俺たちと魔物と長い草原…
さて、今どんな状況でいるのかと言うとだ…
ボロボロの俺…、俺たちと、未だに膨れているクーロ…
前もこんなことがあったような気がする。おかしい…
だって、俺と相棒をぼっこぼこにしたのに、なんで未だにそんなふてくされてるんだよ。機嫌直してくれよ。俺たちをぼっこぼこにしたんだからさ…
うぅぅ…
「なぁクーロ…」
「……………」
視線だけで、言葉を返してくれない。まだ、気に食わないようだ。
なんで…
「聞きたいことがあるんだけどいいか…?」
「……………」
で、やっぱり向けてくれるのは、視線だけのようだ。もうめんどくさいから、俺はそのまま言葉を続ける。
俺たちが今いるのは森の外。正確に言うなら森の入り口。そして視界の先には、弱い魔物がいるらしき草原。ならさぁ…
「なんで、俺たちは草原にいる弱い魔物を狙わないんだ?だってそうすれば、ゴブリンと相手しなくても良くなるのに…」
自分で言ってて悲しかった。だって、ゴブリンといえば普通はほぼ最弱…
それなのに、そのゴブリンよりもさらに下を狙おうって言ってるんだぜ。ちょっと悲し過ぎる。でも俺たちは、良い条件で奇襲でもない限り、ゴブリン一匹と対峙するのがやっと。それなら…
はぁ…
なんでこんなに弱いんだろう…
もう少しだけ、もう少しだけでも、戦う術があってくれてもいいのに…
うぅ…
そして、久しぶりにクーロの声が聞こえてきた。
「それはだよ?見てみて、あの草原…」
俺はクーロの言葉に釣られて、クーロから目の前に広がっている草原へと視界を動かす。
「あの草原、まずは草の長さがひざ下くらいまであるよね?そして、木もほとんどない。」
「あぁ…」
クーロの言葉通り、草の長さはひざ下、そして木も少ない。だから、俺たちが住んでいる町というか、壁?がここからでも遠目で見える。それくらい視界が良い。
「どう魔物に攻撃するの?」
「どう…?」
「うん。だって、風で吹っ飛ばしても、草の長さのせいでどこに行ったのか探さないといけないよね。きっとその間に、飛ばした魔物が意識を取り戻しちゃうよ。それに火魔法だって、こんだけ草が多くて長いから草が燃えちゃうよ。だから私たちには、ここでの戦闘は無理なんだよ。」
は~…
「なるほど…」
「分かってくれた?」
「あぁ。さすがクーロだな。まるで…」
一度経験したことがあるのではないかと疑いたくなるほどに、すごく詳細な説明だった。でもさすがに、そんなことはないよな。クーロでも。それに…
今クーロは嬉しそうに無い胸を張っている。ようやく機嫌が戻ってくれたのに、野暮なことは言う必要はないよな。うん。
それにしても…
ほんとないよな。胸…
「ねぇ君…」
視線をクーロの顔へと上げると、また俺をじとーっとした目だった。
もしかして、無い胸見てたのばれたのか…
なんでこんなすぐ気づくんだよっ!
「ということはやっぱり、ゴブリンを倒すしかないのか…」
誤魔化す意味も込めて、いや、そっちがメインだな。誤魔化すように、俺はそう呟いた。
クーロは少しの間、俺を睨んでいたけど…
はぁ…
そう息を吐いてから…
「一応、コボルトもいるにはいるけど…」
「コボルトか。それって、どういう魔物なんだ?」
クーロは渋い顔になった。
「鼻が良くて、仲間を呼ぶ魔物だよ。」
鼻が良くて…
つまり、奇襲はされるし、逃げにくい…
そして仲間を呼ぶ…
俺とクーロの二人対コボルト多数…
攻撃手段の乏しい俺たち。その俺たちが、多数を相手…
それって…
「相性最悪じゃないか?」
「そうだよ。だから私たちには、ゴブリンしか残ってないんだよ。」
ゴブリンしか…
当然上は無理。そして下も…
この世界、なんでこんなに世知辛いんだろう…
もっと夢、見させくれよなぁ。はぁ…
そしてこんな時…
「きゃぁぁぁ~~~~~~…」
絹を裂くような女の悲鳴が、草原の方から聞こえた。俺はクーロへと視線を移す。すると、クーロも俺へと視線を向けてきていた。合った視線。その瞬間、俺たちはうなずき合った。
だから俺たちは…
今日はここで打ち止めで
ここからも見ようかなって方は、モチベに繋がるのでぜひブクマして頂けると嬉しいです。
あと更新について、日曜(余裕があれば数話)は固定でもう1、2日くらい、一話だけあげようと思ってます。とりあえず、考えます
ということで、ではでは




