表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
機械仕掛けの休日~王都にて~(異世界転移11ヵ月後)
65/87

第60話:マウント合戦

「へー、クロ隊長、彼女いたんだ。まぁ、英雄だしなー。女の一人や二人はいるよなー」



 何?


 その糾弾きゅうだんするしゃべり方が流行っているの?


 俺とルミ、それからソマリは、同じテーブルを囲んでいた。別に一緒に座る必要などないのだが、ルミが、せっかくだからと誘ったのだ。


 そして、ソマリは、不機嫌なんだか、怒っているんだか、おもしろがっているんだか、よくわからない表情を浮かべつつ、クレープにかぶりついている。



「変な言い方をするなよ。ルミは、俺と同じ、いわゆる英雄で、ただの友達だ。今日はオフだから一緒に買い物していただけだよ」


「ふーん、ただの友達ねぇ」



 ソマリはそう言って、ルミの方をながめた。するとルミは、にこりと笑ってから、



「そう、ただの友達です」



 何やら語気荒ごきあらく応じていた。


 

「な。俺は、英雄だからって、手当たり次第に女に手を出すようなクズじゃない」



 出してんじゃん、とルミが小声でつぶやいていたが、おそらく誤解していると思われるので、とりあえず無視することにする。



「ルミも会うのは初めてだよな。こいつは、俺の部隊で班長をしているソマリだ」



 俺が紹介すると、ソマリは、どーもとかるく挨拶あいさつをしていた。ルミの方は、再び、にこりと笑みを返す。



「えぇ、でも、知ってますよ。クロが、ソマリさんのことよく話しているので」


「え? あたしのことを?」


「えぇ、部隊での話を、私に()()()してくれるので」


「……へぇ、いつも」


「えぇ、まぁ、同じ屋敷に住んでいるので、()()、おしゃべりしているから当然ですけど」


「……ふーん。まぁ、あたしも、日中はクロ隊長とずっと訓練しているし、この前の獣国侵入作戦では、()()()()()()一緒だったし、けっこう長い時間、一緒にいるけど」


「……ふーん」


「でも、あんたの話は、聞いたことねぇな。クロ隊長とは、けっこう話してんだけどなぁ」


「……そこまで親しくないから、じゃないですかね。ただの部下に、身内の話はしないでしょ」


「まぁ、そうかもな。部下に、ただの友達の話はしないかもな」


「「……」」



 え? 何? このマウント合戦?


 そもそもいったい何のマウントを取り合っているの? 話の流れが見えないんだけど。


 ピーンという音が聞こえそうなほどに張り詰めた空気が、時間を止めてしまいそうなほどに、場をこおらせていた。だが、しばらくして、二人ともクレープを口にし始めたことで、試合は棚上たなあげされたようだった。


 この話題に突っ込むのはやめた方がいいと思い、俺は話を切り替えた。



「ところで、ソマリ。どうして軍服を着ているんだ? 今日、俺の部隊は休みのはずだが」


「ん? あぁ、王都だからな。あたし達、獣人は、軍服着ていないと過ごしづらいんだよ」


「あぁ、なるほど。わるかったな、変なこと聞いて」


「気にすんなって。獣人でも、こいつを着ていれば、普通に扱ってくれる。それだけでも、昔には考えられないことだからな」



 そのあたりが制服のいいところだ。制服を着ているだけで、軍人という強烈な属性を得ることができる。中身が獣人であろうと、差別されにくい。



「こうして、町中でクレープも食える」


「満喫しているな」


「はは、おかげさまで」


「ただ、休みの日くらい、おしゃれできればな。軍服のバリエーションを増やしてもらうか」


「いや、いいって。あたしなんかがおしゃれしても」



 などと、ソマリは笑い飛ばすが、本心でないことはすぐにわかった。彼女は、俺のあげた組みひもを髪にしっかり編み込んでいたのだ。


 興味があるのならば、そこに選択肢を用意してあげたい。


 それは、コスプレ好きとしてのおせっかいと、上司としての心遣いだ。


 俺は、クレープをごくりと呑み込むと、すくりと立ち上がった。



「よし、ソマリの服を買いにいこう」


「「え?」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ