ブライスパーティーで戦闘へ… 2
「二人ともおつかれさん!」
先頭が終わったことに、ブライスが労いの言葉をかけてくる。
「ブライスもおつかれ。」
「おつかれ。」
ブライスの言葉に俺、トゥーリさんと続いた。
「おう。」俺とトゥーリさんの言葉に小さく返事をした後、ブライスはこっちにへと視線を向けてきて…
「それにしてもお前さん、良い陽動だったな。」
「うん、良かった。」
なんだろ…
このパーティーに入ってようやくまともな活躍ができたのと、そしてそんな誉め言葉…
なんというか…
すごく気持ち良い。
「そうか?」
ニヤニヤしてしまいそうな顔をなんとか隠して、俺はもう少しと、アンコールしてしまった。
良くない、良くないけど…
もっと褒めてくれ。
「おう。」
「うん。」
俺は嬉しかった。
「あれだしな。」ブライスはそう口にしてから…
「トゥーリの魔力も節約できたしな。」
「そうだな…」
そっか、そういう一面もあるのか。
そう思うと、遠距離と火力の出る魔法使いに無駄な魔力を使わすのは、愚行に感じてくるな。
さっきの戦闘だって、初手であらかた削ってくれるのがないと前線がかなりしんどくなるし。
なるほどな…
俺がそんなことを考えている間に、少し会話が進んでいるみたいだ。
「私は?」
そう口にしたトゥーリさんは、いつものように無表情に見える。
でもなんというか、いつもよりも目がキラキラしているように見えた。
私も褒めろ。
きっとそういうことなんだろう。
そしてそんな要求に、ブライスはいつもの爽やかな笑顔を向けた。
「トゥーリもよかったぞ。」
むふー。
トゥーリさんからそんな音が聞こえてきそうなほど、ニマーとなった。
その表情に、ブライスは穏やかな笑顔を向けた。
そんな穏やかなやり取りを終えた後、俺たちは次の狩りに向かった。
さっきの戦闘から2戦、3戦と俺たちは戦闘を繰り返して、今計10戦目が終わりを迎えた。
「トゥーリ、魔力、あとどれくらいだ?」
ブライスからそんな質問が。
その質問に、トゥーリさんは地面へと視線を、そして顎のあたりに手を添えた。
「たぶんあと、3割くらい。」
「そっか。じゃーあと、数戦したら帰るか。」
「うん。」
「分かった。」
こうして俺たちは、残り少ない戦闘のための獲物を探しに向かった。
次の獲物である、ゴブリン探索を行っていた俺たち。
そんな俺たちの視界の先には、15匹のゴブリンが…
俺がこのパーティーに入って一番多い数の集団だった。
「どうする?」
ブライスへと、そう尋ねる。
だけど、返事がなかなか返って来なかった。
ブライスへと視線を向けると、ブライスは難しい表情をしていた。
「トゥーリ、最初に10匹くらいなら魔法でいけるか?」
「いける、けど…」ブライスの言葉に、トゥーリさんは一応肯定はするけど…
「でもこの数、1割くらい持っていかれる。」
1割…
魔力の話だろう。
10匹もを一撃で倒すなら、きっと広範囲、もしくは数の暴力…
なら確かに、それだけの魔力はいるだろう。
「そうか…」
それだけ言うと、ブライスは下を向いてまた考え込む。
だけどすぐに顔を上げた。
「やるか。で、今日はこれが最後の戦闘だ。これが終わったら帰ろう。」
なんというか、何かしらのフラグを感じた気がしたけど、きっと気のせいだろう。
「「分かった。」」
「ただ、トゥーリは最初の一発以外は、魔力を温存してくれ。」
「うん。」
こうして、俺たちは目の前の集団を討伐することになった。
そして…
「【ストーンバレット】」
トゥーリさんの口から紡ぎだされるのは、いつもの言葉。
だけど…
その数は、いつもの2倍はあった。
数にすると、30くらいはあるのだろうか。
そんな石の礫が、空中に生成された。
そして…
的に向かって飛んでいった。
「「ぐぎゃ!」」
魔法が生成された時点で何匹かのゴブリンは、魔法に気づいたみたいだった。
そして、何かしらの意図を持ちながら声を上げた。
それが、ゴブリンの中で連鎖していく。
ただ、それに意味があったのかは分からない。
だって…
逃げる行動をとったわけじゃないから。
最初、ゴブリンは飛んでいく礫を、訝し気に見ていた。
だけど近づくにつれて顔が段々と青ざめていき…
そして…
大した行動もできずに、礫に被弾していく。
「ぐぎゃっ。」
「ぎゃ。」
「ぐぎゃああああぁぁあぁぁ!!!!」
色んな悲鳴と断末魔が聞こえてきた。
それもそのはず。
だって目の前には、惨劇が広がっていたのだから。
大多数は、すでに命がない模様だった。。
残りは、手や足が欠損している個体とかすり傷で済んでいる個体。
立っているのは、計7匹くらいだろうか。
最初の予定よりかは多い。
だけど、十分な戦果だろう。
「いくぞ。」
「おう。」
ブライスの指示に従って、二人して集団へと駆ける。
無事といえるのは、どうやら4匹みたいだ。
だからか…
「お前さん、手負いを手早く頼む。その間、俺は残りを。」
「分かった。」
視界に広々と、残りのゴブリンは点在している。
そのうちの、元気なゴブリンが2匹固まっているところに、ブライスは突っ込んだ。
俺はブライスにヘイトが向く、ほんのひと間を待つ。
そしてその間で、元気な3匹はブライスがしっかりと注意を引き付けた。
だけど、残りの1匹までもはそう上手くいかなかった。
「お前さん!」
「分かってる!」
1匹は俺の方に向かってくる。
だけどまぁ、1匹ならなんとも感じなかった。
俺は向かってくるゴブリン目掛けて斬撃を放つ。
距離は5メートルくらい。
だから効果はない。
それは身に染みるほど知っている。
だからやっぱり狙いは…
見せかけの斬撃にゴブリンは身構えた。
よし。
俺はいつものように、小さく迂回するようにゴブリンへと向かう。
そして俺の斬撃の間合いに入ったその瞬間、魔法剣をゴブリン目掛けて振った。
ほんの一瞬で…
ゴブリンは斬撃の餌食になった。
あと残っているのは、元気な3のが匹と致命傷を受けているのが3匹。
正直、俺は危険を感じてなかった。
だけど…
ドスンッ…
そんな、足音が聞こえてきた…




