表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
交錯する二人~獣国首都にて~(異世界転移10か月後)
21/87

第19話:ドレス

「あははははは! クロ隊長! 似合い過ぎ!」



 ソマリが、腹をかかえて笑っているのを見て、俺は、イラっとしていた。寝不足もあるが、どんなへぼコスプレであっても、コスプレイヤーを笑ってはいけないという俺の中のコスプレ魂が、彼女の反応を許せなかったのだ。


 仮に、女装であっても。


 笑うのは失礼である。


 ソマリとの一泊という何か起こりそうな夜を過ごして、結局のところ、何も起こらなかった翌日のことである。


 朝起きたソマリと、やったやらないで一悶着ひともんちゃくあったのだが、少なくとも今のソマリは上機嫌である。



「それにしても、パーティに参加するだなんて、大胆な作成だな。あたしは、てっきりコソ泥よろしく城に忍び込むんだと思ってたよ」


「こういうの堂々としていた方が、バレないんだよ」


「そうだな。堂々と女装して、な。あははは!」


「しつこいぞ。ソマリ」



 俺は、ソマリと話しつつ、あわ翠色みどりいろのドレスのすそを確認していた。


 もともと背は高くないが、低めのヒールにしてもらっている。肩から胸までフリルでおおわれており、スタイルに問題はない。


 ありふれた金髪のウィッグにハサミを入れて、自然な感じに。なるべく顔を隠せるように、前髪は長め。


 道具も時間もないので、いささか物足りないが、ひとときだますだけならば、問題ないだろう。


 

「ソマリも、あんまりバタバタするなよ。髪型が崩れるだろ。せっかく整えたのに」


「へへ、あたしも似合っているだろ?」


「あぁ、俺がメイクしてやったからな」



 そう言って、ソマリは、自分のドレスを見せびらかせた。


 青系の色でうまく染められた生地には、きらきらと光って見える加工がほどこされていた。俺のドレスとは対照的で、胸元が大きく開いており、女を前面に出している。


 髪もまとめあげて、素材のよさをアピールするような構成。


 ソマリは、もとが美人なので、わりと簡単なメイクで仕上げられる。


 あとは、おしとやかにできればな。


 

「へへへ、お姫様みたいだな」


「あくまで商人の付きいって設定だけどな」



 ソマリは、初めて着るドレスに、興奮しているようだった。俺も初めてコスプレをしたときは胸がおどったものだ。


 

「いいか。俺達の目的は、獣国連合政府の幹部、マイスキーに、このワイングラスを渡すことだ。名工めいこうのつくったもので、変な形だが価値があるらしい。マイスキーがワイングラスと女に目がないことは調査済みだ」


「それで、女二人で、パーティに参加するわけだな」


「そうだ。今回のパーティは、獣国連合政府のナンバー2が主催のパーティで、政府関係者と商人が参加する。そして、このパーティにスピッツという商人が参加するんだ。この男は、女調達係だな。毎度、数十人の女を集めて、パーティに連れてくる。俺達は、その女の二人として侵入する」


「奴隷商なのか?」


「いや、口利きとでもいうのかな。政府と関係を得たい中堅の商人や軍人の娘を集めてくるんだ。娘が、政府関係者に見初みそめられれば、もうけものといったところだろう」


「なるほど。権力者にこびを売る女を演じればいいわけだな」


「まぁ、そうなる」



 正直、ソマリと対極にあるような性格の女だと思うのだけれども、大丈夫だろうか。


 

「もうしばらくしたら協力者が馬車で迎えに来る。俺達は、その馬車に乗って、パーティ会場に向かい、スピッツのひきいる女たちにまぎれる」


「何だ、協力者がいるのか? だったら、そいつらに全部(まか)せればいいんじゃないの?」


「協力者は、獣国で活動している諜報員ちょうほういんだ。そんな派手に動いたら、もう獣国で仕事ができないだろ。それに、明らかに王国の使者と接触したという事実がほしい」


「つまり、王国の英雄であるクロ隊長と、獣国のマイスキーがパーティ会場で会うことが大事なわけだ」


「ソマリにしては、ものわかりがよくて助かるよ」



 この話、もう5回目だけど。


 ちなみに、このドレスを用意したのも変装道具を用意したのも協力者だ。なかなかセンスがいいと、俺はひそかに感心していた。



「そうだ。ソマリ、これをあげようと思っていたんだ」



 俺は、テーブルの上の組みひもを差し出した。昨晩、見張りをするのが暇で、つい作ってしまったものだ。



「え? あたしにくれるの?」


「あぁ、でも、ドレスには合わないな」


「いいよ。つけるつける!」


「つけるっつってもなぁ」



 俺は、少し考えて、髪に編み込んでやることにした。茶髪にちょっとしたアクセントが加わって、思ったよりいいか。



「ふふ。これでマイスキーもイチコロだな」


「だと仕事が楽でいいけどな」



 部屋の道具類を片付けていると、ドアをノックする音が鳴った。


 作戦決行である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ