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貴族様と言われたい  作者: チョウリョウ
第2章  デリア国編
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雷霆砦の死闘 (ボス戦)

# 雷霆砦の死闘


## 迫る影


「光雷卿!敵指揮官が向かってきます!」


近衛兵が言うの警告が届く間もなく、ラウテル山黒豹グレン・ヴォルケンが雷霆砦が駆け上がってきた。彼の漆黒の短刀は未だ血に濡れている。


光雷卿ヒンター・ベルガーは槍を構えた。槍の家庭教師に教わった槍の基本の型を握る。


「チャイスを討ち果たしたか……」

光雷卿の声には怒りよりも悲しみが滲んでいた。


「パベル最強の重装歩兵を倒すのに相応の犠牲が必要だった」

黒豹が笑みを浮かべる。その背後には数十人の黒豹精鋭兵が続いていた。


「光雷卿を討てばパベル軍は崩壊する。終わらせよう」


光雷卿の瞳が金色に輝いた。「来るがいい」


## 伝説の対決


雷霆砦の中庭で二人が対峙した。太陽の光が二人の間を割るように差し込む。


「貴様と戦える日が来るとは思わなかった」

黒豹の短刀が奇妙な角度で構えられている。


「私もだ。ラウテル山黒豹の名はパベルまで聞こえていた」

光雷卿の槍が光の加減か微かに雷光を纏った。


最初の動きは双方同時だった。

黒豹の短刀が弧を描いて光雷卿の喉元へ飛ぶ。それを光雷卿が槍で弾き返す。火花が散り、空気が震えた。


「なるほど!」


グレンが後方へ跳び退いた瞬間、光雷卿の槍が鋭く一突きを放ち、家庭教師の基本の型何度も行った槍が唸りを上げ槍が走り、黒豹の頬を掠めた。


「見事な槍だ……!」


黒豹の表情に初めて緊張が走る。だが直後、黒豹の姿が消えた。


「上か!」


頭上から振り下ろされる短刀を寸前で躱す光雷卿。しかし腕に浅い傷を負う。


「早い……!」


二人の動きは常人の目には捉えられない速さになっていた。光雷卿の槍と黒豹の短刀が交わるたびに金属音が轟き、青白い火花が散る。


「その程度か?」

黒豹が嘲笑うように言った。


「いや……」

光雷卿の瞳がさらに輝きを増した。

「本番はこれからだ!」


光雷卿はいっぱいいっぱいだった、実力差も感じながら光雷卿咆哮が唸りを上げる。槍がそれにこたえるように、光が雷にように反射し、一振りごとに空間を切り裂く轟音が響いた。


「これは……!」

黒豹が初めて後退した。


## 決死の賭け


しかし絶望的な戦況と変わらなかった光雷卿の目に絶望が芽生えた。黒豹のやはり強いのだ。


「負けられぬ……」


黒豹が笑う。

「負けられぬのは我々だ、ラウテルの山神に捧げられた者たちためにも。負けるわけにはいかないのだ」


その時光雷卿は悟った。この戦いは肉体だけでなく精神の勝負でもあることを。


「ならば……」


光雷卿の構えが変わった。守りに入らず、攻めに全霊を傾ける体勢。


「来るがいい!」


二人の戦いは最高潮に達した。光雷卿の槍が基本の型を昇華させながらを轟かせながら黒豹を攻撃する。しかし黒豹はまた死を恐れずに槍の間合いの中にはいって来て反撃してくる。


「これが……最後だ!」


光雷卿が渾身の一撃を放った瞬間、黒豹の短刀が彼の脚を狙う。


「!」


光雷卿はをわざと足を引かなかった。短刀が大腿部に突き刺さる痛みにも関わらず、肉を切らせて骨を断つそして槍を振り下ろす。


「おのれ……!」

黒豹の叫びが響いた。光雷卿の槍が彼の背中に深々と突き刺さったのだ。


二人が同時に膝をつく。光雷卿の短刀が刺さったままの脚からは鮮血が溢れ、黒豹は背中には明らかに致命傷の傷がついていた。


「見事だ……光雷卿……」

黒豹の声は弱々しかった。


「貴様も……真の武士だった……」

光雷卿もまた血を吐きながら答えた。


# 希望の光 ― ダリオの救


## 血染めの救援


「グレン様のためにも光雷卿を討ち取れ!」


黒豹精鋭兵が一斉に光雷卿に襲いかかる。脚を貫かれながらも光雷卿は槍を構え直すが、その動きは明らかに鈍っていた。


「終わりだ、光雷卿!」


槍が閃いた刹那――


「誰の許しを得て俺の閣下を奪おうとしている?」


轟音と共に何かが戦場に飛び込んできた。巨大な武器が旋回しながら黒豹兵を薙ぎ払う。


「ぐわぁっ!」


二つの首が宙を舞い、三人目の胸板が縦に引き裂かれる。


「何奴だ!」


黒豹精鋭兵の怒号の中、一人の大柄な男が立っていた。腕には無数の古傷。両手には異形の武器――長い柄の先に斧と槍と鉤爪が複合したような「絶命ハルバード」を握っている。


「ダリオ・ヴェルデ……?」

光雷卿の瞳が微かに見開かれた。


「面白そうなんで来ました、閣下」


ダリオ・ヴェルデの顔には珍しい微笑みが浮かんでいた。


「ダリオ・ヴェルデ……何故こんな所にいるのだ?」

光雷卿が疑問を投げかける。


「閣下がお呼びになれば世界の果てからでも馳せ参じます。ましてや目の前にいらっしゃるなら尚更ですよ」

ダリオの目が無邪気に笑った。


## 絶命ハルバードの猛威


「おまえ如きに止められるものか!」

残った黒豹精鋭兵四人が四方から襲いかかる。


ダリオの絶命ハルバードが唸りを上げた。

一撃で二人の首を吹き飛ばし、返す刀で一人の胸板を貫く。最後の一人は絶命ハルバードの鉤爪部分に腹部を引き裂かれ、内臓が飛び出した。


「ギャアァッ!」


断末魔の叫びと共に四人の黒豹精鋭兵は塵のように散った。

「雑魚共が……」 


## 遺言と決断


「もうやめろ」

「グレン様!」

ラウテル山黒豹の精鋭が駆け寄った。血溜まりの中でグレン・ヴォルケンはまだかろうじて意識があった。


「……もう……いい」

彼は微かに笑った。「我が……兵士たちを……撤退させろ……」


「しかし……グレン様を置いて逃げるなど……!」


「命令だ……!」

突然の厳しさに黒豹精鋭たちがが凍りついた。「……全軍を……撤退させろ……」


黒豹の最後の命令



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