第41話:回想~球技大会~
「安成! ボールいったぞ!」
「おー!」
俺の蹴ったボールはアーチを描いて、前方のスペースに落ちた。そこに走り込んだ安成が、ボールをトラップしてから、前に転がす。
「おっしゃ! いけぇ!」
クラスメイトの声援を受けて、安成は、ボールを蹴飛ばした。まだゴールまで距離があるけれど、自信があったのだろうか。
しかし、それは過信だったようで、ボールはゴールポストに当たって、跳ね返る。
「あほぉ!」
「あれ?」
俺達がため息を漏らしている最中、安成はバランスを崩して、後ろ向きにすっ転んでいた。
代わりに、ボールを拾った大樹が、かろやかにトラップして、ディフェンスを躱し、そのままシュートを放ち、ゴールネットを揺らした。
歓声と共に試合終了のホイッスルが鳴る。
クラスのメンバが、大樹に駆け寄った。
クラス対抗球技大会。夏の日差しの下で、繰り広げられたサッカーゲームは、俺達の勝利で幕を閉じた。
「よう、ヒーローになり損ねたな」
「はは、こんなもんだよ」
俺が、転んでいる安成に手を差し出すと、彼はおかしそうに笑った。
「引き立て役としては、立派だったろ」
「あぁ、ハリウッドからオファーがきそうなくらいにな」
「英語勉強しないとな」
「その前にサッカー練習しろ。サッカー部だろ」
「ベンチウォーマーだからな。あんなふうにはできないさ」
安成は、皆に囲まれる大樹の方を見て、自嘲気味に再び笑った。
「まぁ、諦めんなよ。これからだって。何事も気持ちだよ。卑下していると、そうなっちまうぜ」
「コスプレイヤーが言うと重みがあるな」
「さぁ、いこうぜ。何にしろ、俺達の勝ちだ」
「あぁ」
安成の尻を叩いて土を落としてやり、俺達は、大樹の方に駆け寄った。




