ブライスパーティーで戦闘へ…
目の前には10匹のゴブリンがいた。
ただすぐに…
「【ストーンバレット】」
何匹かを、トゥーリさんが魔法で沈めていく。
その結果、残ったのはゴブリン5匹。
「いくぞ。」
「おう。」
ブライスの音頭に従って、俺もゴブリンに向かって駆ける。
先頭はもちろん、重騎士であるブライス。
そのブライスをおとりにするように、俺も少し迂回する形でゴブリンの集団へと向かう。
そんな俺たちを向かい受けようとするゴブリンたち。
そこにまず、ブライスが突っ込んだ。
まず、ブライスは正面にいたゴブリンを盾で体当たりする。
そのブライスのシールドアタックによって、体当たりされたゴブリンはすぐには最前線に戻れないくらい吹っ飛ばされていく。
ただそんなことに興味がないのか、他のゴブリンたちが一斉にブライスへと飛びついた。
きっと、ブライスの視界いっぱいにゴブリンたちが広がっている。
そのゴブリンたちをやり過ごすために、ブライスは後ろへと一つ、二つとステップを踏む。
ゴブリンたちは、ブライスが後ろに下がって現れた残像に次々と飛びつく形になった。
1匹、2匹と残像に飛びついてくる。
そして飛び跳ねてきて体勢の悪い4匹目のゴブリンを、ブライスは盾で薙ぎ払った。
「らぁっ!!」
体格の差もあって、吹っ飛ばされる4匹目のゴブリン。
空中を散歩した後、衝撃と重力で地面へと叩きつけられた。
痛みでか、それとも衝撃でか四つん這いになっている。
そこへ、俺は魔法剣を振って止めを刺した。
そして残りは3匹とぶっ飛ばされた1匹。
俺がブライスの方へ視線を向けると、ブライスはゴブリンへと剣を振り払っているところだった。
横から一刀両断されていくゴブリン。
残りは目の前の2匹と飛ばされた1匹。
その2匹は、重厚なブライスは突破できないと踏んだのか、ブライスから数歩下がって距離を取る。
助走を取れないことで速さが出ないからか、次はじりじりと間合いを詰めていくブライス。
そのブライスの動きに合わせて、後退していくゴブリン。
少し硬直気味だった。
トゥーリさんの魔法で、遠距離から仕留めても良かった。
でも、俺にはその必要を感じなかった。
警戒態勢を取っているゴブリン2匹に、俺は横から斬撃を飛ばす。
ゴブリンたちの視界の範囲内。
だから、ゴブリンたちは顔を手で庇う。
その隙で、ブライスは詰め寄る。
先に飛んでいく俺の斬撃は、手前にいたゴブリンには薄い切り傷を、遠くにいたゴブリンには傷一つつけなかった。
でも、それで十分。
傷がついたゴブリンは痛みに小さく悶え、何もなかったゴブリンはその現象に驚いている。
そこに、ブライスが突っ込む。
まずは、驚いているゴブリンの喉へ剣の切っ先で刺す。
そして刺し終えると、剣に刺さったゴブリンから剣を自由にするために、足でゴブリンを剣からひっぺらがして、そのままもう1匹へ剣で襲い掛かる。
その動きに、もう1匹は対抗の視線を向ける。
だけど、何もできなかった。
剣で胴体を切断される。
そして残るのは、最初にブライスが吹っ飛ばした1匹のみ。
今そのゴブリンは、痛みからようやく立ち上がったところだった。
距離としては、俺たちから5メートル強。
トゥーリさんからは、もう少し遠い。
トゥーリさんなら届くとは思うけどきっと躱される。
だから、俺たち二人でじりじりと距離を詰めていく。
立ち上がったゴブリンは、落ちている石を手で拾った。
その動きを見た瞬間、俺はすぐにブライスの陰に隠れれる位置へ。
ブライスも、盾をもう一度強く握ったのが見えた。
詰めていく俺たち、その俺たちへやっぱりゴブリンは石を投げてきた。
カンカンという音がブライスの構えた盾から聞こえてくる。
ただ、すぐに鳴りやんだ。
音が鳴りやんで、盾の陰からゴブリンを覗くと、手には何もなかった。
きっと、弾数を使い切ったんだろう。
「今だ!!」
「おう!!」
その状態を好機と見て、ブライスは駆け出す。
当然、俺も付いて行く。
俺たちの突進、いやきっとブライスの突進に、ゴブリンの顔がは段々と青ざめていく。
ただ、それで見逃すようなことはなく、ブライスはゴブリン目掛けて剣の切っ先を向けた。
当然、ゴブリンはそれに貫かれて…
俺たちの周りにあったのは…
ゴブリンの死骸だけだった。




