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小説家になろうラジオ大賞3 

交差点はいつも赤

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞3 参加作品


使用キーワード「交差点」

 出勤途中にある交差点。

 ここはなかなか信号が変わらず、いつも赤信号で待たされる。

 男は今日も行儀良く人混みの中、横断歩道の前で待つ。


 しかし、男の横を、一人の女子高生が通りすぎ、そのまま横断歩道を渡ろうとした。


 バカな、信号は赤のままだ!


 男はとっさにその子の腕を掴んだ。


「何してるんだ! まだ赤だぞ!」


 その子は驚きの表情を浮かべ、こちらを振り向く。


「おじさん、動けるの?」

「何を言ってるんだ?」


 男は回りを見渡すと、止まっていた。

 車も人も信号も……


「私、時間止められるんだ」

「は?」

「まさか、おじさんも動けるなんてね」



 それからというもの、出勤のこの時間になると、この交差点で彼女とたびたび出会うようになる。


「あっ、また車、止まってる」

「おはよ、おじさん」

「俺はおじさんじゃない。まだ、26だ」


 名前も知らない彼女は、この信号を待つのが嫌で、よく時間を止めて渡っていた。

 そんなことに特殊な能力使いやがって。と、男は言った。

 しかし彼女は「特に使いみち無いし」と言うだけだった。


 ある日、いつものように交差点で信号を待つ男。

 すると後ろから人影が。


 ああ、あいつか。


 そう思ったが、時は止まってはいなかった。


 赤信号で、車が行き交うなか、彼女はフラフラっと車道へと入っていく。


 あいつ! 気づいてないのか!?


 トラックは不意に侵入した彼女めがけて突っ込んでいく。

 そこへ男はとっさに飛びついた。


 トラックは横たわった二人の前で停止していた。いや、時が止まっていた。


「お前! 何してんだよ! 死にたいのかよ」

「そうよ! もう死なせてよ!」

「お前……」


 男と彼女は時の止まった交差点の真ん中で、座って話をした。


「お前、そんなことで死にたいのかよ」


 ようやく泣き止んだ彼女に、男は笑いながら言う。


「そうよ! 私にとっては……あなたに何が分かるのよ」

「お前も俺の事、知らないだろ」


「俺だって辛いことあったさ。今だってそうさ。こんな糞みたいな仕事」


「回りを見てみろ。みんなこれから仕事と学校。辛く苦しそうな顔してるだろ」


「それに比べたらお前の悩みなんか……」


「お前、死ぬつもりだったんだろ。なら、お前の残りの時間、俺にくれよ」

「えっ?」


「俺、今日仕事やめた。 遊びに行こうぜ」

「なにを……」


「まだお前の時を終らすには、もったいないぞ」

「しょうがないわね」


 そして二人が交差点からでると、再び人混みと車の喧騒な世界に。


 信号は赤から青へ。

 今、二人だけの時間が動き始めた。

読んでいただきありがとうございました。


なろうラジオ大賞3

これにて全使用キーワードをもとにした、14の短編小説の投稿が完了いたしました。


久しぶりに夢中になってしまいました。

とても楽しい時間を過ごすこともできました。

よければ、他の作品も読んでいただければと思います。


ではまた、他の作品でお会いしましょう。

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