お説教…
冒険者ギルド、今俺たちはそこに帰ってきていた。
そして、何をしているのかと言うと…
言うと…
「クーロさん。前も私言いましたよね。格上の魔物とは戦うなと。言いましたよね?」
「はい…」
リリスさんのお説教を聞いていた。
いや、俺は怒られることがないから、俺はただ本当に聞いてるだ…
「たけしさん。何他人事みたいな顔してるんですか?あなたもですよ?」
「へっ…?」
「へ、じゃないですよ。あなたもクーロさんと同じクソザコ冒険者なんですから、ホブゴブリンと戦ったあなたも同罪ですよ?クソザコ。」
俺もらしい。
というか…
「クソザコ…?」
「はいそうです。E級なんてどいつもこいつもクソザコなんですから、当然あなたもクソザコですよ。ちゃんと、そこんとこをわかってくださいね。クソザコたけしさん。」
「クソザコたけし…」
ちょっと…
というか、かなり辛辣すぎない?
それにリリスさん、会えば会うほど…
なんか段々と口悪くなってるような気がするんだけど…
これ、気のせいだよな…
いや、気のせいじゃ…
「君、クソザコたけしだって…。プっ…。クソザコ…」
リリスさんの言葉が面白かったのか…
それとも、俺が言われてる姿が楽しかったのか分からないけど…
さっきまで怒られてたのをまるで忘れたように、横からクーロの楽し気な声が聞こえてきた。
「こいt…」
「クーロさん。あなたもそこのと一緒で、クソザコですよ?」
「「えっ…!?」」
そこの…
「えっ、って…。当り前じゃないですか。E級冒険者で、そもそもがクソザコなのに、しかも魔法の射程が3メートルしかないんですよ?これのどこが、クソザコじゃないって言うんですか?」
「う…」
「しかも、使える魔法が”ファイアーボール”だけって。どんだけクソザコなんですか?いい加減、他の魔法も覚えましょうよ。」
「はい…」
何も言い返せず、クーロはしょぼくれたように下へとうつむいた。
これを見て、俺が何を思うかと言うと…
「言われてやんの…」
「むっ。君、今なんか言った!?いや、言ったよね?」
クーロが、キッと不満そうな顔を向けてきた。
「言ってないけど…?」
「いや、言ったよ。だってちゃんと聞こえたもん。」
「いやいや、クーロの気のせいじゃ…」
「クソザコども!!」
「「はい!」」
俺…、そしてきっとクーロも、リリスさんの声に背筋がピーンとなった。
「私は怒ってるのは、クソザコのお二人ともですよ?それ、分かってますよね?」
「「はい…」」
「本当ですか?」
「「本当です…」」
「そうですか…」
リリスさんはそう口にすると…
一瞬だけ考えるような仕草を取った後、ニヤッと嫌な笑みになった。
「なら今ここで、”私たちはクソザコです”と、そう宣言してください。」
「「えっ…?」」
俺たちのすぐそばには誰もいない。
だけどここは、冒険者ギルド…
だから…
少し離れたところには、たくさんの冒険者が…
「リリスさん、マジですか…?」
「マジです。」
「でも…」
クーロも、当然嫌みたいだ。
ただ…
「でも、でもありません。」
く…
さすがに、そんなことを口にするのは恥ずかしい。
というか嫌だ。
俺とクーロが、どうするか黙っていると…
リリスさんから…
「なら、別のでもいいですよ?」
「「別の…?」」
「はい。」
別のか…
さすがに、クソザコよりかはマシだろうし、きっとそっちの方が…
「まずクーロさんは、”私はまな板で絶乳おっぱいです”と…」
「えっ…?」
え、えぐ…
なんというか、それはさすがに…
「そしてたけしさんは、”早〇の短〇包〇です”と。」
「はっ!?」
今この人、一体なんて…?
俺は、自分の耳が信じれなかった。
「だから、”自分は、〇漏の〇小〇茎で…」
「「俺(私)たちは、クソザコです。」」
「ちっ…」
「言えるかーっ!!」
「そうだよ。私は、まっ、まな板でも絶乳でもないんだから、さすがにそんな嘘は言いたく…。ねぇ君?なんで、そんな可哀相な人を見るような目で見てくるの?」
クーロは、俺が向けている視線が気に食わなかったようだ。
でもさ、どう見ても…
「いや…」
「いや…、何?何言おうとしたの?ねぇ!」
「別に…」
「絶対あるよね。続き、絶対あるよね!?」
「ない、よ。」
俺は、目を逸らした。
視線を向けた先は、壁だった…
今日は、景色がきれいだな…
「嘘!絶対嘘!その言い方は、絶対あるの!!」
「………」
「なんか言ってよ!!」
「………」
「ねぇ!!!」
「今日は良い景色だな。」
「そっちは壁だからねっ!?ねぇ!!!」




