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星天の霹靂  作者: 白州
第1章:集う星々
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第13話:集う星々

「_______首相、………一体何の冗談ですかそれは…!」



玲咬さんがダン!と拳を首相の机に振り下ろす。……怒ってる。めっちゃ怒ってる。かろうじて敬語を使う余裕はあるみたいだけど……隣で哉太がビビり出し、私の腕を握りしめているのがわかる。頑張れ。もうちょっとで話は終わるから………多分。


そもそもなんでこんな修羅場になってるんだっけ………あぁそうか、なんか(ここ)が敵に襲撃されてるとかなんとかで警報が鳴って、首輪の通信に翔子さんが出ないから首相の執務室に直接押しかけたんだっけ。

そこで首相が「今回の敵の襲撃はほぼ言葉ちゃんが原因だから1人で倒しておいで」なんて言って玲咬さんがそれに怒って………

…………うわぁ本当に修羅場だこれ。当人の私がなんとかしなくちゃいけないなぁこれは。



「冗談なんて言ってないよー、ただ今回は言葉ちゃんが1人で片付けなくちゃいけない案件だろうと僕が判断したからそうしただけ…………ふふふ…何?言いたいことがあるなら言ってごらん、玲咬」



……玲咬さんの剣幕を真正面から受けているにも関わらず、首相はニコニコと笑っている。何がそんなに楽しいのだろう。



「……いくら首相の言うことでも聞けません。今回襲撃をかけた敵は確認できる限り6人……しかも第一結界を突破したそうじゃないですか!この勢いだと、半径800メートル圏内にある第二結界も突破されかねない………そこまで強力な敵ですよ!?何故、まだ動きも素人な言葉を……しかも1人で!………正気とは思えません!」


「確かに強力な敵だねぇ、ゾクゾクするよ………まぁさっきも言った通り、これは言葉ちゃんにしかできない事なんだよ。………ねぇ言葉ちゃん、玲咬が言ってた『6人の敵』。誰だかわかる?………それとも、もう感じてるのかな?そこの側近君……羊槇 哉太、君も何か感じてるはずだよ」


「?……おい言葉、どういうことなんだい?」



怪訝そうに尋ねる玲咬さんを他所に、私は首筋をさすりつつ首相に答えた。



「うーん……まぁ確かにピリピリきてますね。なんかこう……敵意、っていうのかな。そんな感じの反応が、6個」


「言葉様ー俺も感じるぞー?なんかな、首の痣がな、びりびりーって!」


「痣…………っ、まさか!」


「まぁご想像の通り、星夜見隊関連だろうねぇ………わざわざ迎えを寄越す手間が省けたよ、何の為に(ウチ)に攻撃してるのかはさておき……ふふ、この反応は側近クラスだ。ちゃんと6人とも全員。……合わせて12人の側近、前代未聞の数。本当に言葉ちゃんの潜在能力はずば抜けているんだね?」



にこり、と私に笑いかける首相。

……ははぁ、なるほど。この首の痣は近くに同じ種類の能力を使う人がいると疼くらしい。面白いな。要はつまり………



「つまり、本来なら私の側近として連れてこられるはずの奴らが何故か敵対している。……それを強引に、物理で説得して星夜見隊として迎え入れる。で、万が一の事があっても私の秘められた潜在能力が何とかしてくれるよ〜あたりの事を言いたいんですね首相は」


「別に物理でとは言ってないよ〜?ただ単に説得して連れ帰るのも良いわけだし〜」



……説得で解決すれば地球上の誰しも苦労はしないんじゃ……

首相のあっけらかんとした物言いに辟易している間にも、玲咬さんはまだ納得いかないような顔をしていた。



「しかし……言葉はあまりにも実践不足です、初陣が側近戦?…………いくら言葉が相当なポテンシャルを持ち合わせていたとしても!星に属する彼女の側近だとしても!……助っ人の始祖者が誰か付き添いに行くべきですッ、何ならアタシが」


「___玲咬?……いくら君が目をかけている新人とはいえ、そこまで行くとただのお節介だよ。これは言葉ちゃんが1人で成さなければならない事だ、その決定が覆る事は有り得ない。………君はもうここのルールをよく知ってるだろう?」


「……………」



ぎり、と玲咬さんが首相を睨みつける。

ギスギスした空気になんとか耐えようとしているらしい哉太が私の腕をさらに締め上げた。ちょっと痛い。



「さぁ、そろそろ時間だよ言葉ちゃん。……やってくれるね?」


「………まぁどうせ拒否権なんて無いんでしょうし。やりますよ、私1人で」


「そう。君、1人でね。……期待しているよ〜初任務頑張っておいで!」



胡散臭いほどの笑顔で見送られ、首相の執務室を退出する。

とんだ災難だ、始祖者という立ち位置はやっぱり戦ったりもするのも避けられないらしい。今は、私にできる全てをやろう。

………じゃないとこっちが死ぬ。



「____おい待ちな言葉!」


「玲咬さん……」



退出するやいなや、玲咬さんは私の肩を掴んで呼び止めてきた。



「お前本当に行くつもりか!?首相の無茶振りはいつもの事だが今回は度が過ぎる……むざむざ始祖者を死なせるような人じゃない筈なんだけどね。…………言葉、お前はここを出るな。多少無理をしてもここはアタシが……」


「玲咬さん、大丈夫です。………私のせいで玲咬さんが怒られたりするのとかそういうの嫌です。嫌いなんです。…だから任せてください。」


「ッ………そういう問題じゃ……!」


「ごめんなさい、私もう行きますね………ちゃんと生きて帰ってきますから。わりとなんとかなります、きっと。」


「言葉!」



玲咬さんの追い縋るような声を背に走り出す。

………強い敵だろうが自分の側近だろうがなんだろうが知らない。いいさ、やってやる……生きて、五体満足で帰ってきてやる!

余談:投稿日7月7日の本日は言葉ちゃんの誕生日です!

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