-皓狐と惑志の至宝-
今日は今日は。今年ももう直ぐ終わりますね。ほんと忙しい、此が師走と言う奴か。知りたくなかったこんな現実。
ともあれ話は書く余裕はある訳で・・・いやほんとは寝る間も惜しんでるんだよ?でも寝るより趣味が大事でしょ?小説にゲームに漫画に猫に・・・あ―ほんと忙しい、幸せです。
さてそんなこんなでリア充を満喫している筆者の今回の御話は狐の話です。今回は少しばかり今迄の幻獣と違う話になりました。何処が、は読んで頂ければ分かるかと思いますが。
でも狐って良いですよね、妖怪とか色々いるし。今回出るのは皓狐(特に変な読み替えも無いと言う)ですが他にも有名所なら九尾だとか、天狐だとか、絳狐黔狐とかとか・・・。
あの賢そうな御顔と野生を忘れない聡い瞳、モフモフ・・・可愛いなぁ本当。
でも残念乍らそんな良い話を書く訳ではありません。まぁでも今回のは其処迄Badにはならないけれど、でも可愛い丈で良い話は出来ない訳で。
狐って聞くと皆さんは何を思いますか?今回はそんなごく当たり前の御話です。よくある狐と人の昔話。
万物には全て使命元い存在意義と呼ばれる物があります
其は前世からの契りでもあるのでそうそう変える事は出来ません
つまり善人は善人で、悪人は悪人と言う事です
表面で幾ら繕っても、中身は変わらないのです
だから偽善者が生まれるのです
さて、ある時、一匹の皓狐が森でとある村人に追いかけられていました
然う言えば狐の意義は何だったでしょうか
・・・・・
皓狐は辺りも見ずに一心に走っていました
村人も又、走っています
年経る皓狐、片足が罠に掛かった儘なので、捕まるのも時間の問題です
皓狐が茂みの傍を通った時でした
茂みから人の手が出て、皓狐を茂みへ引き入れようとしたのです
驚きの余り皓狐は声も出ません
其の儘茂みの中へ入ってしまいました
皓狐を見失った村人は、もっと山奥かもしれないと、走り去って行きました
さて、茂みの中では皓狐と一人の男が向き合っていました
男が皓狐の足に掛かった罠を外すと、皓狐は空中一回転して深く御辞儀をしました
私、今の人間に捕まると狐裘にされてしまうので、逃げて来た由であります、と皓狐は言います
私、此処数百年生を受けて参りましたが、誰かに助けてもらったのは初めてです
せやから私、旦那さんの厚い御恩、決して忘れはしないでしょう
髭を捻って皓狐は続けます
又近々御会いする事もありやしょう
本当に有難う御座いました、ではまぁ何れ
重ねて何度も礼を言った皓狐は又深く御辞儀をして何処かへ走り去って行きました
・・・・・
次の日、男の家をとんとんと叩く者があります
男が扉を開けると、昨日の皓狐がいました
早速会いましたね、旦那さん
私、一日も早く御礼がしたくてやって来た次第です、どうぞ上げて下さいな
男は承諾し、皓狐はいそいそと居間へ上がりました
では見ていただきやしょう
皓狐が手を打ち鳴らすと、三つの箱が現れました
何も迚も美しい装飾が施されています
男が目を見張っているのを得意そうに見た皓狐は、片目を眇めて言いました
私、本当に旦那さんには感謝しているのです、だから今迄人間から盗んだ物の中で最も優れていた三つを持って来ました
一つ、旦那さんに差し上げたいと存じます
どうぞ、一つ選んで下さいな
男はしめたと喜びました
実の所、昨日男は皓狐を捕まえ狐裘にしようと思っていたのです
其が誤って逃がしたと思いきや、宝を持って来てくれたのですから、男は迚も喜んだのでした
取り敢えず、全ての箱を開けてくれ、と男は言いました
勿論、と皓狐が瞬きをすると、三つの箱が開きました
一つは貴石をあしらった王冠
一つはぎっしりと詰め込まれた金貨
一つは玉が生ると言われる珠樹
男は何の宝にも目移りしました
何も欲しくて堪らないのです
一つなんて選べません
そして男はもう一つ丈欲しい物がありました
其を如何すれば手に入るのか、男は考えました
そして終に考え付きました
男は立ち上がり、宝に近付きました
皓狐は満足気です
男の驚き様が堪らなく嬉しいのです
男は突然小刀を出すと皓狐を斬り殺しました
声を出す暇もありません
真絳になって行く皓狐を素早く抱えて、男は水の入った桶へ皓狐を投げ込みました
もう大丈夫です
後は血を洗い流し、皮を剥ぐ丈です
然う、其が男の欲しかった物なのでした
貴石の王冠、数多の金貨、珍しい珠樹、そして皓狐の狐裘
男はもう一度宝を見ました
すると如何でしょう
王冠は苔むした岩に
金貨は木の葉に
珠樹は枯枝に
皓狐は布切れに
其から二度と、皓狐は男の前には現れませんでした
騙し、騙して、騙されて、人は矢張り欲深で、狐は矢張り騙すのです
-Fin-
如何も如何も。ね、今回は其処迄Badではなかったでしょう。誰も死ななかったし。失ってもいないし、つまんないの。(コラ、此書いたの御前だろ。)
今回はほんと当たり前の化かし合いの御話でした。人間の心ってのもとってもややこしいですよね。狐や狸や猫丈が化けられる者だなんて誰が言ったんだ。
又機会があれば狐さんの御話は書きたいなぁ、もっと魅力を取り入れたい、モフモフしたい。
でも次の子はもう決まっているのです。又々舞台は日本國。又もや有名な子が現れるでしょう。
ではでは皆さん良い物語を。