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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第55話:祝勝会

「「「大勝利だぁ!!」」」



 その夜、王都は、大盛り上がりであった。ハバラ基地奪還の祝勝会である。


 ヤスナリひきいる空戦部隊を殲滅せんめつしてから、クロ部隊は、きっちり陽動作戦をこなした。つまり、足止めをこなしたわけだ。


 その間に、王国軍は、ハバラ基地を囲み、そして、数で一気に帝国軍を叩き潰した。


 ゾンビ兵にいささか戸惑ったわけだが、それでも、数の圧力に勝てるほどの力はなく、戦況はすぐに決まった。


 クロ部隊は、陽動作戦を立派にこなしたことで、隊長達の間できちんと評価された。


 ただ、ハバラ基地奪還作戦の主役は、俺達ではない。



「戦況を決してくれた英雄カスミと英雄アキトの勇気を称えよ!」


「「「おぉぉ!」」」



 王都は、彼らの活躍に盛り上がる。


 プロパガンダとして、英雄の活躍は使いやすい。もともと基地を奪われて、その基地を奪い返したという今回の戦争。実質のところは、プラスマイナスゼロなのだが、それでも英雄の活躍を強調すれば、なんとなくプラスな気がしてくる。


 民衆なんてものは、その程度のプロパガンダで簡単に操作される。特に、戦争に勝利したときは。


 クロ部隊も、飲み屋を貸し切って、勝利の祝勝会を行っていた。他の部隊を交えて祝杯をあげたいところだが、獣人への差別意識が消えたわけではない。そのあたりの線引きは、やっておいた方がいいだろう。


 机の上で踊ったり、たるを投げたり、裸になったりと、いささかハメを外しすぎている気もするが、今日くらいはいいか。



「クロ隊長も、一杯どうですか?」



 酒を勧めてきたのはラブル分隊長であった。



「いや、俺は酒は飲まないんだ」


「そうでしたね。しかし、酒を飲まずに生きていけるだなんて、クロ隊長はさすがです」


「それは、バカにしているのか?」


「いえ、純粋に尊敬しています。この地獄のような世界で、酔わずに過ごすことなど私にはできません。おそらく、ここにいる皆がそうでしょう」


「そういうもんか」



 ラブル分隊長の言葉の重みに、俺は、納得せざるを得なかった。


 確かに、狂ってしまいたい。死んでいった味方と、敵と、戦場の殺気と、鼻の奥に残る血の匂いが、素面しらふの心をつぶそうとしてくる。


 どうして、大人が酒を飲むのかと不思議だったけれど、こういうことなのか。


 俺は、せめて、この場の酒の匂いに酔っぱらおうと息を深く吸った。



「今回、基地は奪還しましたが、この先、帝国とは全面戦争になるのでしょうか?」


「いや、それはない」



 俺は、ラブル分隊長の質問に答える。



「基地を奪還した直後に、帝国から停戦の申し出があった。おおよそ帝国の内情は、最初に想定していた通りで、国民向けのアピールだったようだ。ハバラ基地を一度奪えば、そのまま守る自信があったのだろう。その基地奪取に失敗した時点で、もう、それ以上のエスカレーションは望まない。そもそも、獣国と戦争したばかりの帝国に、王国と全面戦争する体力はないだろう」


「だとしたら、王国としてはチャンスでは? このまま帝国に進行するという話になりそうな気がしますが」


「そういう意見もあった。しかし、今は、王国だって準備ができているわけじゃない。停戦できるなら、しておいた方が得策だと提言しておいた」



 王国すら、きちんと統治できていないのに、他国に戦争をしかけるなんて、おかしな話だ。まぁ、戦争で勝って、賠償金と奴隷どれいを得て、国家を運営するという自転車操業もあるが、俺にも、この国の要人にもそんな悪魔染みたカリスマ性とセンスを持つ者はいない。



「では、とりあえず、王国の勝利でこの戦争は終わるわけですね」


「とりあえずな」


「お疲れ様です」


「あぁ、お疲れ様」



 そう言って、俺はオレンジジュースの入ったグラスで、ラブル分隊長と乾杯した。


 一応の勝利。


 ただ、釈然しゃくぜんとしないものはあった。王国軍の指揮系統の雑さに、帝国のゾンビを操るチートスキル、それに、ヤスナリの死、そして、最も気になるのはヤスナリの最後に見せた挙動。


 考えることは山ほどある。


 ただ、今はいいか、と俺は頭の中を一度リセットした。


 勝利は勝利。


 生きのびたことへの喜びは、しっかりと噛みしめておきたい。



「クロ隊長! こっち来て腕相撲しようぜ! ぜってぇあたしの方が強いから!」


「はぁ? 俺の方が強いに決まっているだろ」


「言ったな! 何か賭けようぜ! あたしが勝ったら脱げ! 脱いで踊れ!」


「なんじゃそりゃ」



 俺は安い挑発に乗って、腕をぐるぐると回しながら、バカみたいに顔を真っ赤にしたソマリの元へと歩いて行った。

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