ちょっと過激な女神様の事情にて~女神様が休暇で会いに来ました~
小石川貴久は日本生まれのごく普通の男子高校生だった。
そんな俺が異世界にやってきて、そこそこ陰謀に巻き込まれつつも異世界観光を楽しんでいて、しかもよさそうな別の観光地のうわさを聞いて移動している最中にそれは現れた。
周りには人がいない。
それも“あの人”の事だからそのあたりは確認しているのだろう。
俺がそう思いながら目の前の銀髪に水色の瞳をした同年代位の美少女を見た。
この姿を見たのは三日ぶりである。
確か三日前は、ベッドで寝ていた時に寝返りを打ったのだが、その時踏みつぶしてしまい、とても叱られてしまった。
そう思いながら俺は再び彼女に目を移す。
目の前のこの美少女は、実は俺を呼んだこの世界の神様だったりする。
普段は俺の監視役として、俺の肩に乗っていたフクロウの縫いぐるみと一心同体であるらしい。
それ故に俺が踏みつぶすと、その痛みが女神様にも通じてしまうそうだ。
ちなみに着替えの時は、俺が触れていればいいので布団の中やタオルの中に放り込んだまま着替えている。
特殊な事情の場合には俺が触れているだけでも“許可”ということらしい。
といった事情があったりするのだが、そんな彼女に俺は、
「今日はどうしたんだ? というかそろそろ俺の監視はやめて欲しいんだが」
「え~、だって私もこの世界の観光という楽しいことを……ではなくて、やはり私の世界に強い人がいるとこう、監視しておかないと」
そう彼女が言うのを聞きながら、この世界に転移させられた時に彼女に言われた内容を俺は思い出していた(何でも召喚時には女神様というこの世界の管理者の許可が必要であるらしい)。つまり、
「そういえば俺はこの世界で一番強いことになるんだったか? 女神様よりも強いんだし」
「……」
女神様が沈黙した。
なんでも、実は今回の召喚は一部“失敗”であるらしく、能力のパラメータが特に高くなる人間、つまり“俺”を呼び出してしまったらしい。
そういった理由からこの世界では、現在女神様が俺の次に強くなっているらしい。
つまり二番目。
それもあってかやけに二番目二番目と愚痴りながら監視という名の、観光旅行にこの女神は付き合っている。
そして痛いところを突かれたらしい女神様は沈黙した。
また、俺もいい機会なのでここで女神様にお願いをしておくことにした。
「前から思っていたんだが、すぐに“死刑”というのはやめてくれないか?」
「……でも悪いことをしたらちょっと過激に、が貴方の世界の神話でそこそこ見たわよ?」
「そういえば馬鹿にする程度で死んでたな。結構昔の神話系は過激だった気がする。でも、今はそういうの流行らないから」
「え?」
「流行らないから」
そう俺が女神様に言うと衝撃を受けたようだった。
「そ、そんな……事前リサーチが間違っていたなんて。ちょっと過激すぎて大丈夫かなって疑問に思ったけれど、そう……」
「そうそう、だから女性をさらうような暴漢は……」
「“死刑”で」
もしかしたならこの女神様の本質は、もう少し穏やかかと思ったがそんな事はないらしい。
とりあえず程々にしておこうと俺は決めた。
と、そこで女神様が、
「他にそういった女神関係の創作で“流行”ってある?」
「そうだな、女神様が美少女とか」
「! 男でもいいじゃない! イケメンとか!」
「おっさんよりかわいい美少女の方がいいだろう!? 常識的に考えて」
それを逸いた瞬間女神様が半眼になり、『なにこいつ、ヒソヒソ』といったような冷たい目で見られた気がしたが俺は見なかった事にした。
やっぱりどうせあうなら美少女がいいし。
そう俺は思いつつ、相変わらず冷たい目で見る女神様に俺は、
「それで今日は久しぶりの休暇で来たのか?」
「! そうそう、そうなんです! 休暇が取れたので観光を……」
「丁度良かった。別の観光地に売っていたガイドブックで、おすすめの場所をチェックしていたんだ。一緒に見に行こう。一人よりも二人の方が楽しいし」
「うん!」
女神様はすぐに機嫌を直したようだった。
こうして次の観光地に俺達は向かうことになったのだった。




