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神様珍道中。  作者: 京祠
8/8

8葉



「しかし…、女だったのか。」



「え? はい。」



「何で隠すのかな!? そんな綺麗なおっぱ…失礼。綺麗な身体を!」



「…おい変態眼鏡。お前は黙ってろ。」



「でもそうねぇ、どうして隠してたの? イリス綺麗なのに。」



「え…、あの…申し訳ありません。仰る意味が…。」



「……は?」




後は就寝するだけだからだろうか、イリスも薄手のシャツだけの為にたわわな女性のふくらみがはっきりと分かる。

神たちに性別を隠していた事を問われているのだが、当のイリスは困惑した様子で首を傾げてしまう。




「イリスさん、隠してないよ?」



「…隠してたじゃない。女性は騎士になれないとかそういう感じなの?」



「んーん、だから、隠してないってば。これ、邪魔だから潰してるんだって。」



「ひゃいっ!? ユ、ユララ…掴まないで…。」




三柱の疑問にはユララが答える。

意図的に性別を隠すつもりはないと答えて豊満な乳房をコレと示しながらユララは下から持ち上げる。イリスは大層恥ずかしそうに俯いてしまったのだが、気にされないまま話は進む。


特に何かした訳でもないのだが、身長が伸びるのに比例して成長する乳房が戦闘の際に邪魔だと感じて布やベルトなど悪戦苦闘しながら潰してきたのだとイリスではなくユララが説明した。




「…戦に対するその心意気や良し。お前は立派な武人だ。この世界で可能かは分からないが、俺の加護を授けよう。」



「あ、有難う御座いますっ。」



「いやいやいや、お前が加護を授けるとかとんでもなく貴重だけど。それよりも! こんな美人な女性に武人とか言うなよっ。」



「お前の趣味などどうでも良いが、イリスは立派な武人だ。それを愚弄するなら斬り落とす。」



「だから何をっ!?」



「アンタにいらない物なんてナニしかないでしょ。」



「必要ですよっ!? 女神たちが悲しむっ!」




固有名詞は出されていないものの何となく察した天表春命(あめのうわはるのみこと)は反射的に股間を押さえた。


イリスは戦う為に邪魔だと乳房を潰していただけらしいのだが、騎士の恰好をすると女性らしい身体の丸みも隠されてしまい女性にしては少々低い声と中性的な整った顔立ちから男性に間違われてしまうのだとか。

特に隠している訳でもない為に、問われれば素直に女性であると答えるものの問われなければ勘違いされていると気付いても特別否定はしなかったらしく未だに勘違いしている人も居るらしい。




「…でも、勿体無いとは思うわよ? イリス、凄く綺麗だったんだから。」



「お美しいコタさんにそう言われると…照れます…。」



「ふふっ、ありがと。でもそうね…、ほら、こんなに綺麗なのに(あと)がついて…肌が可哀想。」



「っ!?」



「ぶ…っ!?」



「コ、コタさ…っ!?」




煌びやかな着物も脱いで化粧もしていない国之常立(くにのとこたち)は整った顔立ちながらも男性にしか見えない為、イリスも戸惑っている様子だった。しかし、国之常立(くにのとこたち)は立ち上がってイリスの背後に陣取ると綺麗だったと言いながらイリスのシャツを躊躇いもなく開いて上半身を露わにさせた。


目の前で晒された白い肌に二柱は言葉を失いながらも凝視してしまっている。思考が停止してしまったらしいイリスがどうにか振り絞って国之常立(くにのとこたち)の名を口にした辺りで天之御影(あめのみかげ)が視線を反らす。




「あぁほら、こっちも(あと)付いちゃって…。これも…あ、これは黒子(ほくろ)ね。やだ、色っぽいところにあるのね。」



「っ…、……っ。」



「コタさん、イリスさん羞恥で死んじゃいそうだから離してよー。」



「え? あらあら、ごめんなさい。あんまり綺麗だから芸術品みたいな扱いしちゃった。女の子だものね、恥ずかしかったわよね。お詫びにその傷治してあげる。」



「ひ、え…っ!?」




ユララに袖を引かれた事で今更ながら女性を(はずかし)めていた事に気付いた国之常立(くにのとこたち)は謝罪をし、後ろから覆い被さるようにして肌に付いた(あと)に唇を落とす。神の力なのか口付けられた場所が淡く光ってイリスの肌にある擦れた(あと)が消えていく。


国之常立(くにのとこたち)にとっては傷を癒す行為なのだろうが、傍から見れば愛撫にしか見えない状況でイリスは硬直してしまっている。



そんな折、巨大な殺気を感じ取った天之御影(あめのみかげ)は刀を手にして立ち上がる。

国之常立(くにのとこたち)に向かって何かが飛んでくると天之御影(あめのみかげ)はそれを両断する。




「何者か知らんが…、敵対行動を取るのなら覚悟して貰おうか。」



「覚悟すんのはアンタたちよっ!!」



「あ。」



「よくも私のイリスさんに不埒な真似してくれたわねっ! 一万回殺してやるっ!」



「ふ、不埒な真似をしているのは国之常立(くにのとこたち)様だけだ! あ、いや…だが大人しく殺される謂れはないっ。」



「待って待って。アイリーンは普通の人間だから止めてー。」




アイリーンと呼ばれた少女が投げたのは大きなフライパンだった。天之御影(あめのみかげ)が両断してしまったので調理には使えないだろうが。

殺気を放つアイリーンに天之御影(あめのみかげ)が対峙するがユララが慌てて止めに入る。ただの人間が神相手に無事で済まない事を知っているからだろう。




「ちょっとユララ! 何なのこの馬の骨共は! 私のイリスさんに悪い虫近付けないでくれない!?」



「えー、俺の所為じゃないしー…。」



「いい加減イリスさんから離れてよっ。」



「まぁまぁそんなに怒らないで、可愛い顔が台無しだよ?」



「…は? 私、自分の顔がイイとか思ってる男大嫌いなの。近付かないで。」



「お前の顔でも落ちない女は口説いても無駄だと思うぞ、クソ眼鏡。」



「顔しか取り柄が無いみたいな言い方すんな!」



「私のイリスさんから離れてって言ってんのよ。全員ブチ殺すわよ…?」



「あ、不味い。イリスさん助けて。」



「へ? あ、…アイリーン!?」




どうやらイリスに若干病的な愛情を向けているらしいアイリーンには、三柱は敵とみなされたようで魔力の風が起こる。ユララは慌てて硬直しているイリスの手を引いてアイリーンを指示した。

イリスは国之常立(くにのとこたち)の愛撫…(もとい)、治療で固まっていたがユララの声で我に返って今にも暴れ出しそうなアイリーンに気付いた。

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