女って怖い…
扉を開く…
その先にある光景は…
俺がこの世界に来てから、何度も見てきた光景…
クーロの家の中だった。
扉を開いた先に短くて細い小さな通路…
玄関があり…
そこを抜けると、1つだけ部屋があった。
何も変わってない間取り…
部屋…
そして物の配置…
配置…
俺が家を出た時と、何も変わってなかった。
そう、俺が寝ていた布団も…
「まだ、布団取っててくれたんだな?」
だって、捨てられてても…
いや、捨てるのはもったいないか…
でも、押し入れにしまうくらいは…
「へ…?あっ!?」
「どうした?クーロ…」
「いや、えっと…。なんでも、なんでもないよ?」
「うん…?」
なんか、クーロが取り乱し始めた…
そして段々と顔が赤く…
?
「クーロ…、どうか…」
「うっさい!いいから、外出てて!!!」
「えっ!?なんで…?」
なんで、急に怒鳴られたんだろ…
俺、なんかしたかな…
「いや、あのね…。着替えたい…。そう着替えたいから!!だから外出ててって意味で…」
クーロの声の落差がすごかった。
ぼそぼそと何か言っているなと思っていたら、急に声を張り上げて…
なのにまた小さく…
ほんと、どうしたんだろ…
でもまぁ…
「俺に気にせず、着替えてくれても…」
「いいから、早く出てけっ!!!!!」
「は、はいーっ!!」
俺は、外に逃げるように出ていった。
これは確かに、俺が悪かった…
今、俺は布団の上で正座をしている。
そしてクーロは…
そんな俺の目の前にあるベッドの奥の方に、枕を抱きながらちょこんと座っている。
見た目はきれいなお姉さん…
なのに今取っている体勢と行動から…
小さな少女感が出てて、なのというか可愛らしい。
こう、ギャップ的な…
「で、さっきのブライスさんの話はどういうことなの…?」
ブライスの話…
最後にブライスが落としていった爆弾のことだろう…
あの野郎…
何が、二人の邪魔だよ。
くそどでかい爆弾で、俺とクーロの関係破壊しに来てるだろ…
どう考えてもさ…
「言わないとダメか…?」
「ダメ。」
早かった。
すごく早かった。
これは、諦めるしか…
はぁ…
「ブライスとな、親交を深めようってことでな…」
「うん…」
クーロが小さく頷いてくる。
続きを…
そう言うことだろう。
「ブライスから、良いお店に行こって誘われたんだよ。」
「はぁっ!?」
ひぃぃ…
落差…
落差が…
さっきまでのしおらしさは…
可愛らしさはどこへやら…
今はすごくドスが利いてて怖い…
いや、怖すぎる。
「続き。」
「はい!それでですね。」
「敬語うざい。」
「はい!!それで、ブライス君と良いお店に行きました。」
「はぁーっ!?」
「す、すみません!!!」
怖いよ。
ほんと怖いよ。
女の人の怒った声って、なんでこんなに怖いんだろう…
でもさ…
「あのですね…」
「何?」
「えっとその…」
「早く言って!」
「俺、何もしてないです。」
だって…
「えっ!?なんで…?」
クーロが目を見開いて不思議そうな顔で見てくる。
そして視線を、俺の顔をから下に下げて…
下げて…
「不能なの…?」
「ちゃうわっ!元気だわ!!!!」
「えっ、でも…
それに、一緒に暮らしてたのに…
その…
私のことを、その…
襲うとか、そういうのもなかったし…」
「それは…」
俺は視線を下げた。
下げた先にあったのは、クーロが今も抱いてる枕…
だけど俺が見たかったのは…
枕ではなくて、その枕があるあたりのクーロの身体の部位…
正確には、クーロの胸…
それも、ぺったんぺったんこの胸…
巨乳好きの俺からしたら、全くそそられることのないぺったんこの胸…
つまり…
「死ね!!!」
「えっ!?」
「分かったから。だから、それ以上しゃべったら殺す!」
「はい…」
怖いって…
ほんと怖いって。
「で、どうしてその…、行ったのにしなかったの…?」
しゃべっていいよな…?
というか、これでダメだったら鬼すぎる。
そして、何故しなかったのか…
それは…
それは…
「男が相手の専門店だったからです。」
「男が相手…。えっ!?はっ!?」
今思い出しても、身体から鳥肌が立つ。
いやさ、個人の自由だから良いと思うんだよ。
でもさ…
経験もなくてしかもノーマルの俺には、ハードルが高すぎたって。
いや、そのハードルを飛び越える気は、一生あって欲しくないんだけどさ…
そして当然、クーロも驚いている。
「そ、そうなの!?」
「そうなんだよ…」
「そうなんだ…。ブライスさん…、そうなんだ…」
衝撃が強すぎて、同じ言葉しか出てこない。
そして、しょうがないと思うんだ。
だって、衝撃が強すぎたんだもん。
「でも、個人の自由だから、その…」
「まぁ、うん。」
「うん…」
この後俺たちは、言葉という言葉をまともに口から出せなかった。
そして…
「良かった…」
クーロがそうこぼした。
どういう意味かは分かんない。
だけど、その言葉には俺も同感だった…
純潔という意味で…




