繋ぐ
「紗理奈だって、いつも1人で居ただろ? 亜澄だって、同じクラスにはなったことないしさ」
「まぁ、確かにそうね」
紗理奈さんが、俺に問題を聞きにきてくれたのがキッカケだったからな。そこから、お菓子をもらったり……
「樹が、私たちを繋いでくれたよね」
亜澄が言った。
「俺が……?」
「うん。紗理奈と私が仲良くなったのだって樹のこと……あっ、えぇっとっ……」
急に慌てだした亜澄と紗理奈さん。2人で目を合わせて、焦っている。
「まぁ、とにかくっ……樹くんが、私たちを集めてくれたってことよね」
「そうだよね。樹が居なかったら、俺たちは3人で夏休みを過ごしてたよ」
「それも悪くないけどね~、やっぱ大人数の方が楽しいよな!」
今までの夏休みは、確かに楽しかった。けど、やっぱり亜澄と紗理奈さんが居たほうが楽しいと感じる。
「3人は、今までどんなふうに夏休みを過ごしてたの?」
「んー……」
今までは、楓が全部遊びに誘って、俺たちはただ着いていくみたいな感じだった。
まぁ、それはそれではしゃぐ楓が面白いし楽しかったけど。
「コイツら、全っ然ノリ気じゃなくてさぁ~」
「楓が元気すぎるんだってば……」
「めちゃくちゃ振り回されて……俺たちは体力尽きてたな」
急に行き先が変わったり、やっぱり、とか言って戻ったり……
暑い中、ずっと歩いて走って……
「そう……じゃあ、今年はもっと振り回してあげないとね!」
紗理奈さんがそう言った。
「勘弁して……」
「ふふっ」
貴也の声のトーンが下がって、紗理奈さんがそれを楽しそうに見ている。
「紗理奈さんって、結構笑うよね」
「そう? 貴也くんが面白いからよ」
「……褒めてる?」
2人、やっぱり仲が良くなっている。これは、俺が繋いだんじゃないんだろうな。貴也が導いて、紗理奈さんが勇気を出したからなんだ。
「ていうか、樹と亜澄は幼馴染みだろ? 一緒に過ごしたりはしてないのか?」
楓がそう聞いたけど……思い当たる節がない。
「んー……たまに亜澄が涼みに来るくらいか……?」
「涼みにって……エアコン壊れてたんだからしょうがないじゃない!」
どこかへ出掛けたりは、したことがない。
小さい頃は親にプールに連れて行ってもらったりはしたけど……
中学生からは、そんなことしていない。
意外と、幼馴染みと言っても、思春期に入ればこんなものだ。
「じゃあ、もっと楽しみね」
「どんなんになるか分かんねーもんな!」
「楽しみだよ」
今、夏休みに何をするかとか、そういうのを話しているだけで楽しい。なら、遊んだらもっと楽しい。
「そうだな!」
「うん!」




