お買い物…?
俺とクーロさんは、クーロさんが住んでるアパート的な場所を出てから街のへと買い物に来ていた。俺の諸々の荷物を買っていただくためだ。もう、まじで頭が上がらない。当分は、クーロお姉様にこき使われても文句は言えない、かもしれない。
そして、俺たちは目的地へと歩いていく。どこへかって?そんなのクーロお姉様に聞いてくれ。俺は付いて行ってるだけだから。
俺はお姉様にただついていくよ。
そんな俺を太陽が建物の隙間から度々照らしてくる。太陽の位置は真上ではない。おそらくさっきよりも低い位置にあるから、多分もう少ししたら日暮れの時間になるんだろう。
そして建物は、ほとんどが画一的だ。特に一戸建てらしき建物は、ほとんどが同じ造りに見える。四角形の上に三角形が乗っている感じだ。だけど、日本よりかは色がカラフルのものが多い。もしかしたら、今もある、欧州の田舎の家に近いかもしれない。
俺は物珍しさを感じながら、お姉様に必死についていく。正直、人通りが多すぎて、数回お姉様を見失いそうにもなった。
という感じで、俺はお姉さんにたくさんのものを買ってもらった。服とか、そういうのだ。
そして、今はもう帰り道だ。早いだろ?俺もそう思う。
「ほんと、色々ありがとうございます。」
俺はクーロお姉様を両手で拝む。まじ、神様って感じだよ。
「しょうがないよ。れ、君は色々と災難で可哀相だし。」
優しい。まだ、レミーロって名前で呼んでくれないけど。というか、呼んでくれそうな気配は全くないけど。
「いやほんと、そう言ってもらえると助かります。」
「いやいや…」
俺の言葉にお姉さんは笑顔で返してくれた。
すごく紐になった気分だ。
俺とお姉さんがこんな他愛もない会話を続けながら帰り道を歩いていく。
すると…
「あっ、お姉ちゃんだっ!!!」
急にお姉様が声を上げた。
ん?お姉ちゃん…?
クーロお姉様は近くにあった野菜を売っているお店にタタタと小走りしていく。
愛らしい…
俺もそんなお姉様を追った。
「お姉ちゃん、今日どうしたの?いつもよりちょっと遅くない?」
「そうなのよ。屋敷でちょっとトラブルがあってね…」
俺が追いついた時にはそんな会話が広がっていた。
お姉様の話し相手は言葉通りきっと、お姉様のお姉様だろう。ややこしい。大お姉様ってことにしよう。
ダメか。ダメだよな。でもまっ、いっか。
「お姉ちゃん、大変だね。」
お姉様、いやクーロお姉様はまだ会話に夢中だ。
そして話し相手である大お姉様、彼女はクーロさんと似ている。髪の色や背丈まで。ただ、クーロさんと違って、長い髪はくくらずに垂らしていて、目も優し気で少し垂れ目だ。一目で優しい方って言うのが伝わってくる。
そしてそんな大お姉様が俺の存在に気付いた。
「あのー、どうかされました?」
大お姉様が俺に向かって、そう尋ねてきた。
ん-、なんて答えれば良いんだろう。居候?迷子?家無し?捨て子?どれも嫌だなぁ。考えるだけでも辛いから、言葉になんて出したくないや。
はぁ…
お姉様が説明してくれないかなぁ。
俺はクーロお姉様を見る。すると、すぐに目が合った。そして、お姉様はコクッとうなづいた。
お姉様が答えてくれるらしい。
そして、お姉様が口を開いた。
「拾ったの。」
猫かな?
「あらそうなのね?昔からクーロはよく捨て猫とか拾ってきてたものね。」
「そうなの。可哀相だから、少しの間面倒見てあげてもいいかなぁって。」
「クーロは優しいわね。」
「えへへへ。そ~お?」
姉妹の仲睦まじい会話が広がっていく。いや、良い光景だなぁ。
じゃなくて…
「俺って猫なのっ!!?」
「猫みたいなもんだよ。」
「でも、猫ってほど可愛らしさはないわね。」
「「ね~~~~。」」
俺の言葉にお姉様、大お姉様の順で答えてきた。
う…、ひどい。
「俺、別に何にもしてないのに…。」
「何にもしてないからじゃないかしら?」
「そうだよ。ニートみたいなもんだよ。そう思うと、ほんと可愛くない猫って感じだよねー。」
うぅ…
この姉妹、なんでこんな口悪いの。しかも、二人揃ったら急に…。いや、逆か。二人揃ったからか。
はぁー…
俺なんでこんな傷つかないいけないの…。
「で、大お姉…、んんん。お姉さんは、クーロさんのお姉さんなんですか?」
あー、ややこしい。
「そうよ。というか、今あなた…」
「でもクーロさんが、離れ離れにって…。あれ?離れ離れ…。ん?なのに、こんなすんなり会うの?しかも、会ったとき、久しぶりくらいの感覚だったし…。あれ…?」
普通、もっと感動の再開的なリアクションだよね。なんか、ほんと久しぶりくらいだったんだけど…。
「クーロ、あなたなんて言ったのよ?」
お姉さんが、少し呆れていた。
「んー?離れ離れって言ったよ?」
「離れ離れって…。そんな、だいそれた話じゃ…」
「でも、実際そうじゃん。」
「それはそうね。」
俺が聞いてた話とは、なんか違いそうなんだけど。見てて、なんかこう、フランクというか…。
というか、もっと詳細に説明してくれませんかねー。俺、貴族にせいでってことくらいしか知らないんですけどー。
大お姉様は俺の視線に気づいたようだ。どんな視線だったのかはわからないが…。
「そうね、あれは…」
教えてくれるみたいだ。
俺は大お姉様へと視線を定める。
「あっ、お姉ちゃん、時間大丈夫?」
「えっ、もうそんな時間!?急がないと…。じゃー、二人とも失礼するわね。」
へっ?
大お姉様は、そんな言葉たまけを残して去っていった。
はは…。
まさかのお預けっ!?まじ!?期待を煽るような真似したのにーっ!?
まじか、まじでか…。
すごく消化不良だ。俺はお姉様を責める気持ちで見つめた。
そして、気付いてくれたようだ。
「家に帰ったら話すね?私達に何があったかを…。」
お姉様は、真面目な顔でそう口にした。
いや、絶対そんな大した話じゃないだろ、お前っ!!!