第61話:第一回王都ミスコンテスト~クロの女にふさわしいのは私よ選手権~
「さて、満を持して始まりました! 第一回王都ミスコンテスト~クロの女にふさわしいのは私よ選手権~! いやぁ、楽しみですね、審査委員長のクロさん」
「……なぁ、イチラン、おまえ、どこから現れたんだ?」
俺の質問を無視して、クラスメイトの綿貫一蘭は、進行を始めた。
「参加者は、我らが英雄、ルミ・サトー! 体型こそ平凡だが、そのかわいらしさはどんな男も虜にする! 小動物系スマイルでクロのハートを鷲掴みだ!」
「なぁ、これ、そういう企画じゃないんだよ」
「もう一人は、お転婆ケモミミ娘、ソマリ! そのボーイッシュな性格とは裏腹に、隠しきれない魅惑のグラマラスボディ! お色気路線で、クロの視線を独り占めか!?」
「おまえ、耳壊れんのか?」
イチランの煽りを聞いて、なぜか集まってきていた野次馬達が歓声をあげていた。
いつの間にか、舞台までもが設営されており、イチランのイベント発生スキルの高さを窺わせる。
いや、こんなイベント望んでないけど。
というか、どうしてこうなった?
確か俺達は、秋物の服をソマリに選んであげようと大通りの仕立屋に向かっていたはずだ。
不服そうにしながらも、ルミも賛同してくれた。まぁ、その後の予定もなかったので、ちょうどよかったともいえる。
大通りの仕立屋を選んだのはコストの問題だ。路地の仕立屋は、質がいいのだけれども、いささか値段が張る。ソマリが、今後も使うのならば、コスパがいい方がいい。
「よし、とりあえず脱げ」
俺が告げると、ソマリは身体を手で覆い、ルミは冷めた目をこちらに向けた。
「「スケベ」」
「いやいや、採寸だよ」
当然じゃん。
この世界に既製品はない。すべてが手作りの一点もの。ゆえに、しっかり採寸して、身体に合った服をつくる。
まぁ、この店は古着も扱っているから、それらを既製品と言えなくもないが、どちらにしろ採寸はした方がいい。
「いきなり服を脱げだなんて、クロ隊長、やっぱりあたしの身体目的だったんだな」
「やっぱりって何だ?」
「あたしはそんな安い女じゃねぇぞ!」
「うっせぇよ。いいから脱げ」
「きゃ! この変態!」
……いや、何もしてないよ? 急にこの阿呆が叫び出しただけですからね、周囲の皆さん。
さらにルミもおかしなことを言っている。
「いくら私とクロの間柄でも、こんな人目のあるところで、脱げだなんて、やっぱりクロはエッチね」
「うん、だから、やっぱりって何?」
それに、ここで脱げだなんて言ってないじゃん。ちゃんと脱衣室があるしさ。
「それにお昼ごはんとクレープを食べた後だから、お腹出ちゃっているし!」
「気にしないから。あと、ルミには脱げって言ってないから」
「ソマリちゃんの身体にしか興味ないってこと!?」
「いや、そもそもルミのサイズは知っているから」
「成長してるかもしんないじゃん! 私のも計ろうとしてよ、クロのバカ!」
「もうどうしたらいいの?」
俺が頭を抱えると、ルミは、ソマリの方をキッと睨んだ。
「わかった、私、脱ぐわ」
「え? 何で? 何がわかったの?」
あと、ルミは脱がなくていいんだってば。
俺が何と言おうかと考えていると、ソマリが、ふんと鼻を鳴らして、ルミの方を見据えた。
「いいぜ、あたしも脱ぐ!」
「ねぇ、何がいいの? 俺、ぜんぜんわかんないんだけど」
「しっかり鍛えてあるからな。見られて恥じるところはねぇよ」
「いや、今さらだけど、採寸するのは俺じゃなくてもいいんだぜ。恥じらいは大事だ」
いつの間にかルミとソマリが対立しているが、どう考えても何かしらの誤解がある。
しかし、いったい何を誤解しているのか、さっぱりだ。どうしたら、この対立は解消できるのだ?
俺は頭をフル回転させたが、さっぱりわからなかった。
そして、その解答は、まったく別の第三者から得られた。
「よし、じゃ、どちらが、クロを魅了できるか勝負といこうじゃないか」
「「よっしゃ!」」
というわけで、やはり振り返ってみても諍いの原因もわからなければ、イチランが現れた理由もわからない。
ただ、イベントだけは進行しており、こうして俺は審査委員長をやらされている。
「なぁ、イチラン。やっぱり、おまえが出てきたタイミングだけは解せないんだが。そもそも王族の警備はどうしたんだ?」
「ははは、マイフレンド。出会いはいつも突然なんだよ。俺達が、異世界に連れてこられたときのことを思い出せ」
「それをネタにできるおまえ、本当にすごいと思うわ」
「人生楽しんだもん勝ちだぜ。さぁ、それでは、そろそろ参りましょう! レッツショータイム!」




