都市の一角で三周年のお祭りが開催されていました
俺、小石川貴久は、異世界転移者である。
観光を楽しみながらこの世界に何らかの目的があって落ちてきた強力な武器“外来物”を封印していた。
女神様とセレナという美少女と一緒に回っていたが、“外来物”がこの世界に来るのを望んでいる人物がいるらしい。
それを追いかけてきて、俺達は都市までやってきた。
ちなみにセレナはお姫様であるのを隠しているのもあるだろう、妙に周りに治して警戒している。
そんな中とある都市の噴水の近くまでやってくると、噴水ができて三周年といった事でイベントをやっていた。
出店が多く並び、町中には人があふれている。
特に大きく変わった様子はない。
またセレナによるとここには噴水があるが、他の場所には三つ噴水があり、地下でつながっているらしい。
人が通れるような大きな水路が地下にあり、それは城にも続いているそうだ。
ちなみに何で知っているのか聞いてもセレナは答えなかった。
とはいえ、地下で井戸なども通してこの都市全体がこの水で繋がっているらしい。
“外来物”がこの水を使って何かをしたら都市全域に影響が出るだろうか、といった雑談をしたが、どういった形で影響が出るかは不明だ、そもそも起こるか分からないといった話で終わった。
けれどやはり気になったので、噴水周辺はお祭りをしているので周りを散策しながらお祭りを楽しむことに。
セレナもこういったお祭りに参加するのは初めてで、女神様は夢中になって屋台を見て回っていた。
元の世界では俺も縁日などで屋台で食べ物を買った記憶がある。
そういえば、アニメなどで見る“リンゴ飴”というものは、俺は実際に屋台で見たことはなかった。
見たことがあるのは、割りばしの付いた果実を水あめにくるんで氷の上にのせてある“あんず飴”である。
前にネットを調べると、関西の方では“リンゴ飴”というものが実際に存在しているらしい。
実際にそのうち食べてみたいと俺は思った記憶がある。
そんなこんなで見て回っていたセレナがふと呟いた。
「こうした都市に“外来物”が来るのも父……ではなく王の暗殺といった理由があるのかしら」
「どうだろうな。連中の目的はまだ分からないからな」
「そうね……でもいきなり国のトップが暗殺なんて起こらないわね。タカヒサの世界、貴方の国ではあったの?」
「それは歴史を紐解けばあるな。凄いのになると、この世界でいう“演劇”のようなものの最中に、庭に馬が放たれ屋敷の門が一斉に閉ざされてたかと思うと、そこで甲冑を着た武装した武者……ここでいう騎士か、が現れてトップの人物の首をスパンッとはねた、なんて話もあるからな」
「……小説?」
「どうも現実にあったらしい」
そう聞くとセレナの顔が真っ青い顔になる。
そしてすぐに、
「……この国の国王に会って、力を貸して欲しいの」
「そうなのか。となると国王に会うのは二回目になるな」
「……え?」
「だって俺、この国で召喚された異世界転移者だし」
「……私、知らない」
「そういえばセレナに会っていなかったな」
そう話すとセレナが蒼い顔をして小さく震えるもすぐに、
「ど、どうも私が誰だか気づいていたみたいね。だったらどうしてこう、敬語じゃなく普通に話しているの?」
「ああ、その点は大丈夫だ。こういう場だからこう話しているだけで、公の場はきちんと敬意を表するような言葉遣いが出来るから」
「いや……えっと……そう」
何故かセレナが困惑したように答える。
どうやら王様の前でも、無礼な態度をとらずに出来るかを気にしているようだ。
俺の心配をしてくれたのだろうか?
それは少し嬉しい。
とはいえ、そう言って偉そうな人相手でも、敬語を使わずに話すとかなんとかは現実ではあまり思いつかない。
言葉遣いを学んでいない、というのもあるが、ネット小説で見かけたその展開は多分……昔やっていた時代劇の再放送で見たが、江戸時代のやくざ者の所に主人公が行って、敬語を使わずにいると『親分になんて口の利き方しやがるんだ』と言って主人公にかませ役がとびかかり返り討ちにあって、その腕っぷしと傲慢な物言いが親分に気に入られて~みたいな展開を見た気がする。
多分これだろうなと思いつつ、二次元と三次元の区別はしないとな、と俺は思う。
そんなこんなで、俺達はセレナに案内されて城に入り込むことになったのだった。




