光雷卿の教育
## ≪喪失と疲労≫
夏の灼熱が過ぎ去り、大地に秋の気配が忍び寄っていた。銀杏の葉が黄色く染まりはじめ、朝夕には肌寒さを感じるようになる
マーシャル・フロルツの執務室はいつもの整然さを欠いていた。机上には山積みの文書。壁には主要都市の位置関係を示す地図が貼られている。青いピンが次々と増えていく—降伏した都市を表す印だ。
「マーシャル・フロルツ」副官が声をかける。「東部地域の最後の拠点が降伏の意思表示を出してきました」
マーシャルは返事をせず、左手の薬指にはめた指輪を見つめていた。彼の横顔に深い悲しみの色が刻まれていた。
「報告は……あとにしてくれ」彼がようやく口を開いた。「少し休みたい」
### ≪停滞する政治≫
マーシャル・フロルツが機能不全を起こす、すると光雷卿がやらなくてはならない。青鷲同盟の解散によって統制されていた政治勢力が解散。各地で商業都市の抵抗運動は収束して、降伏都市が増える。
軍事は順調に進んだ。降伏した都市を支配下におさめていく。
光雷卿が地図を見ながら頷く。「残るは首都白鳥周辺のみか……」
「しかし」「マーシャル様がお休みになられ、政治の機能が著しく低下しております、政治体制がまだ追いついておりません、このままではまた反乱が起きる可能性もあります」
女性外交官、政治の濃彩の補佐が言う。
### ≪癒しを求めて≫
疲れ果てた光雷卿が廊下を歩いていた。兵士たちが敬礼するが彼は気づかない。
(政治は滞ってる……軍事は順調だが……)
彼の足が自然とある方向に向いていく。
### ≪子供部屋へ≫
「見てよ!これが父上の騎兵隊!」
幼い手で小さな木彫りの馬を並べ軍勢を作っている。
「マリイカの騎兵は強いんだぞ!反乱軍なんてすぐに蹴散らしちゃうんだ!」
彼は自信満々に宣言した。「僕も大きくなったら父上みたいに戦場に行って、いっぱい敵を倒すんだ!」
光雷卿が微笑みながら。片足を少し引きずりながらハインツに近づき膝をついて話しかける。
「おやおや、随分と熱心だね」
「僕すごいよね!」ハインツが自慢げに胸を張る。
しかし父の表情が真剣なものに変わった。「ハインツ」
「なに?」
光雷卿は今まさに政治で困っていた、戦は天才なのであまり困ったことがないなのでハインツに言う。
「ハインツ戦争は部下の戦の強いものにやらせても問題がない、政治はちゃんと上のものが理解していないと政治の腐敗をうみ皆困ってしまうんだ、だからハインツには戦争より政治の勉強をしてほしいな」
「僕にとって一番大事なのは政治?」
光雷卿は小さな息子の頭を優しく撫でた。少し考える、俺は人の気持ちがわからないと言われる。まあ俺の登用した家臣は皆いなくなった。人望と人を見る目はないなと苦笑いをする。
ハインツが不思議そうに見つめる?
「どうすればいいの?」
光雷卿が少し考え
「一番大事なのは、人の意見をちゃんと聞くこと。良い意見を言ったものには『良い』と言い、間違っているものには『間違っている』としかっり判断できること、良い意見をいった者や良い事をした者にはしっかり評価し褒美を上げなさい」
「父上はできるの?」
「出来るようにはしたいと思っているよ」ハインツの頭をなでる
### ≪二番目の息子の登場≫
「あらあら……!」
突然の物音にハインツが振り返る。扉の方から何かが這うような音が近づいてきていた。
「あ~っ!」
ハイハイの姿勢で勢いよく現れたのは、まだ1歳になったばかりの次男ミラルだった。小さな体で精一杯前に進みながら、手に玩具を握りしめている。
「ミラル!」
ハインツが飛び起き弟のもとに駆け寄る。弟の頭を撫でると嬉しそうに笑った。
「また逃げ出してきたのか?」
### ≪母の苦労≫
「ごめんなさい!」
妊娠中の妻ファリスが慌てて追いかけてきた。大きなお腹を抱えながら息を切らしている。
「ミラルったらよくベッドから脱走するんです。ハインツはおとなしくて静かだったのにミラルは元気が良すぎて男の子ってこんな感じなのかしら」
光雷卿が苦笑いしながらながらファリスを支えた。「苦労かけるな」
### ≪喜びの報告≫
「それより、聞いてください」ファリスがふと表情を和ませた。「マリイカが女の子を産んだんですよ、ダリオが女の子のお父さんですよ」笑いながら言う。
窓の外で木枯らしが舞う。城の庭では紅葉した葉が地面に絨毯を作っていた。
「少し寒くなってきたな」
光雷卿が息子たちに外套をかけてやる。ミラルは小さな手を父親の指に絡ませて喜んでいた。
「体は大事にするように」彼は妻ファリスの方を向き言いながらそっと肩に手を置いた。
### ≪伝令の急報≫
「閣下!」
突然、扉が勢いよく開かれた。伝令兵が息を切らせながら告げる。
「スワイケルド公国を攻略したとアレクシスからの伝令です」
「何?」回想終わり




