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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
ハバラ基地奪還作戦~ハバラ高地にて~(異世界転移6ヶ月後)
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第45話:開戦

 ハバラ高地。


 背は低いが、広くなだらかなこぶのような地帯であり、帝国にまっすぐ向かうならば、ここを通らなくてはならない。


 迂回路うかいろもあるが、この高地を制されていては、通ることは難しく、どうしても抑えておきたい場所である。


 ハバラ高地を攻めるためには、斜面しゃめんを登らなくてはならない。その際に、こちらの機動力は落ちるし、敵から見ればいい的だ。


 この世界に銃はないが、魔法がある。魔法によって強化された矢は、よろい貫通かんつうするし、命中率も高いため、高地から撃ちおろされたら、たまったものではない。


 そこに突っ込むというのだから、まさしく自殺行為だ。


 

「だから、木の多いサイドから攻める。ボンベイ分隊は右の斜面を登り、敵部隊をかく乱する」


『はいはい、わかってますよ』

 


 ボンベイが、魔法通信()しに、かろやかに答える。


 ボンベイ分隊は、分隊長のボンベイの性格からか、バランスのよい兵士が多い。出過ぎず、引き過ぎずとった動きを必要とするこの役割にはぴったりだ。



 とはいっても、これは奇襲だ。正面での動きも必要となる。



「ここは、俺と、ラブル分隊が引き受ける。まぁ、俺達は忍耐にんたいだな。しっかり盾を前にかざして、押し進んでいく」


『はい、クロ隊長』



 ラブルは、端的に応じる。こんな死地だというのの落ち着いたものだ。


 これは、陽動の陽動といったところ。


 敵部隊の攻撃を、集中させておき、ボンベイ分隊の急襲で混乱させる。


 

『そんで、あたしらが奥の手ってことだな』


「あぁ、その通りだ」



 ハバラ高地は、左側が急ながけとなっている。ここを攻めてくることはないと、警備が薄くなりがちだ、と聞いた。


 ゆえに、ソマリ分隊は、この崖を駆けのぼり、ボンベイ分隊の反対側から最後の奇襲をかけてガタガタにする。


 

「何度も言うが奇襲だからな。かき乱すだけ、かき乱したら、すぐに撤退しろ」


『わかっているって。大将首を持って帰ってやるよ』



 本当にわかっているのか?


 非常に不安だが、作戦は以上である。既に日が暮れているから、この戦線を一晩ほど維持しつつ、主力部隊の展開を待つ算段。


 それまでに、帝国軍の主力部隊が到着すると、逆に俺達が包囲されて、木端微塵こっぱみじん


 機動力の勝負となるが、そこは、王国軍に地の利があるとんでいる。



「最後にバリニーズ。後方からの監視を任せたぞ。何かあればすぐに知らせてくれ」


『……了解』



 まだ若いバリニーズはいささか緊張しているようだった。若いといっても俺よりもずいぶんと年上であるが。


 さて、と俺は息を吐く。



「それから、もう一つ、シュナーザ部隊が陽動作戦に加わってくれた。作戦目標は同じだが、行動は別で進めることになる」


『ははは、諸君。くれぐれも我々の邪魔をしないでおくれよ』



 うぜぇ。


 魔法通信で話しかけてくるシュナーザは、ひどく腹の立つもの言いであったが、貴族はだいたいこのようなものだと、なんとか自分を落ち着かせた。


 陽動任務を、クロ部隊がになうと決まってから、あわてて名乗りをあげてきたのだ。どうやら、獣人ばかりのクロ部隊に手柄てがらを渡すのがしくなったらしい。


 まぁ、正面から突っ込む兵士は多い方がいい。こちらの奇襲がうまくいく。


 せいぜいおとりになってくれ。


 いやいや、この考え方はよくないな。シュナーザ部隊も王国の人的資源じんてきしげんであることに違いはない。できるだけ損失はけた方がいい。



「まぁ、どうしようもないが」



 通信に入らないように、俺はぽつりとこぼしたが、あわてて口を閉ざした。弱音はだめだと、ラブルに言われたばかりだ。


 ハバラ高地に続く斜面を俺達はのぼっている。


 ラブル分隊を引き連れて、正面に見える基地に向けて。


 ハバラ高地に設置されている、王国軍の基地。今は占領されていて、帝国軍に使われている。


 さいわいなのは、帝国軍向けの防衛基地なので、王国側の守りの設備が薄い事。


 急ごしらえでさくが立てられているが、攻略可能なレベルであり、それは敵部隊も理解しているだろう。


 攻略されるかもしれない。


 そう思わせ続けるのが、俺達の仕事だ。



「さぁ、作戦開始だ!」


「「「おー!!」」」



 俺達の部隊が一斉に駆けだすと、基地からいっせいに矢が放たれた。


 開戦である。

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