達だろ?」
そう言って、お父さんは厨房に戻って行った。
「ケーキ、どれにする?」
制服から着替えちゃったけど……
「んー、じゃあこのタルト1つ」
「680円になります」
「じゃあ、丁度で」
小銭を受け取って、タルトをショーケースから取り出す。お店の可愛いデザインの箱と袋に入れて、貴也くんに渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。それと……ごめんね、急に来て」
「いいのよ、丁度良かったわ」
「丁度良かったって……?」
「えぇっ、じゃあケーキ出せるの?」
「そうなの。ついさっき、お父さんから言われたわ」
「そっか、良かったね。また買いに来るよ」
「ありがとう」
貴也くんに伝えると、まるで自分のことのように喜んでくれた。
「樹には言ったの?」
「一応メールで……あ、返事が来てるわ!」
メールを開くと、樹くんから2件メッセージが来ていた。
〔樹:今度買いに行くよ。初めてのお客さんだからね〕
それと、おめでとうの可愛らしいスタンプ。
「……良かったじゃん」
「えぇ」
好きな人に、自分の夢を応援してもらえるなんて、私はなんて幸せなんだろう。
もっと食べてほしい、もっと応援してほしい、もっと……叶えたい。
どんどん好きになって、どんどん欲張りになっちゃうわ。
「じゃあ、俺は帰るよ。ありがとう」
貴也くんは、優しく微笑んで、私に背を向けた。
彼にも伝えられて良かった。




