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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
交錯する二人~獣国首都にて~(異世界転移10か月後)
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第23話:獣国の英雄

 パーティ会場の視線が、俺達の方に集まっていることは明らかであり、そのことに気づいたマイスキーは、混乱して、にわとりのようにきょろきょろとしていた。


 

「どういうことだ?」



 マイスキーにはわからないだろうが、俺にはわかる。第一声を受けて、警備兵がテラスに集まってきた。


 

「マイスキー様、これはどういうことですか!?」


「それは、俺が聞きたい! いったい何の話だ? どこに王国の奴なんて――」



 そこでマイスキーは、ハッと思い至ったらしく、すっと俺の方を見た。なので、俺は立ち上がって、大げさにため息をついた。



「バレてしまいましたか。これは困りましたね、マイスキー様」


「貴様、まさか」


「今日は、マイスキー様に頼まれていたものを渡しにきただけだったのですが、さすがにパーティに出るのはやり過ぎでしたね」


「頼まれた? いったい何を?」


「もうここまで来たら、ごまかせませんよ。マイスキー様に頼まれて用意したそのグラスですよ」



 やっと事体に気づいたマイスキーは、慌ててしまっていたグラスを取り出した。



「こ、こ、これは! 貴様が、勝手に!」


「私を裏切るのですか? まぁ、この状況では、何を言っても無駄かと思いますが」



 警備兵は、剣を抜いてこちらに向けている。どう考えても、問答もんどうが通じるような状況とは言えなかった。何も言えない木偶でくとなったマイスキーは、頭を抱えていた。お気の毒ではあるが、まぁ、敵である以上仕方ない。


 俺は、肩をかるくほぐす。



「さて、用事は済んだ。ソマリ、逃げるぞ」


「ほいさ」



 横に座るマイスキーをはねのけるようにして、ソマリは立ち上がり、ぐいっと背伸びをしてみせた。



「動くな! ここから逃げられると思っているのか!?」


「もちろん」




 警備兵の言葉に、俺は片頬をあげてみせる。


 俺が、近くのテーブルを蹴り飛ばした瞬間に、警備兵が剣を振りかざした。


 ほぼ同時に、俺は動き、そしてその警備兵の手元に掌底しょうていをあてた。剣を落とした警備兵を、俺は蹴り飛ばす。



「ソマリ!」


「おう!」



 落とした剣を手に取り、ソマリに放り投げる。ソマリは受け取った剣を使って、斬りかかってきた警備兵を逆に斬り返した。


 ソマリは、()()()()()()()()()()()()()()()()速度が増し、ドレスをひらめかせながら、警備兵を次から次へと斬り倒していった。



「何だ!? その動きは!」



 警備兵が驚愕きょうがくの声をあげる。それもそのはずである。ソマリの動きは、明らかに常人のそれを凌駕りょうがしている。



「これこれ! こういうわかりやすいのを待ってたんだよ!」



 ずいぶんと鬱憤うっぷんまっていたようで、ソマリは、張り切って剣を振っていた。


 

「強すぎる。これではまるで……!」



 言いかけた警備兵を、俺は蹴り飛ばした。


 これはどうでもいい話だが、俺は、今、女装をしており、ドレスを着ている。ゆえに、蹴りを繰り出す度にスカートがぶわっと広がって、中が見えそうになる。


 女装中のスカートの中というのは、はっきり言ってパンドラの箱であり、見ても見られてもたいへん困るものなのだが、残念ながらかまっているひまがない。もしも、警備兵のみなさんにトラウマを植え付けてしまったら、本当にすまないと思う。



「おい、ソマリ! そろそろ――」



 と俺は言いかけて、やめた。


 いや、やめたのではなく、()()()()()()。言葉はぶつ切りになり、俺の口はぴたりと動かなくなったのだ。


 口だけではない。手も足も、身体の何もかもが動かない。いや、動かないのは俺だけではなかった。


 周囲のすべてが停止している。


 ソマリも、警備兵も、飲みかけのグラスも、倒れかけのテーブルも、まるで時間が止まったかのように、すべてが動きを止めている。



「まるで英雄じゃなくて、英雄よね」



 そんな静止した空間の中で、一人、カツカツとヒールを鳴らして歩いてくる女がいた。



「まさか、女装して乗り込んでくるとは思わなったけれど。もともとそんな趣味があったのかしら、ウズラくん」



 俺の苗字を呼ぶ彼女は、腰に手を当てて、垂れた耳をひょこりと揺らした。


 牛野智子うしの ともこ


 

「まったく、大胆だいたんよね。まぁ、何をたくらんでいたのか知らないけれど、それは叶わないわ。だって、()()()()()()()()()

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