光雷卿の誤算（サリバ国）
傷跡のサリバ国
## サリバ国
サリバ国はパベル王国の北に位置する民主国家であり、元はパベル王国であったがその社会主義的政策を嫌った民衆が起こした民主主義を理念より独立と自由を尊ぶ気風があった。七十年前市民革命により民衆主権の憲法を制定し、多党制民主主義を確立した歴史を持つ。国内では「国民投票の伝統」「町内評議会」「公開議論」といった独特の直接民主制が根付いており、人々は自らの手で政治に参加することに誇りを持っていたそれがまたもパベル国に統一されることに不満を持っていた。
光雷の戦いで勝利を収めた。光雷卿ヒンター・ベルガー。十六歳の若さでありながらベルガー家を率いその軍才により、その雷を味方につけたような戦い方でサリバ王国を滅ぼしパベル王国にある領地は叔父が引き継ぎ、サリバ国全体の支配権をパベル王国から拝借していた。
彼の内政は単純明快だった。
「サリバ国の民にパベル国でしていた制度をそのまま社会主義体制を導入し、安定と発展をもたらすこと」
## 革新の嵐
就任から、光雷卿は法令を発布した。
公共事業管理の学校の整備設置**
> すべてのインフラ整備・都市計画・交通網建設は学校が管理する
みんな働こう労働規制**
> 労働者の組織的権利は国家が許可し鑑定職業適性を行う基本は合うもの、職業の自由の禁止
食事制度**
>朝と夜、学校で食事を提供する給食
経済制貿易による店舗の制限（わらしべ交易のため）**
>店の制限、国家機関が独占運用
冒険のギルドカードの寄る独占機関の銀行機関の成立**
>ギルドカードを発行する
土地の私有制廃止**
>土地は国家が管理する
医療の改善**
>学校内に病院施設いれ一括管理、民間療法師を追放
文化振興**
>サリバ国の独自文化を一掃し芸術関係の排除
教育改革**
>子供は昼は勉強、午後、職業適性見習い2時間、終わったら遊ばせる基本週５日学校の教育愛国心教育を強化
デモは人の集まりの制限**
これら政策は「ベルガー家式社会主義」と銘打たれたが、その本質はベルガー家の独裁体制に他ならなかった。
サリバ首都（白鳥）では異論が続出した。
「私たちの先祖は何のために血を流したのですか？ 自由と平等のためです」
「学校とは学びの場であって、奴隷を育てる工場ではない！」
それでも光雷卿は耳を貸さなかった。彼にとって民衆の意見は未熟な群集心理でしかなく「正しい指導者」が必要だと信じていたのだ。
## 分裂の序章
初秋、地方都市でで最初の反発が起きた。執行官が現れたときのことだ。
「店は禁止だ直ちに国に返還するように」
集まった町民たちは石畳の中央で円陣を組んでいた。古参の商人が代表して発言した。
「我々は祖父の代から商いをしてきました。なぜ今さら奪われるのですか？」
執行官は文書を読み上げた。
「これは新しい秩序です。個々人の欲望ではなく全体の利益が優先されます」
「違う！」怒声が上がった。「私は誰の命令で生きていない。自分の意思で生きている！」
その夜、同様の抗議行動が各地で同時発生した。
地方都市クレモントでは夜間集会が催された。かつて市民革命で活躍した老兵たちは秘密裏に連絡を取り合った。
「サリバの精神を取り戻そう」
抵抗運動「青鷲同盟」が結成されたのは冬に入る頃だった。彼らは町の教会を利用し、密かに通信網と武器庫を整えた。中心人物は旧議会の副議長で二八歳の女性政治家である。
「私たちの選択は一つです」女性政治家は同志たちに言った。「子供たちが『なぜあの時代に戻したのか』と問われないよう闘いましょう」
## 光の陰影
光雷卿の政策は表面上の成果を上げ始めた。給食制度によって飢餓が減少し、治安は回復は向上した。しかし同時に自由市場が衰退し、人々の自由はなくなった。
これにより各地で反乱がおきる。
