ご飯と会話を…
リリスさんとの会話を終えた俺たちは、ギルド内の食堂でご飯を食べていた。
「これ、おいしいね。」
「ほんとな。」
目の前にあるハンバーグのような食べ物に向かって、俺たちはそう感想をこぼす。
ハンバーグもどきは確かにおいしい。
なんというのだろうか…
ひき肉が醸し出す肉本来が持つ旨味…
その旨味を香辛料を使うことでこう何倍も…
違う違う。
気づいたら、何故か食レポを始めてしまいそうだった。
危ない危ない。
俺が言いたいのは…
久しぶりのクーロとの食事…
少し前までは、毎日一緒に食べていた。
だけど別れている間は、当然一緒のご飯じゃない。
だから久しぶりに一緒に食べると、こう…
俺の日々が帰って来たんだな、そう感じてしまう。
俺がそんなことを考えている間も、クーロはおいしそうにハンバーグもどきを食べている。
口に一口放り込むたびに、整った顔をとろけるように緩めて…
その顔を見ると、なんというか…
ほんわかする。
これが、幸せか…
そして、そんな時間を俺たちはゆったりと過ごしまし…
「よーお前さん、今いいか?」
邪魔者が来た。
顔を向けなくてもわかる。
この声、そしてこの物言い…
きっと…
「ダメ。」
「つれねーな。いいじゃねぇか。俺とお前さんの中だし。」
「ちっ…」
「おいおい。」
やっぱり、ブライスだった。
隣には当然、トゥーリさんもいた。
あとさ、少し気になったんだけどさ…
さっきブライス…
”なかだし”って言ったよな。
なんか、その響きすごく嫌なんだけど…
ちゃんと意味は、仲だよな。
中、じゃないよな。
ブライスの性癖的に…
”中”の場合、ちょっと問題があると思うんだよな。
というか、問題しか…
だって、ブライスは男好き…
そしてその言葉の場合…
いったい、誰と誰の話になるんだろうな。
でもさっき、俺とお前のって…
絶対嫌だよ。
受けも攻めも、絶対に…
絶対に…
「そう、睨むなって。ナニもしないからよー。」
俺が少しブライスの方に視線を向けていると、そう言われた。
なんというかさ…
やっぱりさっきから、なんかイントネーションおかしくないか…?
気のせいだよな…?
俺の気のせいだよな…
でも一応…
「なぁブライス。さっきからなんか、発音…、変じゃないか?」
「そんなことないぞ。普通だ、普通。」
「そ、そうか…?」
「そうだぜ。いつも通りだぜ、いつも通り。なんたって、俺はノーマルだからな。」
言葉が出なかった…
ノーマル…?
それって…
その言葉って…
どう考えても、そっちの話…
やっぱり俺…
こいつと相席したくなかった。
したら…
こいつと関わったら、俺が知りえない…
いや、知りたくない世界へと連れていかれそうだったから。
こいつと関わったらいけない。
なのに…
「君も二人にお世話になったんだよね?だからね、一緒にご飯くらいいいなじゃないかな?」
「た、確かに…。」
クーロからの言葉…
そしてそう言われてしまったら、俺は何も言えなかった。
お世話になったのは事実だったから…
しょうがない…
ということで、俺とクーロ、ブライスとトゥーリさんが隣同士という感じで席に着いた。
そして着席してからの開口一番…
「でも良かったな。お二人さん、寄り戻せて…」
寄り…
なんというか、その言葉…
「私たち、そんな関係じゃないって~。」
そう、そう聞こえる。
恋愛的な意味に…
そしてちゃんと否定していくクーロさん…
うんまぁ、そうだよね。
そうだよね…
別に期待してなんか…
してなんか、ないし…
「そうなのか。俺はてっきり…。でもあれか。顔的に釣り合わねぇか。」
「おいっ!!それはどういう意味だよ!?」
「それはまぁ。あれだ。あれなんだよ。」
「なんだよ…」
「あれだ、あれなんだよ。」
「いや、言えよ!」
「言ったら可哀相じゃねぇか。」
「おいっ!それはほぼ言ってるからな!!!」
ほんとこいつは…
そして横から服の袖が引っ張られて…
「ど~んまい。」
こいつもか…
「黙れ絶乳…」
「ぜっ!?あるからね!?私、ちゃんとあるからねっ!?」
「はいはい…。有ったらいいね。」
「むっ!?帰ったら覚えといてよ!!!」
「努力はする。」
「それ絶対、覚えてないやつ!!」
「ハハハ…」
俺とクーロの光景を見て、ブライスが笑い出した。
「仲良くて何よりだな。」
「「それはまぁ、ぼちぼち(そこそこ)と…」」
「お、おう。思ってたのとなんか違うかったな…」
まだまだ、4人(?)の会話は続いていく…




