早めに帰ってきて…
俺たちは今、冒険者ギルド、その中の受付の前まで帰ってきていた。
草原でのブレイクタイムの後すぐ、俺たちは帰宅することにしたんだ。理由はそう、ホブゴブリンがまだ俺たちを探し回っている可能性があったからだ。
俺たちはホブゴブリンに、かなり長い時間を執念深く追いかけられた、だからきっと、まだあいつが森の中で俺たちを探している可能性が高いと踏んだ。それに俺たちからの攻撃はほぼ効かないし。それならまた明日から仕切り直して、今日はゆっくり、もしくは武器屋等を回ろうという話になった。
そして今からは、お楽しみの換金タイム。いやね、いくら貰えるかは自分で分かっているんだ。少ないというのも。だけどそれでもさ、この瞬間だけは心がウキウキするんだよ。それにいい感じで、相方のゴミさも忘れれるしね。実はこっちが本命、かもしれない。
あ~、いっくらかな~。
分かってはいるけど~。
そして目の前の受付にいるリリスさんが、下から小さいトレーを取り出した。
「はいでは、3000ユーリですね。」
「ありがとうござい、ます…」
悲しい声しか出てこなかった。
3000…
二人でなら、1500…
子供のお小遣いかな?
いや、知ってたんだけどね。今日はいつもよりも狩りの時間が短かったし。でもなんか、辛いよ…
なんで俺、期待なんかしたんだろう。でも、しちゃったんだよ。しょうがないじゃん。
まぁ、こんなあほみたいなことは置いておいて…
「リリスさん聞きたいことがあるんだけど…」
聞きたいこと…
そう、武器屋関連のことだ。
俺やクーロはまだまだ冒険者の新米、だから武器屋とかの繋がりは全くといってない。ほんとにない。そしてそういう時はどうするのか、そう、冒険者お助けのエキスパートに頼ることだ。目の前にいる、きっとエキスパートであるだろうリリスさんに…
俺の言葉に、リリスさんは笑顔のまま小さく首を倒す。
「どうされました?たけしさん…」
たけし…
これはボケなのか?それとも…
あ~~っ!
なんでこんなのにボケかどうか悩まないといけないんだよ。普通は、俺の名前でもないなんでもないんだからボケ、そうに決まっているはずなのに。なのに、皆から俺はたけしと…
あ~、めんどくさい…
確かこの前は、スルーしたら嫌み言われたんだよな。なら今回は…
「リリスさん、俺はたけしじゃなくてレミ…」
「今はそう言う冗談はいいんでっ!」
「へ…?いや、冗談じゃ…」
「はいそうですね。で、どういうご用件ですか?」
冷たい…
せっかく、ツッコんだのに…
はぁ…
「はい…。そろそろ武器の強化も考えていこうかなと…。なんで、リリスさんなら良い武器屋とか知ってないかなって…」
「武器屋ですか…」
リリスさんがそう呟いてから、口の辺りに手を当てる。そしてさらに…
「知ってはいますけど…。でも、お二人の今のランク的にはまだ大丈夫な気がするんですが…。クーロさんの魔法に、それとたけしさんが持っている短剣…、短いので…」
リリスさんの表情が段々とニマァと悪い顔で、俺の下半身へと視線を落とした。そしてどう見ても、腰につけている短剣には目が向いていない。どこに目がいっているかと言うと、相棒に…
「なんで言い変えたのっ?それにリリスさん、その目線すごく嫌なんですけど…」
なんというか、見えていないはずなのに、相棒の大きさを見透かされているかのような、そんな感覚…
「ん?気になさらなくていいですよ。でも本当に短そうですね。」
「はぁっ!?短くないですけどっ!ちゃんと標準はありますけどっ!!」
リリスさんは目を少し見開いた。
「標準…、その顔でですか…」
「顔は関係なくねっ!!!?」
「そうですかねぇ…」
なんというか、すごく含むような言い方だった。何なの、この人…
俺が呆れたようにリリスさんを眺めていると、横からツンツンとされた。嫌な予感をさせながらも俺がそっちへと顔を向けると、クーロが笑顔で…
「ドンマイっ!」
相方がそんなことをぬかしてきた。ほんと、どいつもこいつも…
「黙れ、ち…、絶っぱい…」
「ぜっ…、ねぇ、そんな言葉聞いたことないんだけど、絶対私のに言ってきたよねっ!?ねぇっ!!ちゃんと私、ちっぱいくらいはあるよっ!!ほんと、あるんだからっ!!」
なんかクーロが、興奮し始めた。そこへリリスさんが…
「まぁ、たけしさんはともかく、クーロさんのは一目で分かりますよね。ぜっぱいって言うのが…」
「リリスさんまで…。ちゃんと私、ちっぱいくらいはあるんだからっ!!」
クーロが涙目でそう必死に反論していた。でも…
ちっぱい、ねぇ…
ほんと、そんなにあるのかなぁ…
「君はほんと死ねばいいのにっ!」
たぶん、もう一話は出します




