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オタクの妊活
花子はそれなりの年齢だ。
実家に帰れば結婚している娘に対し、母は笑顔で「まごはまだ?」である。
妹についてはこちらも笑顔で、「私の分も出産頑張って★」である。
夫婦生活はそれなりだが、成果(子供)がない以上、不妊治療に踏み切った。
不妊治療の最初の血液検査、精液検査はすんだ。
次はタイミング指導。
タイミング指導となると、卵子の育ち具合を医者に診ても知らうしかなく。
医者がモニターに映った画像を確認しつつ、手を動かし、視線は花子に向けずに淡々と言った。
「卵子の育ち具合がまだまだだね。来週きてね」
花子はがっくりとうなだれた。
仕事を調整し、イベントも行かないで我慢してのこの仕打ち。
あー、なんで女性ばかりこんな負担があるのだ。
そう考えた花子は思わずため息がもれた。
「まー、がんばりましょう」
医者はわかっているのかわかってないのか、手をひらひらさせて、
花子の診察室からの退出を促すのだった。




