見つけた、けど…
ガサガサ…
草木が揺れるそんな音が周囲から漏れ出る。
俺とクーロは今、魔物が多く生息する森の中へと入っている。とはいっても、浅いところにだ。深いところには、強い魔物が多い傾向にあるらしいからな。
そんな中、俺とクーロは歩を進める。
森の中は思ったより、かなり暗い。
森の外から見た森の印象は、青々しさが強いという印象が強かった。だけど、森の中ではその印象はかなり薄い。上を見上げると、木の枝と枝で阻まれて、太陽の光が俺たちの、いや森の中へと入ってきていない。
そして、森の中は、まるで夜のような暗さがある。葉っぱ一枚一枚が、太陽からの明るい光ではなく、森の中にある薄い光を反射して、不気味な暗さが森全体を照らしている。その不気味さが、魔物がいるという事実がより怖くしているのかもしれない。
「不気味だね。」
クーロから、不安そうな声が届く。やっぱり、クーロからしてもこの森は不気味に映っているみたいだ。
「そうだね。」
正直、こんな言葉しか返せない。
いつ魔物が襲ってくるか、それを考えると、話に脳を使うのがすごく怖いからだ。そんな暇があるのなら、少しでも周りへ気を配りたい。
大した会話もせずに、俺とクーロは森を進む。注意を払って…
だけど…
「いないね…」
「そうだね。」
そう、なかなかゴブリンがいないのだ。というか、魔物がか…
いや、遭遇しないでくれて嬉しい自分は当然いる。だけどだ、見つけられないと何も話が進まない。だって俺たちは、生活費を稼ぎにきてるんだから。そう思うと、なかなかに世知辛い。
魔物見つけられないままだけど、かなり歩いた。だからか…
「少し休もっか…」
クーロがそう提案してきた。
「分かった。」
俺はクーロに従う。
ということで、俺とクーロは木陰で身体を休めている。
「それにしてもいないね。」
「そうだな。いつもこんなにいないのか?」
「んー、日によるかな…」
クーロは悩まし気だった。
「そうか…」
そんなもんなのか。うじゃうじゃといても、おかしくないような気もするけど。いや、それは嫌だな。気持ち悪くて…
俺が今まで気を張り続けたせいでか、一瞬気を緩めたその瞬間…
バッ
クーロが俺の口元を手でふさいだ。
!!!
もしかして、もしかしてクーロ…
発情k…
「あそこ…」
俺のそんな期待を無視して、クーロは奥の方を指さした。
違うのか。なんだ…
俺はクーロが指さした方へ、渋々視線を向ける。すると、そこには…
ゴブリンがいた。
地面に座り込んでいる。そしてその付近には、仲間も武器もなさそうだ。狙い目なのかもしれない。
俺は端的に尋ねる。
「あれ行く?」
俺の言葉にクーロは、頭を縦に振った。
あいつを狩るとのことだ。
視線の先にいるゴブリン。距離はだいたい10、いや、15メートルくらいか。少し遠い。だけど、こっちには斬撃が飛ぶ魔法剣と魔法使いがいる。いける、全然勝てる。
ふー…
俺は魔法剣を構えた。
「クーロ、俺はサポートでメインはお前だ。頼むぞ。」
俺は心でまた唱える。
出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ
「出ろーーーーーーっ!!!!」
「ちょっ!?」
クーロの声が聞こえた気がした。
だけど…
ブィ~ン…
俺が放った斬撃が飛んでいく。そして…
ぼふっ…
ゴブリンへと斬撃が当たって、魔法が視界を奪うようにはじけた。
「クーロ、今だっ!」
これでいける、はずだった。
「ちょっと待ってよ。私、こんな距離から魔法当てれないんだけど…」
「へっ?えーーーーーっ!?」
「ちょっ!?しー…」
ばっ…
俺はまた口元を抑えられた。
そして二人してゴブリンを見つめる。すると、あいつはキョロキョロとするだけで、こっちへとやって来なかった。とりあえずは、大丈夫そうだ。
「君、いきなり何するんだよっ!?」
小声で責められる。だけどさぁ…
「いやだって、こんな距離も魔法が飛ばないなんて思わないだろ?」
クーロは無い胸を急に抑える。さっきの俺を見ているようだ。
だけど俺は、遠慮せずに言葉を続けた。
「なんでそういうのはもっと早く言ってくれないんだよっ!?」
「いやだって…」
クーロが気まずそうに声にする。
「だって?」
「聞かれなかったから…」
はぁっ!?
「そんなの分かるかぁーっ!」
「むー、君だって勝手なことしたじゃないかっ!」
「それは…」
「それは?」
「いや…」
俺は、こんな言い合いがもう少し続くかと思った。
俺が気まずさから視線をずらした。そしてその先に、というかほぼ目の前にゴブリンがいた。
「ぎゃははははは…」
ゴブリンがこっちを妙な笑い方を向けていた。
どうやら俺たちは、ゴブリンと一戦交えないといけないみたいだ。




