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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第50話:龍急襲

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉお!」



 木々をらすほどの咆哮ほうこうで、俺の通信に応じたのは、はるか上空の赤い影。


 影は、一直線に雲を引く。ひらかれた両翼りょうよくくうたたき、乱気流らんきりゅうを巻き起こす。尾をひらりとたなびかせ、そのきばを前に突き立てる。


 カスミのチートスキル、龍回帰ドラゴニア


 まぎれもないドラゴンが、上空の空戦部隊に突っ込んだ。


 

「こっちにだってあるんだよ。とっておきの航空戦力がな!」


 

 龍、その大質量の突撃を止められるわけもなく、空戦部隊は散り散りになった。


 ヤスナリのチートスキルは飛行のみ。一部隊を浮かせることができるらしいが、所詮しょせんは人である。巨大な龍に、太刀打ちできるはずもない。


 カスミ龍が翼をばたかせるたびに生じる乱気流に、空戦部隊は、あっちへこっちへと吹き飛ばされる。


 そして、ついには何人かが墜落した。



「よし、カスミ、そのまま撹乱かくらんしろ!」


『疲れるんですけどぉ』



 カスミの気のない返事を無視して、俺は、ラブル分隊に声掛けをした。



「空戦部隊は、英雄カスミが抑えた! もう空からやりってこない! おまえら、ここまでよく耐えた! さぁ、ゾンビ狩りだ!」


『『『おっしゃ!』』』



 ラブル分隊は一気に息を吹き返した。もともと防御よりも攻撃の方が好きな荒くれ者である。


 ここまで我慢した鬱憤うっぷんが爆発し、ラブル分隊は、おくすることなくゾンビ兵にぶつかっていった。



『こっからが本番じゃ!』


『ぶっ殺してやる!』


『往生せいや!』


「おいおい、足を狙えよ! そいつら死なないからな!」


『『『粉々(こなごな)にすれば問題ないぜ!』』』



 あ、そうすか。


 この手の脳筋のうきんノリは、正直ついていけないんだけど、彼らの士気しきがあがるのならばそれでもいいかと放っておく。


 彼らの気合は、実力をともなっており、ラブル分隊は、戦線を押し上げていった。


 ゾンビ兵への対処に戸惑とまどっている場面もあったが、そこは持ち前の剛力ごうりきで、文字通り粉砕ふんさいしていた。


 よし、なんとか立て直した。


 そう思った矢先やさき、カスミから通信が入った。



『クロ、ちょっとやばい!』



 早めのヘルプであった。


 空を見上げれば、カスミ龍と、空戦部隊が激烈げきれつな空中戦を繰り広げていた。


 カスミ龍の圧勝かと思っていたが、そうでもなく、空戦部隊は、カスミ龍の周囲を取り囲み、翻弄ほんろうしていた。


 確かに、カスミ龍は、強力な突進力を持っている。ただ、機動力、特に小回りに関しては、空戦部隊が圧倒していた。


 その上、経験不足。


 カスミ龍は、これが初戦闘。敵を倒すという点に関して、空戦部隊の足元にもおよばない。


 さすがにがわるいか。



「カスミ、一度降りてこい!」


『もう帰りたいんだけどぉ!』



 カスミ龍は、ひらりと身体を返して、落ちるように俺のもとに飛来ひらいした。


 ばさりと翼をはためかせて、周囲の兵士を敵味方関係なく吹き飛ばし、俺の前にそのおっかないトカゲ顔を寄せた。



『槍が超痛いんだけどぉ』


「すまないが、もう一飛び頼む」


『えー』


「頼むよ。俺もいくから」



 俺は、カスミ龍の背中に飛び乗って、それから、うろこをぽんぽんと叩いた。



「ラブル分隊長、地上はまかす! ソマリとボンベイと会話して合流してくれ」


『了解です!』



 ここでカスミ龍を撤退てったいさせるという選択肢はない。そうすれば、地上のラブル分隊は全滅する。


 カスミ龍には、どうしても空戦部隊をおさえてもらわなければ困る。


 それに、



「上にいるのはヤスナリなんだろ。話せば、戦闘を終わらせられるかもしれない」



 俺はそう告げ、期待を込めて、空を見上げた。


 カスミ龍は、俺の考えを理解してかどうかわからないが、それでも、再び翼で風をとらえ、空へと飛び上がった。

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