第43話:クロ部隊緊急会議
「帝国軍とガチンコ勝負!?」
俺が担当するクロ部隊の幹部会。分隊長と班長に対して、俺は隊長会議で決まった作戦の内容を伝えていたところ、ソマリが大げさに不満を漏らした。
「違う。陽動だ」
「無謀っていうところは一緒だろ。あたしたちの部隊だけで、ハバラ高地を制圧した帝国軍に正面から挑むんだろ?」
「あぁ、そのうえ、相手の部隊の規模も戦力も未知数で、おそらく英雄までいる。はっきりいって勝ち目はない」
「余計わるいわ!」
ソマリだけでなく、他の分隊長達も不満を口にしてた。
まぁ、彼らの気持ちもわかる。俺だって、こんな作戦を、うちの部隊でやるのは嫌だったのだ。
しかしながら、隊長達の総意であり、新設された部隊ということもあって、反論もしずらい。俺も英雄なのだから、もう少し我儘が言えそうなものだが、軍設立の際に、わりと無理を通したので、あまり強く言えない。
それに緊急事態ということもあって、もめる時間が惜しかった。
などという理由はいくつかあるのだが、分隊長たちが納得しそうなものではない。
「あたし達を殺す気かよ! クロ隊長!」
「まぁまぁ落ち着け。これは決して無謀な作戦じゃない」
どう考えても無謀な作戦だが、俺はなんとかそうでないとを彼らに錯覚させる必要があった。
「まず、ソマリ、おまえのいちばんの間違いを正しておくと、大前提として、俺達の部隊は勝負をしない」
「ん? どういう意味だ?」
「勝負というのは勝つか負けるかわからない戦闘のことだ。死ぬか生きるかって話をしているのに、そんなあやふやな戦闘はしたくないだろ」
「確かに」
「俺達がやるのは、一方的な殲滅だけだ。こちらの部隊の被害は最小にして、相手の部隊に甚大なダメージを与える。それが基本だ」
「聞いている分には、なんだか卑怯なんだが」
「正々堂々と戦って死にたいか?」
「いや。生きるのがいちばんだ。ただ、その考えからいくと、今回はまったく逆だろ。相手にダメージなんて与えられるかわかんねぇし、こっちの被害は甚大だ」
「だから、陽動だと言っただろ。普通の戦闘は、敵部隊の壊滅が目的だが、陽動の目的は、敵部隊の拘束だ」
「拘束?」
「そうだ。つまり時間稼ぎだな。王国軍の主力部隊が、ハバラ高地を包囲するまでの間、敵部隊が動けないようにする」
「結局、戦うんだろ?」
「どちらかというと防御だな。こちらの被害が出ないようにしながら、敵部隊が無視できない程度に攻撃する」
「なんだか、ガキの嫌がらせみたいだな」
「似たようなもんだ」
それで理解が促進されるならば、イメージなどなんでもいい。
ソマリは、それでも気が進まないようだった。
「とはいってもな。いきなり帝国軍と戦闘って言われても、あたし達、まだ災害の後始末とか、盗賊狩りとかしかしてないしな」
「いや、そこはチャンスと考えよう」
俺は、ソマリに応えた。
「ソマリの言う通り、この部隊は、設立されてから日が浅く、実績がない。今回の任務は、ハバラ高地奪還作戦の要ともいえる。見事に任務をこなせば、軍の中での評価もあがる」
「なるほど」
「そうすれば、報奨金もあがる」
「「「おー」」」
現金な奴らである。
しかし、よかった。分隊長達が乗り気になってくれるかが心配だったのだ。やる気のない仕事はうまくいかないものである。
俺もコスプレで、誰かに頼まれて、衣装をつくるのは気が乗らない。やはり自分達で楽しめるものでないと。
まぁ、それはいいとして、俺は分隊長たちに告げた。
「危険はある。否定はしない。だが、ハイリスク・ハイリターンだ。この任務を成功させて、がっぽり儲けようじゃないか!」
「「「おう!」」」




