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英雄達の偽曲~親友に裏切られて全て失ったけど【コスプレ】スキルで世界征服に邁進します~  作者: 最終章
魔国防衛戦~エドガー湿原にて~(異世界転移9か月後)
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第10話:Sランクチートスキル

「わるかったな。シグレの部隊に意外と手こずったんだ」


 

 アキトは、さほど悪びれる様子もなく、笑っていた。この男は、責任というものをほとんど感じない。その点に関しては、ある意味で才能であった。


 へへ、とアキトは、トーイチロに剣を向ける。


 その辺の粗雑そざつな鉄の剣ではない。青白くかがやく大剣。防具も含めて、すさまじい力を感じさせ、彼のスキル名を体現たいげんしていた。


 『聖刻騎士パラディン


 俺が、手に入れるはずだったチートスキル。


 その神々(こうごう)しい姿を見るたびに、俺は、胸の内に黒いものが渦巻うずまくのを感じる。うらみと羨望せんぼう嫉妬しっと


 それでも、今は、ぎりぎりの来訪らいほうを喜んでしまっている。そんな自分のあさはかさが、よりいっそう胸をめ付けるのだった。



「アキトくんがどうしてここに?」


「考えればわかるだろ。シグレを追っ払ったからだよ」


「な、何ですって!? シグレさんの部隊が負けるなんて」


「何もおかしくないだろ。俺はSランクなんだぜ。俺を倒したかったら、フルイデが直接出て来ないと無理だっつーの」



 ぎりっと歯噛はがみして、トーイチロはあとずさった。


 そりゃそうだろう。言ってしまえば、トーイチロのスキル『超人』の上位互換じょういごかん。最上級の身体強化は言うまでもなく、その剣はすべてを切り裂き、その防具は最上級の物理耐性と魔法耐性を持つ。


 チートの中のチート。


 はっきり言って、アキト単体を破壊することは、この世界のいかなる者にも不可能なのではないかと思われる。


 びびるトーイチロに、アキトは笑みを見せる。



「おまえなんか俺の相手じゃないんだけどな。戦力はけずっておいて損はないだろ」


「くそっ!」



 アキトが剣を振ると、トーイチロは吹き飛んだ。間合いてきには当たっているはずがないのだが、風圧だろうか。


 トーイチロが、勢いよく転がっていった。あれはもう死んだんではないかと思ったが、傷だらけになりながらも、生きていた。



「ふん、タフだな。だが、次で終わ――」



 アキトの声をさえぎるように、空から無数の砲弾が落ちてきた。


 な、何だ!?


 俺は、爆風に吹き飛ばされていた。


 いったい何が起きたかわからないが、それを把握する前に逃げた方がいいかもしれない。流れ弾に当たったら死ぬぞ、これ。


 しかし、その心配は杞憂きゆうだった。


 飛んできた砲弾は一つ残らず、アキトに直撃した。砲弾の起動は、明らかにいびつで、物理法則なんて無きがごときであったが、この世界ではさほど不思議でもない。


 

「アンドウか」



 魔国所属、安藤萌香あんどう もか、スキル『操作コントロール(推定)』。遠隔えんかくで物体の移動を操作することができる。サイコキネシスのような能力だ。


 容赦ようしゃなくそそぐ砲弾が、アキトをおそう。


 だが、


 

「しゃらくせぇ!」

 


 アキトは剣の一振りで、砲弾を吹き飛ばした。



「こんなもん通用するかよ!」


「あぁ、そうだろうな」


「!?」



 声は、突如とつじょあらわれた。


 トーイチロの眼前に、黒く丸い穴がいている。そこから現れたのは人の半身。



「フルイデ!」


「トーイチロ、撤退てったいだ。実戦データは十分取れた」


「は、はい、フルイデ様!」



 様、って。


 どうやら、上下関係ができているらしい。


 ちなみに彼らの名前は、そのままの音で聞こえている。この世界の言葉を俺達はあらかじめ使えるようになっていたが、名前だけはそのままで、王国の皆は、いささか呼びにくそうであった。俺のクロという呼び名は呼びやすかったようですぐに定着したが。


 撤退を開始するトーイチロの部隊に対して、アキトが、剣を向ける。



「逃がすと思ってんのか!?」


「思ってないさ。だから、妨害させてもらう」



 フルイデが、地面に手を当てるのを見て、俺はゾッとして咄嗟とっさに叫んだ。



「全員、警戒! 地面がえぐれるぞ!」



 叫ぶと同時に、フルイデが触れた地面が青白く光り、続いて、地面が盛り上がっていった。


 現れたのは、巨大な壁。


 その生成速度は凄まじく、にょきにょきと空へと伸びていく。同じ速度で、俺達側の地面が抉れていった。


 

「相変わらずでたらめだな!」



 古射手伊月のSランクチートスキル『創造主クリエイト』。いわゆる製造スキルだ。発動条件はよくわからないが、その名の通り、いかなるものでも創造できる。


 魔国で、銃を大量に作り出したのも、この力によるものだ。


 

「ちっ、こんな壁!」


「やめろ、アキト! こっちにも被害が出る!」



 俺の制止を振り切って、アキトは巨大な壁に剣を振った。すると光の巨大な刃が壁に直撃し、まるでダイナマイトで爆破されたかのように壁が吹き飛び、そして破砕した。



「あのバカ! 全員退避!」



 俺の声を聞くまでもなく、隊員は落下してくる壁片かべへんから逃げていた。


 アキトは、壁の向こうに行こうとしていたが、その先には、既に次の壁が用意されていた。そこで、アキトは、舌打ちをしつつ、思いとどまったようだった。


 壁の倒壊と、地面の変動が終わって、なんとか生き残っていた俺は、座り込んで、大きくため息をついた。


 一応、今回の戦いはしのいだ。


 見たところ、部隊のメンバのほとんどは生き残っている。上々(じょうじょう)出来できといったところではないだろうか。


 はぁ、それにしても。


 と周囲を見まわして、俺はどうしてもぼやかざるを得なかった。



「チートかよ」

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