裸の王女様
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♡♡裸の王女様♡♡
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主人公の王女様は、あの有名な「裸の王様」の一人娘で、父親がインチキ商人に騙されて、
「バカには見ることが出来ない服」
とやらに夢中になっている事に心を痛めていました。
このままじゃいけない!
何とかしなければ。
……でも、どうやって?
王女は、考えた。
無いものを、「無い」と証明するのって、簡単なようで難しい。
たとえば、UFO。
たとえば、つちのこ。
これらを「存在しない」と証明してみせるなんて、ほぼ不可能なことだった。
在るものを「ある」と証明するのなら、その実物を見せて済むのに。
なので、
王女がインチキ商人に立ち向かう時に使うアイテムは、「バカには見えない」と言われていて、王家に伝わる、ハッキリと目に見える、赤いドレスだった。
その赤いドレスによって、王女はインチキ商人を追い出した。
ただ、王様は信じきれていないようだった。
「あまりにもハッキリ見えるとな、どうも、その…」
「じゃあ、城の全員で確かめましょう」
と王女は応えた。
城中の家臣を集め、その赤いドレスを見させた。結果は、誰の目にも見えた。
王様は、安心したように笑い出した。
「なんだ、みんな見えるのか。やはり、ただのドレスじゃないのか?」
王女「そりゃ、まあ、そうかもしれないけど……でも、いいじゃない。あの商人を追い出せたんだから!」
「そうだな」
王様は、苦笑した。
皆が去りかけた時、王女が叫んだ。
「待って! まだ、○男がいないわ」
○男は、お庭番の家臣で、王女とは同じ歳だった。
家臣の一人が、神妙な表情で、王様に耳打ちした。
家臣のうちで、○男だけが「王様は裸だ」と言い張り、反省房に入っていた。
「すぐ連れてこい」
王様は小声で命令した。
その○男が、王女を見ると、顔を真っ赤にし「わー」と訳がわからない奇声をあげて、走り去った。
「変なの」
王女は、つぶやいた。
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<数日後>
やり直しのパレードには、王女も参加した。
前回とは違い、街中の人達が、晴れ晴れとした笑顔で声援を送った。
ただ一人、旅人姿の○男が、
「王女様は、裸だ」と呟いた。
<終>
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<蛇足編>
○男は旅に出た。もう王女のそばには、居られない。いてはいけないと思った。
ある時、森で迷い、「魔法使いの村」という嘘臭い名前の村にたどり着いた。
その村で、○男は魔法が本当に存在するのだと知った。そして、王女が裸に見えたのも、魔法のせいだと気づいた。
城に帰りたい!
だが、また王女が、あのドレスを着たらどうすればいい?
その村で、裸に見えなくなる特殊なメガネを手に入れた。
[○男ハ、色眼鏡ヲ、GET]
ところが、戻っても、退職扱いになっていて、○男は城には入れなかった。
復職するには、採用試験を受けねばならない。
受験科目は、小論文だ!
作文には、2種類がある。
・「机にリンゴがある」と、見たまま書けばいいの。
・「遠足は楽しかった」と嘘を書かされるもの。
○男は、「遠足…」が苦手。
ドキ ドキ ドキ
<問題:机には何があるか>
ヤツタ ラッキー
注:バカには見えないリンゴ
え?
え? えーーーっ!
<終>
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<補足>
机の上には何もなくて、ただ注意書きの紙があるだけだった。
その紙には、
[ 注:これは、バカには見えないリンゴ ]
と書かれていた。
はたして、合格するには、
「何もない」と書くべきか「リンゴがある」と書くべきか。
物語は振り出しの「裸の王様」に戻った感じ。
<終>
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【終】