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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第48話:想定外

「頭上!」



 俺の叫びがとどろいたときには、既に遅く、シュナーザ部隊も、帝国軍も何の反応もできずに、ただ、やりの雨に打たれた。


 槍は、無情に兵士をつらぬき、そして地面にめり込むと、大きく血しぶきの花を咲かせて、まるで花畑のようであった。


 きれいだな。


 ぞっとするような美しさとあまりの残酷ざんこくさに身を震えさせた俺は、どうやら混乱していたらしい。


 ハッと気づけば、そこに美しさなど微塵みじんもなく、ただ地面に広がる血の海と、動かなくなった肉のかたまりがあるだけだった。



「仲間、もろともかよ!」



 信じられねぇ。


 ヤスナリ達、帝国の英雄と帝国軍がどのようなコミュニケーションをとってきたのかはわからない。


 ただ、こうやって同じ作戦に参加しているのだから、少なからず仲間として認識しているんじゃないのか。


 その仲間を気にせず、槍を投下するなんて!


 いや、違うのか?


 俺は、帝国軍の動きに、ふと、背筋の冷めるような仮説が立つことに気づいた。


 まさか、そのために、帝国軍が出てきたのか?


 槍の投下は、こちらに知られている。普通に投下しては防がれる。だから、帝国軍との交戦状態をつくり、防御できないようにした。


 初めから、槍で串刺しにするために。


 理屈はわかるが、思いついてもやるか?


 そんな()()()()()()()()を。


 俺は事態が想定外の動きをしたことに動揺していた。だが、事態はさらに想定の外側へとはずれていく。


 

「え?」



 俺は、その現象げんしょうに目をうたがった。


 槍につらぬかれ、誰もが動きを止めている中で、ぴくりと動きがあったのだ。


 それは目の錯覚さっかくではなく、手も足も、まるで息を吹き返したかのように動き出す。


 帝国軍の兵士が、生き返ったのだ。


 

「おいおい、こんなチートスキルありかよ」



 蘇生?


 いや、違う、ゾンビか?


 どちらにしろこの異常な現象は、明らかにチートスキルであり、英雄の誰かが関わっている。


 そして、確かなことは、



「殺される……!」



 シュナーザ部隊がほぼ壊滅かいめつし、空には、ヤスナリの空戦部隊が陣取じんどっており、目の前には、ゾンビとした死なない帝国軍。



「やば過ぎる」



 撤退するしかない。


 はっきり言って、俺はびびっていた。


 こんな状況は想定していない。事前情報としてあがっていた帝国の英雄は、空戦部隊のヤスナリと身体強化系のメルであった。


 そのうち、メルが出て来ないから、想定よりも容易よういな作成だと思っていた。


 しかし、どうだ?


 ふたを開けて出てきたのは、ゾンビ軍団。彼らの攻撃を無視することはできず、また、交戦すれば、空からの槍投下を防ぐことができない。


 戦線の維持なんてできやしない。


 だが、ここで逃げたらどうなる?


 既に包囲作戦ほういさくせんは実行している。俺達の陽動が失敗すれば、王国軍の進行が気づかれる。さすれば、帝国軍も手を打つだろう。こちらの被害は甚大じんだいとなる。


 だったら、逃げなければ?


 最後の一人になるまで戦い続ければ何か変わるか?


 いや、仮に変わったとしても。


 俺にそんな覚悟はない。


 

「死にたくない」



 つぶやいて身体からだの震えがいっそうに増してしまった。怖くて、思うように動けない。周囲の状況だけがめまぐるしく変化する。



「――!」


「――!」



 怒号どごうひびく。耳がバカになったからか、脳みそが動きを止めているからか、もはや何の音かもわからない。


 俺が腰をぬかしそうになったとき、



「クロ隊長!」



 背中を力強く叩かれた。


 振り返ると、そこにはラブル分隊長が、見たこともないけわしい顔で立っていた。



「しっかりしてください! 今、あなたがれたら、部隊全員が死にます! 前に言ったでしょ。あなたには、どんな絶望的な状況でも笑っている義務があると!」



 ラブルの叱咤しったの言葉に、俺は、ハッと目の覚める思いだった。


 そして実感させられる。俺が背負せおわされている責任の大きさを。



「わかっている。大丈夫だ。ラブル分隊長は、部隊をまとめ直せ。ゾンビ兵との交戦は避けて、距離をとるようにしろ」


「了解です!」



 俺はラブルに指示を出し、再度、状況を確認した。


 急に視界がクリアになる。ゾンビ兵と、空戦部隊、壊滅したシュナーザ部隊、そして、再集結しようとしている俺の部隊。


 冷静に考えれば、まだ終わっていない。状況はわるいにはわるいが、まだ俺の作戦は生きている。


 いや、むしろ帝国軍に在籍ざいせきする英雄のチートスキルが明らかになって、戦況が好転するきざしまで出ている。


 あとは、もう一つ。


 もう一つの条件さえクリアすれば。


 そう思い至ったとき、



『クロ隊長、あたしらのこと忘れてないっすか?』

 

 

 ちょうど通信にソマリの声が聞こえてきた。

 


「忘れるわけないだろ。タイミングをうかがっていたんだよ」


『本当かよ、嘘くせぇ』


「当たり前だろ。準備はできてんだろうな」


『ばっちりだって』


 

 この作戦が成功すれば、次のフェーズに話を進めることができる。そして、


「よし、ボンベイ、ソマリ。作戦開始だ!」


『『おう!』』

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