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星天の霹靂  作者: 白州
プロローグ:いつか夢見た流れ星
2/22

中編 : ……upon a ……

少女はひたすらに走った。

足が変色して、血塗れになって、それでも走り続けた。


「っはぁっ、はっ、……っ………あっ!」


けれどどんなに決意が固くても、長く走り続けようとするには、少女はあまりに幼すぎる。足がもつれて転んでしまっていた。


慌てて後ろを振り返ってみれば、恐れていた赤色はそれなりに遠くにあった。


(だけど、だけどまだ。まだ、たりない。)


(………逃げ切れてない。)


(火は、はやい。もたもたしてたらすぐに追いつかれちゃう………………!)


(もうあんなに痛いのはやだ、叩かれるよりも痛いもの。足、わたしのあし、動いて……うごいて……!!)


しかし少女は崖から落ちた時の打撲痕や火傷でボロボロ、精神も相当に参っているようであった。

改めて自分の置かれている状況を理解した少女は、ついにその瞳から涙を落とし始めた。


(たすけて、だれか、だれか…………)


「たすけて………………!!!」




________________ふわり、と。


不思議な香りが少女の鼻腔をくすぐった。

ふと顔を上げると、そこには大勢の人影が……….


人影?


「やぁ、近くから強烈な願いの波動がしたから来てみたんだけど………アレを出したのは君でいいのかな?」


「え…………?」


(男のひと?すごく、きれい……)


「んー、傷だらけだねー……獅子、お前の小星座か?」

「こんなヤツ見たことも聞いたこともねぇですぜ」


(おじさんがでてきた。ライオンさんみたいなひとだな…………)


少女は困惑した。なんだこれは、と。

そもそもどこから現れたというのか。

ここは見渡す限りの草原、走っていた時には人っ子ひとりいなかったはずなのに。

堪り兼ねた少女はとりあえず尋ねてみることにした。


「あの、ど、どなたです、か…………?」


しん…………と場が静まりかえる。


「お、お前………星座のくせに星詠様を知らんだと………………!!!」


「きゃっ…………!」


直後、最初に声を掛けてくれた男性の1番近くにいた少年が少女に掴みかかった。

その衝撃で少女が包帯がわりに頭に巻いた服が外れた。瞬間、とめどなく血が溢れる。

それを見た少年は目を見開いて少女から手を離す。少女は地に叩きつけられた。


「…………!?な、何だこの赤い液体……」


(う………あ、だめだ、またさむくなってきた………もう、)


「………人間…………んでここに………!」

「ここは………々の丘……来れる……ない!」

「とにか…………触ら………ほうが……」


(なにか話してる………?………なにも聞こえない………)


(まぶたが重い………)


(……………)



「あーもう!だーかーらー、この娘の処遇は僕が決めるからお前たちは黙っててよ!ねぇ、君。今から怪我の治療をするから…………あっ!?」

「如何なさいました星詠様」

「この娘、気を失っちゃってるよ!」

「えぇ!?」

「早く運ばなくちゃ!」

「あぁっ、星詠様!お待ち下さい!!貴方様の御手を煩わせる訳にはーーーっ!ねぇちょっと!少しは真面目に話をお聞きくださいってば!!オイこの箱入り王子!!!聞けよ!!」


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