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死神乙女の幸せな生活  作者: ねこ狸
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四、精霊

説明回です。

「さっき、全部で六つの属性の精霊から力を借りるところまで話したよね。さらに、精霊には下級、中級、上級の三つの階級に分かれていて、どの属性をどの程度まで使えるかは力を貸してくれる精霊の性質や階級によって異なるの。さっき着替えたのは闇の精霊の力ね。」


「へぇー、人間って望めばみんなパッと着替えられたりするの?」


「残念ながら、そういうわけにはいかないわ。精霊と契約を交わした人しか、魔法の行使は出来ないの。契約出来るかどうかは完全に精霊の気分次第。気に入った人としか、契約は結ばない。精霊の階級が上がるほど、個体数も少なくて契約を結べる人は少なくなるわ。下級の精霊でも、契約者は人口の一割位だったかな。……っと、ここまで大丈夫?」


「うん。分かるよ!お姉ちゃんは闇の精霊様と契約を結んでるってことだよね。その、階級?はどのくらいなの?」


 ベラは見た目的には十歳にも満たないであろう小さな女の子だ。それでもちゃんと一生懸命に聞き、質問を投げかけて、より詳しく知ろうとしている。その真面目な様子にエリーゼは胸のあたりがジーンとするのを感じた。自分のことはあまり周りの人話さず秘密にしているのだが、この子には正直に話す気になった。


「上級精霊よ。他には光の上級精霊や、火の中級精霊たちとも契約を結んでる。」


 エリーゼの発言にベラは驚き、紅茶を飲み終わったカップを置くことを忘れ、手に持ったまま何度か瞬きをした。


「え、下級の精霊様でも珍しいんだよね。お姉ちゃんってもしかしてすごい人!?」


「まぁ一応ね。後は……、精霊はこの世の創造者たる神の使いとされているの。だから、精霊の契約者はその殆どが神を讃える神殿に神官として仕えているわ。私もその一人。神殿は、契約している精霊の数、階級に比例して、神官の立場も上がっていくような制度をとっているの。えーと……、説明したいことは、ひとまずこれくらいかな。」


 言おうと思えばもっと詳しい話になるが、当初の精霊の話から離れていってしまう。この辺りが止め時と判断する。ベラはというと、カップはようやくテーブルに置いた。


「お姉ちゃんってすごいだけじゃなくて偉い人だったんだ。私なんかが一緒に暮らして……」 


 急に自分を蔑み始めた。


「はいストップ。ベラちゃんが迷惑なことは絶対ないよ。だから、自分をあんまり下げることは言っちゃ駄目!それから、ここからは大事なお願いなんだけど、私が黒い服着て大鎌持ってたこととか、精霊と契約してて、神官だってことを誰にも言わないでほしいの。」


「どうして?すごいのに。」


 気落ちした様子は無くなり、無邪気な質問が投げかけられる。


「確かに私はすごい人かもしれない。でも、すごい人だからってさっきのベラちゃんみたいに遠慮されたり、かしこまったような態度をとられるのが苦手なんだ。みんなと自然体で仲良くしたいの。だからこれは二人の秘密ね。」


(伝わったかな……?)


 エリーゼの説明にうーん、と考え込んでいる感じであった。それでも「分かった。秘密だね。」と納得してもらえた。もっとも、秘密という言葉に魅力を感じただけかもしれないが。


「ありがとう。さて、少し休めたけどもうちょっと動ける?紹介したい人たちがいるのよ。」


「平気だよ。あ、でもね、えーと……、あのね、ベラもちゃんと話したいことがあるの!」


 エリーゼは上位の神官である事、更に執行人として活動し、その様相から死神と呼ばれていることを、周りの人にひた隠しにしている。

 ベラにはふんわりと説明はしたが、他にも正体を知る人がこの街には5人いる。そのうちの2人に会わせたかったのだ。


 しかし、ベラも何か言いたげな様子でソワソワとしている。エリーゼが見つめていると、意を決したように、口を開いた。


「ベラはね、本当はベラじゃなくて、イザベラって言うの!言い出せなくて、ごめんなさい!」


 名前が違ったとは、驚いた。まさに青天の霹靂……という程ではないが。確かに初めに名前を聞いた時は、声も小さくあまり聞き取れていなかった。ベラと呼んで、違うと言われなかったし、本人も自らをそのように呼んでいるので、気付かなかったのだ。


「そう……だったんだ。別に謝らなくていいよ。私の方こそごめんなさい。イザベラって名前だったのね。でも、これからもベラちゃんって呼んでもいい?」


「いいよ。勿論!ベラもそっちの方が嬉しいの!」


 喜んで同意して貰えた。

 そうして、食器を片付けて、目的地へと向かう。

 

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