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貴族様と言われたい  作者: チョウリョウ
第1章 サリバ国編
12/61

トラバサミ(狩猟に使う罠)の戦い(ボス戦)

##敵視点


≪ヒヘル前宿営地≫



【幻獣作戦】


幻獣が鋭い眼光を放ちながら地図を眺める。


(幻獣)「敵は挟撃を狙うはずだ。そのためには必ず街の外に出なければならない—その時を狙う」


指で地図上の各ポイントをなぞる。


(幻獣)「我らはまず時渡の軍に向かう」


副官が驚いた表情を浮かべる。


(副官)「挟撃になるのでは?」


幻獣は冷ややかに笑った。


(幻獣)「挟撃するには町から出ないといけない……あの若造は好戦的だ必ず街を出る」


彼はヒンターの性格を好戦的とよんだ。


(幻獣)「街を出たら反転攻勢をかけ街の門に閉められないようにしてそのまま街に流れ込む、わが軍の機動力と牙を味あわせてる」



##ヒンター視点


≪第二都市ヒヘル≫


【ヒンターの天才的読み】


城壁の物見櫓から広大な平原を見下ろすヒンター。


(貴族)「……奴の動きが読めたぞ」


マリイカ(アタッカー)が首を傾げる。


マリイカ(アタッカー))「幻獣の次の一手ですか?」


(貴族)「ああ。奴の立場なら各個撃破を狙うはずだ」


ヒンターは指先で地図をなぞりながら説明する。


(貴族)「幻獣にとって最悪は挟撃だ。だが時渡と正面からぶつかれば被害も大きく苦戦をする、その場合勝っても、第二都市ヒヘルと、王都軍との挟撃の基本構造は変わらない、それならば、弱いであろ我々いるヒヘルを落とせば、籠城もできるすべての面で効率的である」


マリイカ(アタッカー))「ロレンソ(時渡)様を無視して我々を先に叩くと?」


ヒンターは不敵な笑みを浮かべる。


(貴族)「幻獣はロレンソ(時渡)軍を進めるふりをして我々が街から出たら反転して、この街に急襲してくる、来なければロレンソとの挟撃でも十分だ」


(貴族)「作戦を立てた」


【トラバサミの作戦】



 トラバサミ作戦の概要: 城門前で四方向からの挟撃作戦

-右、マリイカ(アタッカー)騎馬隊、城門開けたら右に走りサリバ軍に攻撃を受けたら反転して右から攻撃

-前、チャイス(ディフェンダー)城門前で盾部隊で幻獣の攻撃をふせぐ

-左、ゴッシュ(斥候)左城壁から梯子を使って降り、左から攻撃

-上、スベッチ()壁の上から弓で攻撃

-四方向からの挟撃作戦、時渡軍が早く来れば後ろから攻撃で五面



##敵視点

【幻獣の反転】


朝焼けが大地を染める頃


(斥候)「時渡軍が2日以内にぶつかる所まで接近してきました」幻獣の口元に冷笑が浮かぶ。予定より早い到着だった。斥候の情報によればあと三日はかかるはずだったのに。


(幻獣)「早いな……」


だが彼はすでに行動した。


(幻獣)「出撃!」

彼の号令一下、数人の斥候を残し七千の獣牙が静かに動き出す。時渡軍の方角へ向けた緩やかな前進――まるで罠に誘い込む猟師のように。


≪ヒヘルの城壁≫


(貴族)「幻獣が動いたぞ!」

ヒンターの拳が震えた。

(貴族)「あの獣め……罠にかかったぞヒヘルを出る」


**鋼鉄の轟音とともに城門が開かれる。


ヒヘルに残っていたサリバ斥候がヒンター軍が町を出たとの狼煙を挙げる


(幻獣兵)「ヒヘルからヒンター軍が出たとの狼煙!」

兵の叫びが幻獣の耳を打った。彼の瞳孔が収縮する。


(幻獣)「ふふ……乗ってきたか」

獰猛な笑みを浮かべて彼は叫んだ。


「反転!ヒヘルへ全速前進!」


七千の兵が砂塵を巻き上げながら疾走。街道は赤茶色の波となってヒヘルの町に迫った。


##ヒンター&敵視点


【ヒヘル攻防戦】 後にトラバサミ(狩猟に使う罠)の戦いといわれる



### 右:マリイカ騎馬隊


ヒヘルの大門が轟音と共に開かれると同時に

マリイカ(アタッカー)は長髪が風になびく。彼女は右手を右方向に突き出す、後ろについてきたものに行く方向を示したのだ、馬上ではなかなか声では聞こえないため手旗信号を出す。


マリイカ(アタッカー))「門を空いたらすぐ右に全速で行くよ!」

騎馬隊百五十騎はまるで一匹の巨大な蛇のように右方向へ疾走した。


(騎馬隊)「マリイカ(アタッカー)に続け!」



###城門前:チャイス(ディフェンダー)重装歩兵


騎馬隊の後ろから、チャイス率いる重装歩兵が盾を並べて前進していた。


チャイス(ディフェンダー))「盾を上げろ!一糸乱れず防御陣形だ!」


重装歩兵たちは地面から生えるように並び立ち、盾が陽光を反射して銀色の壁となった。



### 左:ゴッシュ斥候隊


ゴッシュ(斥候)は素早く手元の道具を操作していた。門が開くと同時に左城壁に十数台の梯子が設置され、縄も用意された。


ゴッシュ(斥候))「静かに降りろ。音は敵に気づかれる」


斥候たちは音もなく梯子を滑り降り、あるいは縄を伝って静かに移動した。彼らの目的は敵の左側面を奇襲して衝く。



### 上方:スベッチ弓隊


スベッチ()は城壁の高みから広がる戦場を見下ろしていた。


スベッチ())「獣を殺すのは弓が一番だ矢をご馳走してやろう」


### 幻獣軍の接近



チャイス(ディフェンダー)の盾隊が門前に堅固な壁を築き上げたまさにその時—


**「ヴオォォォ!」**


サリバ軍の咆哮が大地を揺るがした。七千の兵が砂塵を巻き上げ、猛然と門へ突進してくる。


チャイス(ディフェンダー))「動くな!一歩も引くな!押し返せ!」


盾隊はまるで石柱のごとく動かない。先頭の幻影兵が怒号と共に跳びかかる—


**ガシャン!**


盾と盾の隙間に体当たりする兵が砕け散るように倒れた。盾隊の結束は想像以上に固かった。


「一人通すな!」

「盾を下げさせるな!」


### 鋼と牙の衝突


幻獣自身が漆黒の馬にまたがり先頭で突っ込んできた。


チャイス(ディフェンダー)の視線がその姿を捉える。


チャイス(ディフェンダー)あれが幻獣……!)


【牙槍】幻獣の武器、槍先に矢じりのようなものが、複数についている


幻獣のすさまじい腕力で、盾兵が飛んでいく、そして飛ばされたものは、牙槍の影響で獣に食いちぎられたようになる、幻獣はそのまま門の前で、牙槍を振り回し、門の前に空間を作る。


(幻獣)「間が空いた食い破れ!」


(チャイス(ディフェンダー))「盾隊踏ん張れ、我々の見せ場だぞ!」

盾隊とともに門の前に来て叱咤しながら、幻獣部隊の門への侵入を拒もうとする


(幻獣)「面白い俺の牙が止められるかな」


幻獣が牙槍を振り上げ、チャイス(ディフェンダー)に向かって行く。


(盾隊)「隊長を守れ」


(幻獣)「そんなものではこの俺は止められん」

盾隊が獣に食われていく、皆食いちぎりながら吹っ飛ばしていく、それは獰猛な獣のようにその勢いのまま、チャイス(ディフェンダー)大剣を抜き幻獣に切りかかる、しかし幻獣の牙槍さばきで大剣の刃が牙にかまれ欠けていく


幻獣は、一歩も引かないチャイス(ディフェンダー)を吹き飛ばす。


チャイス(ディフェンダー))「ウッ」


幻獣がチャイス(ディフェンダー)に近づく。


幻獣「死ね」言い放ち牙槍でチャイス(ディフェンダー)の心臓を狙う。


チャイス(ディフェンダー))「クッ」


(貴族)「撃て!」


**シュバッ!シュババッ!**


城壁の高みからベルガー家弓隊が豪雨のごとく矢を降らせる。門前に殺到するサリバ兵たちの肩や胸に次々と刺さる。


(サリバ兵)「うわぁ!上からだ!」


矢の雨の中で悲鳴と血しぶきが上がる。しかし幻獣だけは別格だった。彼の周囲に落ちてくる矢を牙槍先で弾き返している。


(貴族)「弓隊、門の前のサリバ兵に集中砲火、盾隊今のうちに門の前を再構築しろ!」



(幻獣)「……反撃が速いな」


幻獣の注意が上方へ移った刹那—


**ドッ!ドドドドッ!**


左側面から突如として現れたのはゴッシュ(斥候)率いる歩兵隊。城壁から静かに降りてきた彼らは幻獣部隊の横腹を衝いた。


ゴッシュ(斥候))「突撃!」


槍隊が横列を作りながら突進する。完全に虚を衝かれたサリバ兵たちが狼狽する。


(サリバ兵)「ど、どこから来た!?」


(幻獣)「罠か……!」


彼の本能が警鐘を鳴らす。これは単なる攻撃ではない。罠にはまったと直感した。


「引くしかない……」名将は引き際を心得ていた。背後の時渡軍との挟撃を避けなければならない。だが撤退は容易ではない。撤退の指示を考え始めた瞬間—


**ドドドドドッ!**


今度は右側面から衝撃が走った。マリイカ騎馬隊が蹄を鳴らして突入してきたのだ。


マリイカ(アタッカー))「突撃!」


騎兵たちは幻獣部隊を粉砕しながら中央へ突き進む。



**四面楚歌──トラバサミにかかった獣**



(幻獣)「糞が!全軍左の騎馬隊に突っ込み脱出しろ!」


幻獣の号令が轟く。彼は即座に左側の騎馬隊への突破を選択した。それは感覚で選んだ生存率の高い退路だった。


(貴族)「さすがに甘くない……」ヒンターが呻く。「チャイス(ディフェンダー)!剣に持ち替え突撃!」


チャイス(ディフェンダー))「剣に持ち替え攻撃!」


重装歩兵隊が盾を捨て剣を構え直した。防御から一転攻撃へ——これがパベル家の"変化"の神髄だった。


**血煙に包まれる騎馬隊**


幻獣は騎馬隊の群れに飛び込むと、牙槍を旋風のごとく振るった。


**ギィン!** **ザシュッ!** **ブシュー!**


「ぐああ!」 「ひいい!」 「馬が……!」


彼の一振りごとに二、三人の兵が吹き飛び、馬は首から牙槍に裂かれ血飛沫をあげる。


(幻獣)「道を開け!脱出せよ!」


牙槍が唸りをあげる。食いちぎられたような傷跡が戦場を埋め尽くす中、幻獣だけが悠然と進む。


マリイカ(アタッカー)は馬上で槍を構えた。


マリイカ(アタッカー))「騎馬隊!囲みながら一斉に攻撃!」


数十の騎兵が円陣を組み、幻獣を取り囲む。だが彼は平然と牙槍を構える。


マリイカ(アタッカー))「討ち取れ!」


「ウワァァァ!」 兵たちが一斉に馬を駆り寄せる。幻獣の牙槍が閃き——


**シュババババッ!**


一斉に襲い掛かる騎馬隊、それを牙槍で弾きながら、牙槍で食いちぎっていく、一人の兵から奪った槍を片手に幻獣が叫ぶ。


(幻獣)「小娘が……!」


幻獣が奪った槍を片手で——投擲!


**ビュオン!**


マリイカ(アタッカー))「(まずい……避けれない)ごめん……!」

馬を槍の方向に向け盾にする、超高速で飛んだ槍はマリイカ(アタッカー)の馬の胴体を貫く。馬が崩れ落ち、彼女は地面に投げ出された。



幻獣が牙槍をマリイカ(アタッカー)に向けて振り上げる——その瞬間、


(騎馬隊)「隊長を守れ!」


周囲の兵たちが狂乱の如く幻獣へ殺到。幻獣は意識をそちらへ向けざるを得なかった。


**死角からの一矢**


「獣が意識をそらしたら射れるんですよ……」


スベッチ()の声が城壁から響いた。彼の弓は高く引き絞られている。


**ズシュッ!**


幻獣が左へ意識を向けた隙を突いて放たれた矢は、弧を描き——



幻獣に脇に弓が刺さる

(幻獣)「グハッ!」

(サリバ兵)「将軍!」

(幻獣)「動けるものは脱出しろ」

幻獣は左にできた脱出ができる空間に立つ

(騎馬隊)「討ち取れ!」


騎馬隊が幻獣に殺到する、手負いの獣は強かった、牙槍を振り回し騎馬隊を食らって、食いちぎっていく。

その間にサリバ兵たちはできた空間から戦場から離脱していく

(幻獣)「ガハッ……」


脇腹から流れる血を左手で押さえながらも、牙槍を握る右手に力を込める。体中に傷を負ったサリバ兵たちが次々と包囲網を突破していく。その背中を守るため、幻獣は一人で騎馬隊の突撃を食い止めていた。


「幻獣様!もう無理です!」「我々のために逃げてください!」部下たちの叫びが戦場に響く。


(幻獣)「ふん……誰がお前たちを見捨てると?」

笑みを浮かべると同時に、牙槍を大きく振り回す。刃が風を切り裂き、近づいてきた騎馬の足元を次々に薙ぎ払う。血飛沫が上がる度に幻獣の周囲が赤く染まっていく。


マリイカ(アタッカー)「狂った獣め……!」

残り少ない騎馬を密集させ、一点突破を試みる。


幻獣はそれを察知し、傷ついた身体を捻りながら牙槍を地面に突き立てた。

「お前たちが……」

低く唸るような声と共に、大地を蹴り上げる。

「逃げるまで……」

砂塵が舞い上がり、一瞬だけ視界が遮られる。

「守ってやる!」

再び姿を現した瞬間、幻獣は牙槍を引き抜き、マリイカ目掛けて全力で投擲した!


マリカをを守るように立っていや兵の金属が肉を貫く鈍い音。

槍は兵を串刺しにし、馬ごと後方に弾き飛ばす。


「今だ!散開!」

幻獣の合図と共にサリバ兵たちは蜘蛛の子を散らすように四散していく。幻獣自身も牙槍を失ったまま、拾った槍で、逃げる兵たちの殿を務める。


城壁の上から矢が雨のように降り注ぐ。幻獣の背に一本、肩に二本……それでも彼は止まらない。

(幻獣)「……まだ……終われぬ……!」

歯を食いしばりながら前進する姿はまさに鬼神。傷口から溢れる血で足跡を刻みながら、彼は最後の力を振り絞り走り続けた。


---

【後日談】

この戦いで幻獣は消息不明となり、「不沈の幻獣」と称された。一方で、彼の犠牲により多くのサリバ兵が生き延びることができたという。


「彼は本当に化け物だった」

生還した騎馬隊の一員は震える声で語る。

「だが……あの姿は忘れられない」


戦場に残されたのは、折れた牙槍と夥しい量の血痕のみだった。



4コマ漫画

【ドラバサミ】

「罠をかけておけ」

「罠にかかったようです」

「ネコ型ロボットです」「エサは」

「どら焼きです」

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