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異世界に転移したら縫いぐるみのフクロウが、俺の肩から離れない件について

 小石川貴久こいしかわたかひさは日本生まれのごく普通の男子高校生だった。

 そんな彼が、異世界“セカンドガーデン”に呼び出されたのはこの世界基準でつい一月前の事だった。

 なんでも魔王復活する……かもしれない時のために、召喚の儀式を長い間維持するために“お試し召喚”をしているらしい。


 もちろん呼んだ魔王を倒せるような“強い力”を持つ“勇者”を怒らせるのはリスクが高いということで、元の世界に戻すための魔法もあるそうだ。

 そしてそれには数か月の時間が必要であり、その間俺は好きにしていいよと言われていたので、現在異世界観光地巡りといったような旅に出ていた。

 その費用はもちろん王様からもらっているし、冒険者ギルドへの登録、自身の能力把握は行っていた。


 ちなみに“勇者の剣”なる“チート武器”も適応能力があるか見ることに。

 そういえばこの時“チート”という言葉がこの王様が出てきたときには、俺は驚いた。

 一応この世界に転移させられた時に、言語を概念として理解する能力が発現する(そういった人間を選んで召喚をしているらしい)が、この世界では“チート”は“チート”らしい。


 なんでも何年か前に“異世界”の情報に接触した時に手に入れたそうだ。

 話を聞く限りでは、家庭用ゲーム機などのゲームに出てくる異常に強い武器や防具などのアイテムや能力、要素を“公式チート”といったように“誉め言葉”のような形で使うネットスラングがもとになっているらしい。

 といったように、この世界にない概念が翻訳されずに、俺達の世界の言葉が一部この世界に流入してしまっている状況ではあるようだ。


 それもあってか会話はほぼ通じているのは良かったように思う。

 そんな俺が、なんやかんやで、肩にフクロウの縫いぐるみをのせて現在とある村の、食堂に来ていたりする。

 どうしてここにいるかというと、簡単な話、異世界の観光地巡りだったのだが……。


「お願いします。貴方は魔法使いさんなんですよね! だって方のフクロウから、強い魔力を感じますし!」


 そう、見知らぬ少女にお願いされていたのだった。










 少女の名前はメア。

 六歳くらいの少女だった。

 そして俺に言うには、なんでも彼女の姉が村の“乱暴者”に連れていかれたらしい。


「村一番の美人で……優しくて、そんな自慢のお姉ちゃんで……それがアイツらに……」

『では、“死刑”で! もごっ』

「え?」


 そこで奇妙な声をきいたと思ったメアが見上げるように俺を見た。

 そして、


「なんでお兄ちゃん、その方につけているフクロウのくちばしを抑えているの?」

「いや……いつもいつもいつも“やりすぎる”からこうしておかないと行けないんだ」

『もごもごも』


 まだ何かを言いたそうにしているフクロウのくちばしを抑えながら俺は、


「だが俺に言ったということは“あの人”も全部今の話を聞いているんだよな。というか今の返答で絶対に聞いている……はあ」


 そこで俺はため息をついてから、涙目のメアという少女に、


「じゃあ、どこにいるか……そうだな、場所を大まかに教えてくれ。あとは“適当”に俺の方で“探査”する」


 そう俺は彼女に返したのだった。








 その目的の人物はあっさり見つかった。

 そして少女の姉(俺は名前を聞きそびれた)しかも仲間まで俺を襲ってくるという状況だった。

 仕方がないので俺は、“適当”に倒した。


「せっかくここに来てもらった“特殊能力チート”を使う機会があまりないのはどうなんだと思うが、まあ、使わないで済むのはいいことだ。とはいえ、またも人質を取って出てこられるとはな」


 俺は一人呟く。

 目の前にはあの少女の姉らしき人物がナイフを突き立てられて人質のようにつかまっている。

 気に入ったから攫ってきた女性にそうやって刃物をちらつかせて……しかもその刃物には魔力が込められているのはどういうことか、と俺が思っていると、


「この女も“魔法使い”だからな。だからこういった“武器”を用意した」


 そう笑うその“乱暴者”と呼ばれている男がナイフをちらつかせる。

 結構強そうな武器と俺は思った。

 どうも自身の持っている魔力の強弱で、その魔道具などの能力を見抜ける能力がこの政界にはあるらしい。


 そうなるとこのフクロウを見抜いたあの少女メアは、よほど強い魔法使いになる事だろう。

 と思っているとそこで俺の方に乗っているフクロウの縫いぐるみが、


『“外来物クリーチャー”』

「またか、というかきちんと管理をしていないのか」

『……忙しいので』

「はいはい。とはいえあの程度の三下が使う物なら、それほど難しくないな。それにここで俺が倒しておかないと、貴方がやるんでしょう?」

『……死刑で!』


 相変わらず過激すぎる、そう思いながら俺はその男に向かって走り出したのだった。









 実際に適当に倒してというのもあるが、最終的に俺が油断したがためにフクロウの目からビームが出て一部の森を焼き払った。

 切り札はそのフクロウだったのか、とその暴漢が気を失う前に勘違いしていたが、とりあえず俺はそうだとだけ言っておくことにした。

 それから彼の持っていたナイフを俺は回収する。


 そう、“外来物クリーチャー”を回収して、“封印”を俺は施しておく。

 そこで、


「先ほどは助けていただいてありがとうございました」


 メアの姉であるカミラが俺にそうお礼を言う。

 確かに美人ではある、そう俺が思っていると彼女が、


「私も“魔法使い”の端くれです。そのナイフはいったい……」

「ああこれは、外界から何らかの意図をもって落としている物体であるようなんです。現状では目的は不明。ただ、おそらくは“侵略”目的の武器であり、内部の混乱が狙いだ……と“この世界の女神”はみているそうです」

「え? 女神様が? ……貴方は一体……」

「俺はお試しで呼ばれた異世界人ですが、発現した“特殊能力(チート能力)”の関係でこのフクロウの縫いぐるみとつながっている“女神さま”に監視されているんですよ」

「え、え?」

「しかも女神様の処罰の方が厳しすぎるので、寝覚めの悪いことになりそうだし、今は“暇”なのでこうやって手助けをしているのです」


 そう話すと、カミラは唖然とした表情で俺を見た。

 それはそうだろうなと俺は思いつつ彼女に、


「とりあえずは、これで依頼は終了だ。早く帰って妹さんを安心させましょう」

「は、はい」


 そう俺は言って、彼女の妹に待っているよう言っておいた食堂に向かったのだった。



 

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