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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
魔国征伐~魔国の西の森にて~(異世界転移12か月後)
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第70話:クロ部隊作戦会議(魔国遠征編)

「既に説明してあるが、俺達の部隊は南ルートを迂回うかいして、魔国に侵入する」



 ギャンブルですっからかんになったソマリを目の前で正座させた上で、俺は、今回の作戦について、最終説明をしていた。



「クロ隊長、この座り方、足が痛いんだけど」


「うるせぇ。反省するときは正座と決まっているんだよ」


「うぃ~」



 隊員達が笑い声をあげたので、俺は視線で黙らせる。そもそもギャンブルの弱いこいつをカモにしていた奴らがわるい。ただ、何度注意してもカモられるソマリがいちばんわるいと罰している。



「それはいいとして、この南方ルートは、最も険しい道となる。だからこそ魔国側の警戒は薄く、奇襲に最適だ」



 獣人中心のクロ部隊は、森の中の移動にも耐える強靭きょうじんな足腰と、天性の勘を持ち合わせている。森の中を突き進むこの作戦への適性は申し分ない。


 

「バリニーズ分隊の魔法使いも同行するが、おまえらは、他の部隊ほどの機動力はないから、オストリッチでついてきてもらう。その分、荷運びには使えないから、荷物は最小限にして、皆で分配する」



 オストリッチとは、ダチョウに似た走る鳥である。この世界では、移動の手段として用いられており、なかなかに賢い。馬では、山の中を移動することはできないが、オストリッチならば、可能だ。



「クロ隊長、サク様がいらしているのだから、サク様に運んで頂いたらだめなんですか?」



 隊員の言葉に、サクこと佐倉咲丸さくら さくまるは、にこやかに手を振って応えた。



「僕も運んであげたいんだけどね」



 今回の作戦には、サクが同行することになった。いや、同行させる権利を勝ち取ったというべきか。


 サクのチートスキルは収納コンテナ。運搬能力をいちじるしく向上させる彼のチートスキルは、各部隊が欲しがり、争奪戦となっていた。


 俺は、作戦を成功させる上で、どう考えても、うちの部隊に必要だとき、半ばラチするようにして、サクを連れてきた。


 

「だめだ。サクには既に大事なものを運んでもらっている。他のものを運ぶ余裕はない」


「「「えー」」」



 不満の声があがるけれども、作戦なのだから仕方ないだろう。俺は、耳をふさいで、隊員の不満を聞き流した。



「でも、クロ隊長、荷物を減らすのはよいのですが、そんなことしたら、帰りの飯がなくなりませんか?」


「心配するな。このキャンプとその補給路はベドリントン部隊が維持する。俺達は、戦いを終えたら、このキャンプまで戻ってくればいいわけだ」



 片道切符の特攻などする気はない。ちゃんと帰路まで考えておくのは当然のこと。



「中央を王国軍の本隊が突き進む。ただ、こちらは、当然、魔国が待ち構えている。数は王国軍が勝っているが、何分なにぶん、戦場としては狭い。正面からぶつかると被害が大きくなる」


「そこで、あたし達が横からしかけるわけだな」


「その通り。王国軍本隊が、接敵する前に、俺達が魔国軍に奇襲を加え、撹乱かくらんする。それが、俺達のミッションだ」


「つまり、いつも通りだな」



 いつの間にか正座を崩してあぐらをかいているソマリは、にかりと笑っていた。



「ソマリ、正座」


「もういいだろ」


「正座」


「……はーい」



 俺は、咳ばらいをしてから話を続ける。



「まぁ、ソマリの言う通り、俺達のやることはいつもと一緒だ。一つ、いつもと違う点があるとすれば、今回の作戦には帝国軍が参加するという点だ」


「ちっ、異端者か」



 もう何度も説明しているというのに、隊員からはこの反応である。



「今は目をつむれ。魔国を倒すためには、猫の手でも借りる気持ちでいろ」


「「「うーい」」」



 不満たらたらな声があがるが、戦場に出れば、ちゃんとするだろう。



「帝国軍は、聖国との国境を抜ける北方ルートからやって来る。残念ながら、こちらの指揮に入りたくないとのことなので連携はしない。だから、戦場はなるべく分けるようにしている」


「戦場で出くわすことはないってことですか?」


「確実ではない。そのために、おまえらは軍服を着ているんだ。帝国軍は、その服に剣は向けない。逆もそうだぞ。戦場で、帝国軍に剣は向けるな」


「「「うーい」」」



 まったく心のこもってない返事だ。


 実際のところ、難しいだろう。この間まで、戦場で敵と味方だった者達だ。その連中が、合同訓練もなしに、いきなり本番で味方として振る舞えだなんて。


 なるべく遭遇そうぐうしないようにしないと。


 三つどもえの乱戦になったら、誰も得しない。勝者不在のおろかしい殺戮劇さつりくげきが繰り広げられるだけだ。


 

「帝国軍のことは頭のすみに置いておく程度で構わない。遭遇しそうになったら、その際に、俺の方から指示を出す」


「あぁ、よかった。そんなこと考えながらじゃ、あたしは戦えないぜ」



 ソマリは、そう言って立ち上がった。



「まどろっこしいんだよ、クロ隊長の話はさ。あたしらは、魔人を斬って斬って斬りまくればいいんだろ。簡単な話じゃねぇか」



 ソマリのかけ声に、隊員から、割れんばかりの声があがった。


 こういう雰囲気をつくりあげるのは、ソマリがいちばんうまい。俺も見習いたいところだ、とほんの少しだけ思った。


 当のソマリは、そのまま、こてんと後ろに転がった。



「どうした?」


「足が、しびれて」



 ぷるぷると震えるソマリを見て、俺は苦笑いを浮かべた。



「しまらねぇな」



 俺は、腰に手を当てて、隊員達を見据えた。



「おまえら! 夜明け前から作戦開始だ。それまでしっかり休んで備えろ!」


「「「おう!!!」」」

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