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ヴァルハラ・ヴァルフレア  作者: えむ
四・五、灼熱
21/26

01

 閃光が瞬いた直後、雷撃が駆け抜けた。

 光の速度で荒れ狂うそれがブリュンヒルドの掌から連続して放たれ、ロビンに向かって殺到する。

 地が爆ぜ。

 光の尾が四散。

 行き着く間もなく次の雷光が。

 ロビンは走る。それら全てを躱し、躱して躱して潜り抜け、ただ前だけ見据えて疾走する。

 銀の腕甲が切り裂かれ、肉が焼かれ、頬を雷光が掠めていった。

 しかしそんな事など気にしている場合ではない。

 この程度の傷が何だ。ニーナは、肢体を刻まれたニーナの痛みは、この程度では済まされない。

 アルヴィンスの言う事が真実であれば、肉体の死は魂の別離。

 つまり精神は生きているはずだ。元より、それが真実でなくてなんだと言う。そうでもなければ自分たちの存在証明すらできないのだから。

 躱しきれない雷撃が胸当てを爆砕。衝撃と共に轟音が身体を震撼させる。ロビンは仰け反りながらも強引に体勢を立て直して走る。

 この程度の痛み、妹が受けた痛みの比ではない。

 自分の肉体はあの山で確かに死した。だが魂だけは自由だ。事実、何ものにも縛られていない。

 しかし、ニーナはどうだ?

 アルヴィンスの言う事が真実であれば、ニーナの魂はどこかに幽閉されている。

 肉体を失い、計り知れない痛みを受けた後であるにも係らず、誰かに縛られている事になる。

 それが憎いのもあるが、ただ、妹と同じ精神だけの存在となった自分だけが自由を得ている事が腹立たしい。業腹だ。

 それ以前に、

 なぜニーナでなければならなかった?

 俄かには信じがたい『女神』を引き受けなければならない理由が分からない。

 もしもこれが神などと言われる輩の気まぐれだとすれば、死によって覚醒するという手順も気まぐれによってもたらされたという事になる。

 ロビンは神など信じていない。信じていないが、もし存在するとしたら──

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