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ヴァルハラ・ヴァルフレア  作者: えむ
四、火焔
3/26

03

 この事についてロビンは、先ほど後方に置き去りにして来てしまった大剣の男アルヴィンスに問うた事があったのだが、その返答はやはりハッキリとしないものだった。

 答えられなかった事をアルヴィンスは謝罪してきたが、恐らく、彼自身も自分が置かれている状況を全て把握できている訳ではないのだろうとロビンは推測する。

 では、仮に自分が生きているとして、二度目の生を受けた理由は何かと問われれば、思い当たる事が一つだけある。

 それも例によって正誤は明確ではないが──

 大量の火薬が一斉に炸裂する音が再び木霊し、先よりも数を増した弾雨が容赦なく降り注いだ。併せて、砲台の後方で構えていた戦乙女の軍勢が、戦場に散らばる男たちをすれ違いざまに切り伏せてこちらに突撃してきている。

 ロビンと軍勢の距離が無くなるのに時間は掛からなかった。

 まず先頭を駆けていた騎兵三機が接近。それぞれ好機を計って長槍を振り抜くが、ロビンは身を翻して回避。騎乗した者たちを蹴り飛ばして着地する。

 その刹那、乾いた雷鳴が耳をつんざいた。

 反射的に音がした方向に視線を走らせると、雷光が頬を掠めていくのが辛うじて視認できた。微弱な痺れを感じたが致命傷には程遠い。

 そうしている間に間合いを詰めていた歩兵二七人がロビンを取り囲む。

 逃げ場はない。回避する隙も暇も。斬撃を受け止め、流す武器すらロビンは持ち合わせていない。

 ぽたり、と。

 不意に、頬の傷から滴った血がガントレットに落ちた。

 銀に落ちた一滴の赤から燃え上がる様な温度が伝わってくる。腕甲に付着したそれは発火して小さな火種となり、瞬時に灼熱──炎上。一気に拳を覆い尽くした。

 戦乙女たちが振り上げる刃の煌めきが視界の隅に映ったがロビンはそれには一切目もくれず、地面に向かって力任せに拳を振り抜く。

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