聞きたいこと
「あ、涼風さん来てるよ?」
楓が教室のドアの方を指差して言った。
教科書を忘れたのかな。
「湊さん、ちょっといい?」
「あ、はい……?」
亜澄が呼んだのは、俺じゃなくて湊さんだった。
「あの2人って仲良かったっけ……?」
「珍しいコンビ、だよね……」
亜澄、何を言う気なんだ……? まさか、俺と付き合ってる、とかの確認じゃないよな……?
「あの、涼風さんはなんで私に……」
あんまり話したことがない湊さん。
顔が綺麗で、手先も器用。人と一緒に居るところはあまり見ないけど、最近は樹とよく一緒に居る。
「ちょっと、聞きたいことがあるの!」
ずっと、聞きたかったこと。
「なんで、あんなにお菓子が作れるの!?」
「……お菓子、作りですか……?」
湊さんはぽかんとしてる。
「私、そういうの苦手で……料理も全然できないし~……」
「あぁ……私、家がケーキ屋なんです。作業を昔から見ていて、だからです。」
「ケーキ屋……へぇ、そうなんだ! 私に、お菓子作り教えてくれない?」
「それくらいなら、全然大丈夫ですよ! 私にできることなら、何でもします!」
湊さん、やっぱり良い人だ。これは、樹には勿体ないね。疑ってごめん。
こんなに可愛くて優しいなら、他校にでも、彼氏がいるんじゃないかな。
「私のことは気軽に亜澄って呼んで!」
「じゃあ、私のことも紗理奈って呼んでっ」
お互いに名前で呼び合うことにした。
「じゃあ、私も亜澄に聞きたいことがあるの……」
「ん? なあに~?」
急に声が小さくなったし、何だかモジモジしてる。
「……亜澄は、相馬くんと付き合ってるの……?」
顔を赤くした紗理奈が、そう聞いた。
「付き合ってないよ!? ただの、幼馴染み!」
慌ててそう答えると、紗理奈はほっとしていた。
「そうなんだ……亜澄、彼氏ができたって噂があったでしょう? あれ、絶対に相馬くんのことだと思って……幼馴染みかぁ、そっかぁ……」
嬉しそうにする紗理奈。そっか、紗理奈ってもしかして……
「樹のこと好き……なの?」
「うん。そうなの……亜澄が違うなら、良かった。でも相馬くん、彼女居るのかなぁ」
そう呟く紗理奈は、可愛い。恋する乙女だ。
「そっか……好きなのかぁ……」
樹だって、可愛いって言ってたしね。
「亜澄、良かったら協力してくれないかな?」




