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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
交錯する二人~獣国首都にて~(異世界転移10か月後)
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第24話:元クラスメイト

 ウシノは、俺の前に立って、首を傾げた。



「ねぇ、聞いてる? ウズラくんの意識だけは止めないでおいてあげたはずなんだけど。あれ? できてないのかな?」



 目の前で手を振るウシノに、俺は反応することができない。彼女の話では、意識だけは止められていない。ゆえに、こうして、思考を働かせていられるのだろう。


 ただ、口も何も動かせないのだから、反応などできようもない。



「はぁ。いまいち調整ができないのよね、このスキル」



 そう言って、ウシノは俺の額に手を当てた。すると、急に身体の自由が戻ってきて、俺は、ごほっと咳き込んだ。止まっている時間に息苦しさを感じたわけではないが、意識的に呼吸をしていないと気持ちがわるい。



「これで、話せるかしら?」



 動かせるのは、首から上。他は動作しない。声が出せるということは、肺は動いているらしい。他に血流がどうなっているのかなどの疑問もあるが、今、俺がこうして生きているということは、何かしらの整合性がとれているのだろう。


 何が、調整できない、だ。部分的な停止と再生、しかも、自分はその中で自由に動ける。


 これほど、融通ゆうずうくチートスキルもないだろう。



「チートだな。()()()()()()だなんて」



 俺が告げると、ウシノは、つまらなそうに鼻で笑ってみせた。



「久しぶりね、ウズラくん」


「あぁ、久しぶりだな、ウシノ。少しやつれたか?」


「こんな状況だからね。私もいろいろあったのよ。ダイエットしていた頃がなつかしいわ」


「もう少しぽっちゃりしている方が健康的でいいと思うぞ」


「あんたのこのみなんて聞いてないわ」



 ウシノは、かるく返してくる。



「で、何しているの、こんなところで?」


「見てわからないか?」


「わからないから聞いているんだけど。女装して、うちの幹部のおっさん獣人と密会してって、いったいどんなプレイ?」


「やめろ。そう言われると、なんかすごい変態に聞こえる」



 いや、事実しか言ってないんだけど。



「そこのおっさんと話をしていただけだよ。獣国と王国で同盟を結べないかと思ってな」


「へぇ。同盟ね」



 ウシノは、腕を組む。



「確かに、魅力的な話だわ。うちは、やっと獣国近辺を平定したばかり。それなのに、帝国が攻勢をしかけてきて困っているの。魔国とはまだ穏やかだけど、王国が負けたら、こっちに来るかもしれない」


「その通り。獣国と王国は、地理的に距離がある。いずれ戦うにしろ、最後になるだろ。まずは協力して、他の二国を蹴散けちらすのが効率的だと思わないか?」


「あいかわらず、そういう身もふたもないことを考える人よね」



 そうでもない。この手のサバイバルゲームならば、序盤じょばんはチームを組んで乗り切るのが常道。それは国であっても同じことだ。


 魅力的だなんて言っておきながら、ウシノは特に悩む様子もなく応えた。



「まぁ、無理だけど」


「即答だな」


「あ、これは私の意見ってわけじゃなくて、連合政府の総意だから」



 だって、とウシノは告げる。



「テロサノキの虐殺をしたような野蛮人なんでしょ。異世界人の私ですら、ぞっとするわ。そんな国とは同盟は組めない、っていうのが獣人の総意。まぁ、ユズリハくんとかは、違う意見を持っているみたいだったけど」


「まぁ、そうなるよな」



 テロサノキの虐殺。過去に王国のテロサノキという地方で起きた事件だ。獣人と人間の小さないさかいから、騎士団が動き、そして、獣人の大虐殺へと発展した。一説には、獣人の死体で山ができて、湖が血で赤く染まったとも言われ、それほどの獣人が殺された。


 記録によれば、ずいぶんと昔の事件だが、それでも獣人達にとっては許しがたいものなのだろう。



「だから同盟はなし。マイスキーに話をもってきたのは、いい線だったかもしれないけれど、結局はむりだったと思うわよ」


「そうか。残念だ。それじゃ、俺達はおとなしく帰ることにするよ」


「ふふ、帰れるわけないじゃないでしょ」



 ウシノは、そこでいじわるそうに笑った。



「あなたはこのまま拘束させてもらうわ。殺しちゃってもいいけど、王国の情報を吐かせてからでもいいからね」


「クラスメイトを殺すだなんて、物騒ぶっそうなことを言うなよ」


「元クラスメイトでしょ」


「ウシノに人なんて殺せないだろ。一年のとき、学校の前で猫がかれて死んでたの覚えているか? あんとき、おまえ、すっげぇ泣いてたろ。墓を作るの手伝ったからよく覚えているよ」


「あぁ、そんなこともあったわね」



 ウシノは一度顔をせた後、ふっと表情を消して、ナイフを取り出した。そして、俺の首にスッとわせる。



「言ったでしょ。私にもいろいろあったの。今さら、殺すことを躊躇ためらったりしない」



 刺さるような殺気が、俺の背筋をすっと冷やす。この言葉はおどしじゃないと、ウシノの目を見ればわかった。



「これはそういうゲームなんでしょ」

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