俺とブライスともう一人…
ゴブリンとの戦闘を終えた俺…
いや俺たちは、今木の陰で休んでいた。
「悪くはねぇな。」
ブライスからそんな言葉が飛んできた。
悪くはない…
けど良くもない…
きっと妥協できる範囲内ということだろう…
妥協…
自分で言っててちょっと悲しくなった。
そう、俺は今日の深夜に受けたパーティー勧誘の話、それに前向きな反応をした。
イエスまでは言ってない。
けど、それと対して変わらない答えを…
だってまだ俺は…
そして今は、俺の力量を見てもらった。
ゴブリン3匹に後れを取ってたけど…
普通に恥ずかしい。
でも、しょうがないと思うんだ。
だって、武器投げてくるとか思わないじゃん。
普通…
はいどうせ言い訳だよ。
まぁでも、ブライスからはそんなに悪くは見えなかったらしい。それだけは救いだ。
「そ、そうか…?」
「あぁ。ゴブリン3匹に負けたのはどうかと思うが、お前さんの能力的に、一人だったら多数相手は厳しそうだしな。まぁだから、妥協できる範囲だな。」
「そうか…」
気を使ってるのか、使ってないのかどっちなんですかねぇ。
どっちにしても辛辣だけど…
でもとりあえず…
心が、痛…
「トゥーリはどう思った?」
そんな深い傷を負った…
負わせた俺をよそに、ブライスがここにいるもう一人に声をかけた。
もう一人…
そう、今俺たちは3人でいる。
元々ブライスのパーティーはメンバー3人だ。
だけど、そのうちの一人は今休養をとっている。
だから残りは一人。
そして残ったもう一人が、今ブライスが話かけたトゥーリさんだ。
本名をトゥリエラ。
そしてあだ名がトゥーリらしい。
というか、トゥリエラってかっこよすぎないか?
男の名前にも聞こえるし、女の名前でもかっこキレイだ。
もう、響きが良い。
まぁでも、俺も負けてないけどな。
なんたって、俺の名前はレミーロ。
くそかっこいいだろ。
でも誰も、この名前でまともに呼んでくれたことはないんだけどな…
話を戻して、トゥーリさんの…
トゥーリさん…
そう、彼女は女性だ。
いや、さん付けだから女性というのは、伝わりにくかったかもしれない。
でも、見た目はちゃんと女性だ。
ブライスとは打って変わって、少し暗い性格を表すような顔。
中性的な、かっこキレイな顔。
だけど表情筋があんまり変わらないから、暗いという印象を受けるのかもしれない。
いやあと、ブライスと比べて髪の色が暗いのも関係しているのかも…
藍色、いやそれよりももう少し暗いかもしれない。
黒みたいな髪の色に、日の反射で青みが見て取れる。
紙の長さは、肩くらいまでだろうか。
ただ髪を後ろで縛って、所謂ポニーテールという髪型にしているから、正確な長さは分からない。
あと、前髪は少し長い。
長さで、目元が少し隠れてるくらいの長さ…
これも、暗い印象の原因かも…
というか、こっちがメインかもしれない。
そして身長は俺より、男性の平均身長よりかは確実に低い。
だけど女性にしては、少し高い印象を受ける。
その彼女は、基調が黒だけど、ところどころに青いラインが入ったローブを着ている。
そして手には小さい杖のようなものを…
そして最も重要な部分…
そう胸だ。
彼女の胸は、まっ平…
いや、ローブを着ているから、着やせしている可能性もある。
だけど、きっとおそらくその可能性は…
あれかな?
この世界って、絶乳の割合が多いのか?
クーロもなかったし。
でもリリスさんはすごいから…
たまたまなのかな。
俺がそんな感想を抱いていると、ブライスの問にトゥーリさんが答えた。
「びみょー。」
女性にしては少し低いかなという声で、抑揚はあんまりない。
で…
びみょー、か。
ブライスとは違った、いやブライスもだけど…
この人のは特に、本音の言葉ていうのが伝わってくる。
はぁ…
どいうもこいつもさ。
もっと俺に気を使ってくれよ。
悲しいよ。
そして、トゥーリさんに質問を問いかけたブライスはと言うと…
「ハハハハハっ…。微妙、微妙かっ!」
俺の方を向いて、楽しそうに笑って来てやがる。
なんだこいつ…
で、俺の視線に気づいたようだ。
「すまんすまん。つい面白くてなっ。」
「お前ほんと、謝ってる気あるのかっ!?」
「あるある。微妙に。」
「微妙にかよっ!!!」
そして次は俺の言葉を聞いて、ブライスが声を出して笑い出した。
なんだ、こいつ…
その笑い出したブライスに、トゥーリさんが俺の方を指して…
「この人、うるさいね…」
「ほんとなっ!!」
ブライスがすぐさま、そう返した。
いやさ、ブライス、お前もだろ…
こうして、俺の新しい生活が始まっていく…




