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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第54話:決着

 アキトの斬撃ざんげきが、あたり一帯を吹き飛ばしてから、どれだけの時間が流れたのだろうか。


 舞い上がった砂塵さじんが、やっと落ち着いてきたところだから、数分くらいだろうか。しかし、俺の脳みその中が混沌こんとんきわめており、数時間くらいったような気がした。



「危なかったな、クロ」


「アキト……」



 能天気に駆け寄ってくるアキトを見ている内に、意識がはっきりとしてくる。だからこそ、ぞっとして、俺は、声を荒げた。



「何やってんだよ! てか、何でいるんだよ!」


「は? カスミが出たから追ってきたんだよ。そしたら、おまえがやられそうになっていたから、助けてやったんじゃねぇか。感謝しろよ」


「バカ野郎! あれはヤスナリだ! ヤスナリだぞ! 殺していいわけねぇだろ!」


「バカはおまえだろうが! これは戦争で、現に殺されそうになってただろ! 俺が助けなければ、おまえは死んでたんだぞ!」


「捕まえるつもりだったんだよ! 殺すつもりなんて、なかった」



 なかったんだ。


 俺は、その場に座り込んだ。ヤスナリの死を受け入れられなかったからなのか、死の恐怖が去ったからなのかわからないが、身体から力が抜けた。


 俺の落胆らくたんを見て、アキトは不満げな声をらす。



「何だよ、せっかく助けてやったってのに」



 確かに、アキトの視点から見れば、そうなるのかもしれない。けれども、俺の中に残った現実は、ただヤスナリが死んだ、ということだけだ。



「ちくしょう」



 ヤスナリが死んだ。クラスメイトが死んだんだ。悲しみが胸の内を渦巻く。


 けれども、一方で、この結末がわるくないと思っている自分がいる。


 帝国の英雄のチートスキルを一つ明らかにした上に、一人の英雄を失わせた。


 戦果としては上々と、そう考えている非情さが、どうしようもなく辛かった。


 さらに、俺は、まだ止まることができない。ヤスナリの死を悲しむ前にやることがある。彼の死を最大限に利用しなければならない。


 俺は、オープンチャネルの通信で宣言した。



「王国軍に朗報である。空戦部隊は、英雄カスミとの英雄アキトが見事に撃滅した! これで空からの攻撃はない! 存分に力を発揮しろ!」


『『『おー!』』』



 王国軍の士気は、上々である。


 彼らの士気を高めるのに、空戦部隊撃破の知らせは効果的だ。空からの攻撃がなければ、うちの部隊が負けることはそうそうないだろう。


 あとは、王国軍の包囲が終わるのを待つだけだ。帝国軍に、クロ部隊を倒す術がない以上、もはや勝つのも時間の問題である。


 

「俺は、部隊の指揮に戻る。カスミは下がらせる。だいぶ疲れただろうからな。アキトも下がってくれ。不測の事態が生じたときに、また加勢を頼む」


「ふん、あとは俺が片付けてもいいんだぜ?」


「数での包囲戦の方が確実だ。まだ、基地の中に他の英雄がいる可能性もあるしな」


「相変わらず、慎重過ぎる奴だ」



 そう言いつつも、アキトは剣を納めて、きびすを返した。


 アキトが前に出てきたことは作戦無視で問題だ。しかし、俺の危険を察して、飛び出してきてくれた

のも確かだ。


 それは、不思議なことではなく、アキトならばそうするだろうなと俺は思った。少し前ならば、何の不思議もなく。



「なぁ、アキト」


「何だよ」


「一応言っとくが、ありがとな」


「ふん。最初に言え」



 俺は、アキトに背を向け、そしてラブル分隊、ソマリ分隊と連絡を取りつつ、戦場に戻った。

2020/12/30 誤字修正しました

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