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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第49話:奇襲

「あ、言うのを忘れていたが、帝国軍にはゾンビがまぎれ込んでいるから気をつけろ」


『ゾンビって何だ?』


「動く死体だ。殺しても死なないから、交戦はけろ」


『動く死体? ははは、死体が動くわけねぇだろ。何言ってんだよ、クロ隊長』



 まぁ、そうなるよね。


 ソマリはまったく信用していないようで、笑いとばしていた。


 作戦事態は、うまくいっているようだった。そもそも帝国軍は前に出すぎだった。ゾンビ兵といえど戦力は戦力だ。本陣の守りは薄くなる。


 そこにボンベイ隊が西側から攻撃をしかける。弓を放ち、火をかけ、突入を試みる。


 だが、こちらはおとりだ。帝国軍の戦力がボンベイ隊につられれば御の字。しばらくちょっかいをかけて、すぐに撤退。


 本命は、ソマリ分隊。


 東のがけからの急襲きゅうしゅう。こちらをのぼってくることはないという心理的な死角を突き、ソマリ分隊を突入させる。


 

『おっしゃ! ソマリ隊、見張りを制圧完了!』



 どうやら、東から基地に潜入せんにゅうしたらしい。


 

「ソマリ、目的を忘れるな! できるだけ交戦を避けろ」


『ははは、わかっているって! で、どれが大将首だ?』



 ぜんぜんわかってないじゃん。



『って、うわっ! なんじゃ、こいつ! 首をもいでも動くんだけど!?』


「いや、だから、そいつがゾンビだって」


『きもいきもいきもい! これだから異教徒は! いったいどんな罰当たりなことをすれば、こんなことに!?』


「信仰は関係ないから。チートスキルだから」


『ぎゃあ! わきわきしてる! もきもきしている! きもいぃ!』


「落ち着け。それとねらうなら足だ。機動力を奪え」



 ソマリへの指示をこなしつつ、俺は、ラブル分隊の戦況判断をしていた。


 ゾンビ兵の進行は止まっていた。奴らが基地から出てくるようであれば、そのまま引き付けつつ、基地から離すつもりだったが、そのあたりは冷静だった。冷静なゾンビというのもおかしな話だが。


 空戦部隊の槍だけならば、今のところ、防ぎ切っている。獣人部隊の剛腕と、俺の『武装強化リーンフォース』のコンボはなかなか使える。


 だが。


 限界は近い。


 投下される槍の威力いりょくすさまじく、確実に隊員の体力を奪っている。それに精神的な面が大きい。防戦一方で、こちらから反撃の手立てだてがない。


 ラブル分隊がたないようならば、撤退させたい。しかし、ここでラブル分隊を引いたら、戦力は基地内に集結し、突入しているソマリ分隊は壊滅かいめつするだろう。


 だからといって、これ以上は……



「ラブル分隊長、戦線を維持いじしつつ――」


『まだいけます!』


「いや、だけど」


『いけるよな! おまえら!』


『『『おう!』』』


『このくらい何でもないぜ!』


『異教徒には絶対に負けねぇ!』


『金のためなら俺は死ぬ!』


『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』



 オープンチャネルで、隊員が叫んでいた。一部、どうかと思う発言もあったが、気合は十分のようだ。



「よし! おまえら! 死ぬまで耐えろ! そうすれば必ず勝てる!」


『『『おう!』』』



 言い切って、俺は自分の恐ろしい指示にゾッとする。けれども、そう言わざるをえない。


 合理性だけでは動けないのだ。恐怖と高ぶり。不測の事態と混乱。


 その中で、できるかぎり勝ちへの可能性が高い選択肢を選んでいく。


 俺は、やっと指揮官というものをほんの少し理解した。



『クロ隊長! 増援だ。これ以上は無理!』


「ソマリか? かまわん、撤退しろ。その前に報告だ」


『基地全部は見れてねぇ。半分くらいだが、あたしらの見たかんじでは、英雄はいない!』


「了解だ! よくやった!」



 よくやった、が。


 俺は、頭をかかえた。


 これで判断していいか?


 いや、判断するしかない。判断はするしかない。次の作戦決行にしろ、撤退にしろ、俺が判断するしかない。


 ソマリ分隊には、足が速く、目がくものを集めた。彼らだから、この短期間で、基地内を半分も探索できた。


 それで、()()()()()()()()


 だから、いなかったと決めつけていいのか?


 わななんじゃないのか? 英雄を隠しておき、その上で、こちらの判断ミスをさそっている。


 いや、そんなことを考えだしたらキリがない。


 でき得るかぎり状況のチェックはした。ここで、引くのは慎重しんちょうではなく臆病おくびょうというもの。


 この判断が、勇敢ゆうかんなのか、それとも蛮勇ばんゆうなのかはわかりかねるが、もはや俺の心は決まっていた。



「カスミ! 出番だ!」

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