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──倒れろ。
自分の拳がぶつかるたびに肉が焦げる臭いがした。あと少し。手を休めるな。
──倒れろ。
相手の得物は一つ。
光速の槍術を使うが手数はこちらの方が上。押し負ける道理は──無い!
その時だった。無意識にも相手の拍に合わせて繰り出した炎拳が雷槍を破壊。無防備となったブリュンヒルド。
絶叫しながら叩き出した焔の弾幕が彼女の全てを捉えた。
ロビンが纏った紅蓮はブリュンヒルドを焼き尽くし、振り抜いた大ぶりの一撃を最後に灰塵と化して消えていった。
『──それだけの思いがあれば、妹は救えるだろう。そして──』
消滅の間際、彼女の声が聞こえた。
奇しくもその声は、笑みを浮かべていると感じるくらい清々しいものだった。




