初めてのお客さん
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「相馬くん、よかったらうち来てくれない……?」
「えっ!?」
湊さんに言われた時は驚いたけど……
「これなんだけど……」
ケーキの試作品があるから、食べてみてほしいらしい。
「実はこれ、もう少し手を加えたら、お父さんがお店で出してもいいって言ってくれたの」
湊さん、凄く嬉しそう。まぁ、自分の商品がこのショーケースに並ぶって思ったら嬉しいよな。
「じゃあ、そのためにも俺がしっかり食べなきゃね」
「ふふっ、よろしくね」
緊張してる湊さんの横で、ケーキを一口食べる。
「んっ、美味しい!」
「本当? 良かった」
チョココーティングも結構食べやすいし、乗っているベリーの酸味も相性が良い。
「何か、駄目なところはあるかしら?」
メモの準備をする湊さん。美味しいけど……それだけじゃ駄目なんだろうな。ちゃんと俺に聞いた意味がある。しっかり答えないと。
「んー……少し苦みがあったほうが、もっとバランスが良くなるかも?」
「苦みね……確かにそうね。ココアパウダーでもかけてみようかなぁ……」
自分でも少し食べて、改善点を書き出していた。
「相馬くん、ありがとう。おかげでもっと良くなりそう!」
「役に立てたなら良かった。美味しかったよ」
美味しかったし、湊さんが作るケーキも、クッキーと同じで優しい味がした。
湊さんのケーキが並ぶの、楽しみだな。
「並んだら、買いに来るよ」
「嬉しいわ。相馬くんは、私の初めてのお客さんね」
そう言って微笑む湊さんは、とても嬉しそうだった。
「そろそろ帰るよ。ありがとう」
「こちらこそ! あっ、ちょっと待っていて」
急いで厨房の方へ言って、何かを持ってきたようだ。
「これ、良かったらもらって。私が作ったものではないんだけどねっ……」
「これ……マドレーヌ?」
お店のラベルが貼られたものだった。
「お母さんとお父さんが、お友達が来たならあげてって、さっきくれたの」
「もらってもいいの?」
「もちろん。もらってほしいわ」
「……ありがとう。頂くよ」
何個か入っていて、湊さんは「お姉さんと仲良く食べて」だそうだ。
「わざわざ来てくれてありがとう。いい意見が聞けて良かった」
「ううん! 美味しかったし、こっちこそありがとう。じゃあまた明日学校でね」
「うん!」
帰って、姉貴と一緒にマドレーヌを食べた。太る、なんて言いながら美味しそうに完食していた。




