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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
歪みの果ての暴動~コラット領獣人街にて~(異世界転移1か月後)
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第30話:コラット領での獣人蜂起

 最初は、子供の喧嘩けんかであった。


 喧嘩というには一方的なもので、獣人の女の子に、人間の子供達が石を投げていた。


 それを見た獣人の大人が止めに入った。獣人か人間か以前に、大人として当然の行動をしたといえる。しかし、獣人の彼は、()()()()()()()()()()()()()()()()


 翌日、子供を助けた獣人は、コラット伯爵の私兵によって惨殺ざんさつされた。


 当然、獣人達は激怒した。


 不当な殺人であると。そんなことは、今更の話であったはずなのだが、おそらく蓄積ちくせきされていたものがあふれ出てきたのだろう。


 反抗する獣人は、次第に増えていき、いつの間にか、コラット領全域での獣人蜂起じゅうじんほうきとなった。


 困ったのはコラット伯爵はくしゃくである。


 そもそも、コラット伯爵は、王国の最東部にある辺境の貴族であり、兵力もさほどない。だからこそ、獣人が多く住んでいたともいえるが、ゆえに、コラット伯爵には、獣人の暴動を抑え込む力がなかった。


 そこで、コラット伯爵は、王に援助を頼んだ。


 

「よし、いいぞ。全員殺せ」



 報告を受けて、王は、第一声でそう述べたらしい。


 まったく、見事な鬼畜きちくである。


 俺は、ひろかに鬼畜王の称号しょうごうを彼に与えた。


 しかし、この世界では、普通のことで、誰一人、王の言葉に忌避感きひかんいだく者はいなかった。俺は、そちらの方に唖然あぜんとした。


  

「コラット領鎮圧の件、俺達にあずけてくれませんか?」



 気づくと、俺は、口を出してしまった。平和ボケした正義感。そうとしか思えない判断で、自分でも、合理性に欠けると思っている。


 だが、放っておけば、大虐殺だいぎゃくさつが起こる。


 それを、みすみす見逃すことはできなかった。


 

「僕は、クロくんの判断は間違ってなかったと思うよ。アキトくんは、文句を言っていたけどさ」


「そう言ってくれてよかったよ」



 コラット領の荒廃こうはいした大通りを歩いていると、隣でサクが、グッとこぶしを握っていた。



「全員殺すなんてひど過ぎるもんね。そりゃ、暴動を起こすのよくないけど。ここは話し合って、平和的に妥協点だきょうてんを探すべきだよ」



 サクが、にこっと笑うので、俺もかるく笑顔を返して、首を横に振った。



「いや、暴動は、暴力によって鎮圧する。いっさいの妥協を認めない」


「え!?」



 驚くサクに、俺は、なるべくわかりやすく説明を試みる。


 というか。



「この話、王都でしただろ。おまえ、話聞いてなかったのか?」


「うーん。僕、理系だから」


「理系は耳がねぇのか」



 まったく、と俺は肩を落とす。



「いいか、至極単純しごくたんじゅんな理由だ。()()()()()()()()()()()()()()。それだけだ」


「ふむ、もうひと声」


「つまりだな、暴動ってのは、やくざのやり方だってことだ。殴られたくなかったら、俺の言うことを聞け、俺の要求を受け入れろってな。そんなやり方を認めちゃだめだろ」


「なるほど。でも、今回は、先に手を出したのは人間の方だよ」


「だめだ。どんな理由があろうと、一度、暴力による現状変更を認めたら、次が出てくる。気に食わないことがあったら、暴力にうったえようと」


「小学校みたいだね。みんなが真似するからだめ、ってよく先生が言ってた」


「まさにそれだ。だから、先生よろしく、どんな理由があろうと、妥協しない」


「でも、暴力で鎮圧するって、それじゃ、王様と一緒じゃん」


「いや、暴力は使わない」


「え? でも、さっき暴力で鎮圧するって」


「正確には、暴力を背景に、強硬的きょうこうてきに交渉し、降伏こうふくさせる」


「それって、おどすってことだよね?」


「虐殺よりはいいだろ」


「はぁ。もっと平和的な解決がいいなぁ」


「現状、考えるもっとも平和的な解決法だ。代替案があったら教えてくれ。いつでも募集中だよ」


「ないよ。だから、クロくんの案を精いっぱい実現しようとしているんじゃない」


「これも綱渡つなわたりだけどな。一歩間違えれば、大虐殺が始まるか、俺達が殺される」


「そうならないようにがんばろうよ」


「まったくだ」



 俺とサクは、道端みちばたで立ち止まる。大通りは、まだ続いているはずなのだが、これ以上、進むことはできない。なぜならバリケードがきずかれているからだ。


 

「やっぱり怖いね」


「あぁ。俺も怖い」



 俺達がふるえていると、ぞろぞろとバリケードの裏から、獣人が現れる。


 コラット領の獣人が不法占拠ふほうせんきょした地区に、俺達はやってきたのだ。


 どうして、俺達がこんなことを、と思わなくもないが、俺達にしかできないことなのは間違いない。


 英雄と呼ばれる異世界人。


 そんな俺達だから、できること。


 英雄などと言われてもピンとこないが、とりあえず、救える命は救おうじゃないか。

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