第4話 知らぬが仏
通された部屋には何ひとつとして物が無かった。
「あの、ここで何を......?」
「ライト・ストレイト」
話しかけた途端、老人は何事かいた。
その途端、目の前が光に包まれ方に鋭い痛みが走った。
うっ、と呻き痛みの根源に目を向けると肩に穴が空いていた。
「がっ、ああぁぁぁぁぁ!」
痛みと驚きに叫びその場に崩れ落ちると、老人が頭に足を乗せてきた。
「おじいさん、何してるんですか!?」
「何をしているだと?使えないゴミを処理しようとしているのだよ。そして、ちゃんとハルム宰相と呼べ!」
そう言って一層頭を強く踏んできた。
あ、このおじいさん名前言ってたか、全く聞いてなかった。完全にモブだと思ってた。
痛みの中でしょうもないことがふと浮かんだ。
だが仕方の無いことであると言えよう。これからは憧れた異世界チート生活が始まると思っていたのだから。
それが今ではどうか。使えないと言われ、肩を買かれ地に伏し、これからどのような目に遭うかも分からない。
あまりの不安とやるせなさに涙が零れてきた。
だが仕方の無いことであると言えよう。これからは憧れた異世界チート生活が始まると思っていたのだから。
それが今ではどうか。使えないと言われ、肩を貫かれ地に伏し、これからどのような目に遭うかも分からない。
あまりの不安とやるせなさに涙が零れてきた。
「何を泣いているのだ、この役立たずが!」
ハルムはそう言って僕の肩を蹴り飛ばした。
痛みにまた呻き声が出そうになるが、それよりも先にハルムが僕の髪の毛を掴んで無理やり上を向かせ目を合わせた。そして
「まだお前には言っていなかったな」
と思わせぶりなことを言った。
一体どのようなことが言われるのか息を潜めた。
「お前達勇者をこの世界に召喚するのになんの対価もなく出来ると思うか?」
まさか。
思う中で最悪の事が頭をよぎった。
そんなはずは無いと自分に言い聞かせていた。
「勇者一人を呼び出すために国民1000人を生贄としたのだよ。それなのにお前はこんな無能でのうのうとこの国で生きようとしていた。その事が私はどうしようもなく腹が立つのだよ」
全身から力が抜けていき、頭が冷たい地面に付くのがわかった。
酷いと思って、誰かを憎もうにも自分以外に誰も罪人はいなかった。もうこのまま消えてしまいたいと思った。
「……」
ハルムは僕を見て鼻で笑い、
「はっ。これまでなんの危機にも直面せず生きてきたの者はこれしきのことでそのようになってしまうのか。情けない。」
それからハルムは何も言わなくなった僕を気が済むまで蹴りつけた。
暫くして、飽きたのか蹴りが止むと、一人の男を呼び出した。
「前々から望んでいた勇者の体だ。好きにしていいぞ。」
「ほんとですか!ありがとうございます!いや〜、ずっと勇者の身体調べてみたかったんですよ」
男は嬉しそうに言うと、どこからともなくカートを出して意識が朦朧としている航太を荷台に乗せた。
そこで彼の意識は完全に途切れた。