名前
「亜澄、良かったらお昼一緒に食べない?」
お昼休み、中庭で一緒にお昼ご飯を食べようと思って、3組に誘いに来た。他の友達と食べるかもしれないけど……。
「いいよ~、ごめん今日はパス!」
友達の誘いを断って、来てくれた。
「ごめんなさい、急に……」
「全然良いよ! お昼、一緒に食べれるの嬉しいよ」
「ていうか、他の3人とは食べないの?」
樹くん、楓くん、貴也くんのこと。
「あぁ、彼らなら……」
「あ、涼風さーん!」
亜澄を誘おうと言いだしたのは、私じゃなくて樹くん。中庭なら、クラス関係なくお昼を食べられるから。
「なーんだ。紗理奈と2人きりじゃなかったのかぁ」
「ふふっ、何よそれ。」
落ち込んだフリをする亜澄がおかしくて、つい笑ってしまった。
席に着いて、5人でご飯を食べ始める。
「夏休みのことなんだけどね、私家の手伝いが多くて……遊べる日が限られるの」
予約もいっぱい入っているみたいだし、夏限定のケーキもある。お店も忙しくなるから、普段より多く手伝いが入っているの。
「じゃあ、湊さんの予定に会わせようか」
「また、いつが空いてるか教えて」
みんなの暖かさに触れると、もっと頑張ろうって思えてくる。
「ふぁ~……」
楓くんが、眠たそうにしている。クマも見えるから、夜遅くまで勉強をしてたのね。
「楓くん、睡眠も大事なんだから、ちゃんとしなくちゃ」
「そうだよなぁ……っていうか、名前で呼んでくれてる!」
「気付くの遅いって……メールでも話してた時そうだったでしょ?」
貴也くんが、冷静に突っ込む。やっぱり、急に変えるのって変よね……?
「私のことも”涼風さん”じゃなくて、亜澄でいいよ」
「じゃあ、私も名前呼びがいいわ」
そう言うと、楓くんと貴也くんはすんなり受け入れて、名前を呼んでくれた。
「じゃあ紗理奈と亜澄な!」」
「急に変えるのはちょっと難しいかも……」
樹くんが、そう言った。名前、呼んでくれないのかしら。
「樹くん、できれば呼んでほしい、です……」
「っ……紗理奈、さん……」
名前を呼ばれて、少し恥ずかしくなってしまった。亜澄と貴也くんの視線を感じる。
「ご馳走様でした! 勉強するかぁ~」
3人は、教室に戻って行った。
「あ、亜澄。ちょっと良い?」
「ん?」
亜澄を引き留めたのは……
「私が、お店の手伝い!?」
「えぇ。まぁ接客の方だけどね。それが終わったら、一緒にお菓子作りでもどうかなって」
「それ、大丈夫なの?」
「もう親に了承は取ってあるわ。あとは、亜澄がやりたいかどうか」
「もちろんやらせて!」
亜澄は、周りの人との交流が多い。多分、接客が得意なタイプだと思う。
「任せて! 私、バイト経験ならあるから」
また連絡すると言って、それぞれの教室に戻った。




